YouTubeとニコ動…双璧動画共有サービスの利用状況を確認する
2/3が利用しているYouTube
インターネット回線の高速化や再生端末の高性能化、スマートフォンの爆発的な普及浸透に伴い、動画の送受信は容易となり、共有化のハードルは押し下げられ、新たなエンタメ部門として成長している。その動画を提供するサービスの利用状況を、総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果の公開値をもとに探る。
次以降に示すのは、各サービスの利用をどの種類の端末から行っているかに関する回答値。回答時点で該当サービスを動画・画像の閲覧のみで利用しているか、書込みや投稿をしているか(設問では単に「書き込む・投稿する」とあるので、動画の実投稿以外にコメントの記述などまで含むと回答者が判断したとする)。そして利用する際の端末はパソコン(PC。ノート、デスクトップを問わず)か、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンを問わず)かについて尋ねている。また単純な利用状況は「いずれからも利用していない」を元に逆算したもので、厳密にはタブレット型端末やゲーム機などから「のみ」の利用者もいることから、値はもう少しばかり上乗せされるはずではあるが、報告書でもこの計算式で利用者が算出されていることから、今回はこの値を採用する。
まずはYouTube。
全体利用率は大よそ2/3。男女別では男性の方が6%ポイント高く、世代別では20代がもっともよく利用して9割を示しているが、40代までは大きな違いは無く高い値を維持している。そして50代以降は減退するも、60代以降でも1/4ほどは利用している。
利用端末を見ると実のところYouTubuは携帯メインのサービスとなりつつある(その多くはスマートフォンだろう)。男女別では携帯電話の利用状況に大きな差異は無いものの、パソコンでは男性の方が閲覧率はかなり高い。元々パソコンの利用率自身男性の方が高いため、当然の結果ではあるが、見方を変えれば女性の方が携帯経由の利用割合が高いことにもなる。
また10代から40代までも携帯が非常に多く、40代までは携帯の方が上な状態が続き、50代以降でようやくパソコン経由の利用者が増えていく。
書込み・投稿者の割合はさほど多くなく、パソコンで1.1%、携帯電話で1.5%。10代の携帯経由による投稿が突出しているが、それでも5.8%に留まっている。YouTube利用者の大勢は視聴側にあると見て良い。
パソコン利用率が携帯とほぼ同じのニコ動
続いてニコニコ動画。
全体では2割近く。男性の方が利用率が高く、世代別では10代から20代が圧倒的で、30代以降は下がる。YouTubeと比べて汎用性の低さ、投稿される動画の傾向の違いなどが原因だろうか。
利用端末別では興味深い動きが確認できる。全体ではパソコンと携帯電話がほぼ同率。性別では男性でPCの方が若干高く、女性では携帯電話が多分。元々のインターネット接続用の利用端末の種類性向の違いが表れている。そして世代別では10代で携帯電話経由の利用者が上、20代ではその差を大いに縮め、そして30代で再びその差は開くが、YouTubeほどではなく、パソコン利用率がかなりの割合を占めている。そして40代でほぼ横並び、50代以降は圧倒的にパソコンの方が高くなる。若年層が携帯電話経由でニコ動を楽しんでいる状況が確認できると共に、PCとの差異があまり開いていないことから、携帯電話経由による利用に何らかの問題があることが推測される。
また投稿傾向ではパソコン経由の方が携帯電話よりも高い値。10代ではもっとも高い値を示しパソコンと携帯電話が横並びだが、それでも1.4%に過ぎない。
日本で利用できる動画共有サービスは今回例示したYouTubeとニコ動以外にも多数存在する。また最近では録画した動画ファイルの共有では無く、リアルタイムでライブ配信をするストリーミング系サービス(例えばツイキャス、ニコニコ生放送、YouTube live、Ustreamなど)も注目を集めている。これらもさらに利用率が高まれば、今後は今調査の調査対象項目として提起されるかもしれない。
動画共有サービスの拡大の最大要因は、ズバリスマートフォンの普及浸透にある。今後さらに端末の利用率は上昇することから、動画・画像共有サービスもまた同様に、その利用状況は活性化することだろう。
余談ではあるが、ある意味一番注目されている、ニコニコ動画に関する前年分からの動向を計算し、グラフ化しておく。
携帯電話経由の閲覧は大よそ増加しているが、それ以外は押し並べて減少。減少幅は大したものではないが、ほぼすべての属性で同様の動きを示しているため、誤差による流れでは無く、実際に減退が生じていると見た方が良い。
また20代では特異な減少が起きているのも注目に値する。これが単年の動向に過ぎないのか、それとも継続的な流れなのかは、来年以降の動向を見極めることで判断しよう。
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