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台風20号は消滅し、南シナ海で台風21号が発生へ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
熱帯低気圧と低圧部の雲(8日正午、ウェザーマップ)

ウロウロ台風20号は消滅

台風20号の進路図(ウェザーマップ)
台風20号の進路図(ウェザーマップ)

フィリピンの東海上から沖縄の南海上で、約3日間に渡り、ほとんど停滞していた台風20号は、5日(木)以降ようやく西進し、台湾近海を進んだ後、昨夜7日(土)午後9時、台湾の西海上で熱帯低気圧に変わりました。

この台風20号では大雨など極端な気象現象はありませんでしたが、周辺にある暖気が沖縄に11月としては記録的な暑さをもたらしました。

おととい6日(金)は安次嶺(那覇空港)で30.7℃、きのう7日(土)は西表島で31.2℃まで上がり、ともに11月の観測史上1位の暑さとなり、その他の所でも真夏日が続出し、きょう8日(日)は石垣島で、11月としては3年ぶりの真夏日を記録しています。

あす9日(月)以降は、台風20号が持ち込んだ暖気もなくなるため、沖縄の暑さは収まる見込みです。

台風21号が発生へ

熱帯低気圧の予報円(ウェザーマップ)
熱帯低気圧の予報円(ウェザーマップ)

熱帯低気圧や台風の最新の情報(気象庁発表)

タイトル画像をみると、日本のはるか南海上に新たな雲の塊がいくつか発生しており、この内、フィリピン付近にある熱帯低気圧が今後24時間以内に台風となる見込みです。

フィリピンの東海上にもう一つ、低圧部が解析されていますが、すぐに発達する予想はありませんので、発生すれば台風21号ということになるでしょう。

現在、沖縄付近には背の高い太平洋高気圧が勢力を強めて居座っていますので、新たに発生する台風は北上せずに南シナ海をまっすぐ西進し、あさって10日(火)頃にはベトナム付近へ到達する予想です。

また続いて発生している低圧部も将来的には台風へ発達する可能性がありますが、種々の計算では、この熱帯擾乱(ねったいじょうらん)も西進し、今週末にベトナム方面を指向する可能性があります。

今年の台風の特徴

2020年の台風経路図(国立情報学研究所より)
2020年の台風経路図(国立情報学研究所より)

国立情報学研究所が発表している今年の台風の経路図は上図の通りです。

色分けは、中心付近の最大風速によって行われており、緑色が35ノット以上の台風の勢力、黄色が50ノット以上の暴風域を持つような台風、赤色が65ノット以上の強い勢力に相当する台風となっています。

今年すでに発生した台風は20個で、西日本の周辺にもいくつか強い勢力で接近してきていますが、いずれも九州の西側を北上し朝鮮半島方面へ向かうか、あるいは日本の南を急カーブして東へ進んでいますので、日本への上陸は未だゼロという状態です。

過去には11月30日に紀伊半島へ上陸した台風はありますが、これはかなりのレアケースですから、おそらく今年は2008年以来12年ぶりに台風の上陸が一つもない、ゼロの年ということになるでしょう。

一方、朝鮮半島やフィリピン、ベトナムには多数の台風が上陸しています。

特にベトナムには、8月以降、5個の台風(3号11号15号16号18号)が上陸していますので、発生が予想される台風21号がもしベトナムに上陸すれば、今年6個目となります。

参考:国立情報学研究所(デジタル台風)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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