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子供達のスマートフォンでの動画視聴の現状をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 電車の中でも気軽に。「スマートフォンで動画」は娯楽のスタイルを変化させた。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・小学生から高校生でスマートフォンを利用している人のうち、そのスマートフォンで動画視聴をしている人は78.8%(2017年)。高校生に限れば83.6%。

・小学生から高校生全体比では39.4%がスマートフォンで動画視聴をしている。

・高校生に限ると74.7%がスマートフォンで動画視聴をしている。

スマートフォンの急速な普及に伴い、大きく変化したインターネットの利用スタイルの一つが動画関連。今では子供達もスマートフォンで動画を見るのが当たり前。多くの人がテレビを見たり漫画を読むのと同じように、配信された動画を楽しんでいる。今回は内閣府が2018年3月に確定報を発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の報告書から、小学生から高校生におけるスマートフォンを使った動画視聴の現状を確認する。

次に示すのはスマートフォンを使ってインターネットを利用している人に、動画視聴をしているかを尋ねた結果。動画視聴のスタイルとしてはインターネット経由で閲覧する以外に、ファイルをダウンロードしてオフライン(インターネットに接続していない状態)で見るパターンも想定されるが、今調査ではそれに関わる調査項目は無い。なお今件におけるスマートフォンは通常型のスマートフォンを意味し、格安スマホなどは該当しない。

↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2017年、スマートフォンでインターネットを利用している人限定)
↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2017年、スマートフォンでインターネットを利用している人限定)

スマートフォンを持ちインターネットを利用している人のうち、小学生では約6割、中学生なら3/4強、高校生は8割強が動画視聴をしている。同じ学校種類なら男女差は大よそ誤差の範囲で事実上差は無いと見てよいだろう。具体的な視聴先は調査対象とされていないので今件では不明だが、スマートフォンで視聴可能な動画サービスは山ほどあるため、視聴先には困らない。

「スマートフォンでインターネットを使っている小学生から高校生の6割から8割が動画を見ている」。これは一つの指標ではあるが、全体像がやや分かりにくい。そこで各属性毎のスマートフォンでインターネット利用をしている人の割合を抽出し、それと合算することで、各属性の全体のうち、何%がスマートフォンで動画視聴をしているかを算出した結果が次のグラフ。例えば女子小学生は10.3%と出ているが、これは女子小学生全体の1割強が、スマートフォンで動画を視聴していることになる。

↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2017年、各属性全体比)
↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2017年、各属性全体比)

スマートフォンを利用していなければ当然スマートフォンで動画は視聴できず、さらにスマートフォンを利用していてもインターネットへのアクセスが許可されていなければ(今件定義における)動画視聴は不可能。よってスマートフォンの利用状況そのものが多分に反映される形となっている。

小学生は元々スマートフォンの利用率が低いため、値そのものも低く10%強。中学生は3割強、そして高校生は7割強。「高校生全体の7割強はスマートフォンを使って動画を視聴している」計算になる。対象となる動画サービスは多様だが、関係方面には小さからぬ驚きを覚えさせる値に違いない。

今件「動画視聴」はその頻度や視聴先は問われておらず、具体的な視聴スタイルは不明。しかし少なくとも「スマートフォンで動画」との新しい娯楽のスタイルに関して、小学生から高校生の実情が把握できたのは興味深い。今はまだ利用率はそれほど高くない小学生や中学生の間にも今後スマートフォンの普及が進むに連れ、「スマートフォンで動画」はさらに浸透していくに違いない。

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※青少年のインターネット利用環境実態調査

直近年度分は2017年11月3日から12月3日にかけて2017年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3288人(うちウェブ経由は122人)、保護者は3469人(うちウェブ経由は44人、郵送回収法は26人)。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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