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殿堂入り元王者の愛息が米国デビュー戦で勝利。スーパーウエルター級統一タイトルに挑戦か

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Esther Lin/SHOWTIME

 20戦全勝15KOのWBOスーパーウエルター級1位、ティム・チュー(27)。スーパーライト級の世界王者だったコンスタンチン・チューの息子だ。生まれも育ちもオーストラリアである彼が、先週末、米国デビューを飾った。

 対戦相手はWBO11位でロンドン五輪に出場したテレル・ガウシャ(34)。

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 自信満々でミネアポリスのリングに登場したティム・チューだが、試合開始早々に右のショートストレートを浴び、腰からダウン。思わぬ展開に、アリーナにやって来た観客は息を呑んだ。

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 しかし、チュー本人は冷静だった。決して慌てず、怯まずに試合を立て直す。フィジカルの強さを生かし、アグレッシブなスタイルを貫いた。

 93発繰り出したボディショットでガウシャにダメージを与え、第5ラウンド序盤には、右のオーバーハンドで元オリンピアンをグラつかせる。

 その後も試合終了まで手を緩めず、116-111、115-112、114-113のスコアで判定勝ちを収めた。

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 白星を一つ加え、デビューから21連勝(15KO)を飾ったチューは言った。

 「初めて逆境に立たされましたが、乗り越えられて良かった。テレル・ガウシャに心から敬意を表します。彼は本物の勇者であり、かつ紳士です。素晴らしい資質の持ち主ですね。これ以上ないレッスンを施されました。

 試合を楽しめましたよ。プレッシャーを掛け続けてリングをコントロール出来たように思います。前に出ながら、冷静にラウンドを重ねられたのではないでしょうか。後退せず、攻めた点が良かったと感じます。

 (5月14日に行われる)WBA/WBC/IBF王者、ジャーメル・チャーロvs.WBOチャンプ、ブライアン・カスターニョ戦は会場で目にします。どちらのチャンピオンでもいいので、是非、挑戦したいですね」

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 22勝(11KO)3敗1分けとなったガウシャもコメントした。

 「ダウンを奪って優位に立ったというのに、チューは脱帽するほどタフだった。俺もハードなトレーニングを積んだが、彼も12ラウンド戦い切るだけの準備をしてきたね。回復力も見事だった。

 ファンが喜ぶ試合だったんじゃないかな。試合前もリングでも、それだけのことを、お互いにしたから。俺は負けることが嫌いだが、チャンピオンの道が遠ざかってしまったかな」

 コンスタンチンと良く似たルックスのティム・チュー。インパクトでも、国際殿堂入りを果たした父に追いつけるか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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