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上空の寒気と今秋の台風進路の特徴

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
様々な雲(ウェザーマップ)

上空の寒気はピークに

推計気象分布(ウェザーマップ)
推計気象分布(ウェザーマップ)

今季一番の強い寒気が流れ込んでいる影響で、北日本は紅葉の季節から雪の季節へと急速に季節が進んでいます。

今回の寒気では、青森、秋田、盛岡、新潟などから初雪の便りが届き、きょう10日(火)午後4時までの最深積雪は、北海道の岩見沢で40センチ、喜茂別39センチ、夕張38センチなどの大雪となり、札幌でも4センチの積雪となりました。

さらに青森県の酸ヶ湯でも39センチの雪が降り積もりました。

強い寒気の流れ込みは、これからあす11日(水)午前中にかけてピークを迎えるため、さらに積雪の増える所があるでしょう。

寒気が抜けた後も寒さは続き、あさって12日(木)の朝にかけて今季一番の冷え込みを更新する所が多くなりそうです。

日本付近は確実に季節が冬へ近づいていますが、タイトル画像にあるように、南海上にある秋雨前線の南ではまだまだ台風シーズンが続いています。

台風21号は今年6個目のベトナム上陸

台風21号の予報円(ウェザーマップ)
台風21号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

南シナ海を西進していた台風21号は、きょう10日(火)午後3時頃、ベトナムに上陸しました。(速報値)

これで今年、ベトナムに上陸した台風は、8月以降に集中して、3号、11号、15号、16号、18号、21号と6個目となり、平年だと3個程度ですから、約2倍の台風が上陸していることになります。

気象庁による世界の異常気象によると、ベトナムでは台風15号、16号18号ではかなり大きな災害が発生しており、現在通過中の台風21号も活発な雨雲を伴っていますので、その被害が心配されます。

そして後続の台風22号もフィリピンからベトナムへ向かう予想です。

台風22号もフィリピンからベトナムへ?

台風22号の予報円(ウェザーマップ)
台風22号の予報円(ウェザーマップ)

フィリピンの東にある台風22号も今後西寄りに進み、あす11日(水)夜遅くからあさって12日(木)日中にかけて、強い勢力でフィリピンを通過する見込みです。

その後は南シナ海へ抜けて、なお西進し、14日(土)から15日(日)にかけて、弱まりながらも再びベトナム付近へ達する予想です。

もし台風のままベトナムへ上陸すれば7個目ということになり、記録的な上陸数ということになるかもしれません。

日本付近は寒気の勢力が強まり、台風の季節はほぼ終了した一方で、フィリピンやベトナムなどはこの時期になっても、まだまだ台風が襲来することがあります。

台風の西進は強い太平洋高気圧が影響

500hPa高度の平年偏差(気象庁発表資料に筆者加工)
500hPa高度の平年偏差(気象庁発表資料に筆者加工)

今年の10月以降の台風の進路の特徴は、とにかく西へ西へ進むということが挙げられます。

10月はじめの台風14号は日本の南海上まで北上してきましたが、その後、台風15号16号17号18号19号20号21号ともに西寄りに進み、現在発生している台風22号も同じように西寄りに進む予想です。

例年ならば、今頃は日本の南を離れて北東へ進んでいくような台風も多くあるのですが、今年は10月以降、上図にみられるように、日本の南海上で東西方向に太平洋高気圧の強い状態が多いため、発生した台風はいずれもこの太平洋高気圧にブロックされて、西進するパターンとなっています。

参考:国立情報学研究所(デジタル台風)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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