帝国ホテル 東京で行われた6万円の豪華なコラボディナーとは? 全メニューを写真つきで紹介
日本人に人気のハワイ
日本人が好きな旅行先であるハワイの名門ホテルといえば、創業100年を超えるハレクラニ。このハレクラニと、1890年に開業した日本の名門ホテル、帝国ホテルは2009年に提携を開始し、様々なコラボレーションを行ってきました。
今年2023年も、14回目となる「ハワイ ハレクラニフェア 2023」が5月1日から6月30日まで開催されています。
帝国ホテル 東京とのコラボレーション
本館17階「インペリアルラウンジ アクア」では、ハレクラニのオリジナルレシピのスイーツやセイボリーを織り交ぜた「ハワイアンアフタヌーンティー with Halekulani」(平 9,200円、土日祝 9,800円)を提供。
本館中2階「オールドインペリアルバー」 では昨年ハレクラニのプールサイドに誕生した屋外バー「アールズ」で人気のカクテル3種をオリジナルレシピで提供。トロピカルな味わいの「ハレクラニ マイタイ」(3,200円)などを体験できます。
帝国ホテルプラザ 東京1階のホテルショップ「ガルガンチュワ」は毎年好評の「ハレクラニ ココナッツケーキ」(1,200円)に加えて、新作のケーキや惣菜などもラインナップ。「ハレクラニロゴマーク入り タンブラー」(2,860円)といったオリジナルグッズも用意されています。
充実のアラカルトメニューも
本館1階「パークサイドダイナー」ではハレクラニのバンケット・イベントシェフ、シェイデン サトウ氏が今回のフェアに際してメニューを書き上げました。昨年好評だった2品に加え、新作として、マグロを香ばしく焼き上げた「ハワイアン アヒポケ」(2,600円)やパイナップルの甘味を生かした「トロピカルシーフードカレー」(4,200円)を提供。
サトウ氏は「全てのメニューがオススメですが、もしも食べたことがなければ『ハワイアン アヒポケ』を、そうでなければ『トロピカルシーフードカレー』を召し上がっていただきたいですね」といいます。
「レ セゾン」で行われた特別ディナー
こういったメニューだけでも非常に充実していますが、これだけではありません。
帝国ホテル 東京のメインダイニングであり、ミシュランガイド一つ星の「レ セゾン」では、5月30日と31日に特別ディナー「ラ メール × レ セゾン コラボレーションディナー」(コース料理とペアリングドリンク/66,000円、税・サ込)が開催されました。
ハレクラニの総料理長であり「ラ メール」のシェフであるアレクサンドレ トレンチャー氏と「レ セゾン」のシェフであるティエリー ヴォワザン氏がコラボレーションして珠玉のコースを紡いだのです。
「ラ メール」とは
「ラ メール」はハレクラニが誇るファインダイニングで、オーシャンフロントのフランス料理店。フォーブス・トラベルガイドで最高の五つ星を受賞し、全米自動車協会によるレストラン格付けでは最高のファイブダイアモンドをハワイで最も長く獲得し続けている名店です。
トレンチャー氏はフランス・パリで生まれ育ち、フランス各地のレストランでシェフを務め、ミシュランの星獲得にも貢献しました。2012年にハワイのハレクラニに入社し、「ラ メール」でハワイの伝統とライフスタイルを取り入れたフランス料理を生み出しています。
メニューの内容
トレンチャー氏とヴォワザン氏によって、どのような料理が生み出されたのでしょうか。
コースの構成は次の通りです。
アミューズ(ヴォワザン氏)
冷製サラダ・ガーデン仕立て きゅうりのジュレ、生野菜とタラゴンソース ライム、コリアンダーとパセリのソルベを添えて(トレンチャー氏)
オマール海老を印象つけた一皿 紫蘇、フヌイユ、ソーテルヌの香り(ヴォワザン氏)
ヒメジのフィレ フェンネルムース、野菜スティックとカフィアライムのジャム サフランブイヤベースのジュース仕立て(トレンチャー氏)
優しく火を入れた鮑 アーティチョークポワヴラードのバリグール(ヴォワザン氏)
黒毛和牛フィレ肉のポワレ 玉ねぎのファルシー、ハリッサキャロット(トレンチャー氏)
柚子のムース、ローズの香るフランボワーズのジュレ 蜂の巣仕立てのチュイル(トレンチャー氏)
カフェとショコラ
ゲストシェフであるトレンチャー氏が4品、ヴォワザン氏がアミューズと2品を提供しました。
ワインのペアリングも含まれているのも嬉しいです。内容は以下の通り。
ドゥッツ ブリュ クラシック
ビルカール サルモン ブリュ ロゼ
カレラ ヴィオニエ 2014
ヴージョ “クロ・デュ・プリウレ” 2015
シルバー オーク アレクサンダー ヴァレイ 2016
信濃リースリング クリオ エクストラクション 2020
フランスやアメリカのワインを中心に据えながらも、最後は日本の極甘口ワインで〆るという流れになっています。
では、2人のシェフが生み出したコースを詳しく紹介しましょう。
アミューズ
アミューズは2品。グジェールは抹茶パウダーとマスコがのせられており、ちょっとしたアクセントがあります。「レ セゾン」の店名が蓋に刻印されたアミューズは定番メニュー。ピスタチオのクリームの底にカンパチがあり、上にはピスタチオ片が散りばめられています。濃厚で香りも豊かなので、辛口のシャンパーニュとよく合うでしょう。
冷製サラダ・ガーデン仕立て きゅうりのジュレ、生野菜とタラゴンソース ライム、コリアンダーとパセリのソルベを添えて
毛蟹をふんだんに用いたモダンなサラダ。リースを想起させ、金箔をあしらったプレゼンテーションが華美です。林檎、パセリ、キュウリ、ナスタチウム、スプラウトと食材が豊か。キャビアの塩味、コリアンダーのソルベの鮮やかな香りが全体を引き締めます。
オマール海老を印象つけた一皿 紫蘇、フヌイユ、ソーテルヌの香り
オマール海老を低温で丁寧に火入れして、その甘味やしっとりさが引き出されていました。アメリケーヌソースをイメージしたクリームソースは滋味に溢れています。とろっと仕上げたカブ、鮮やかな香味のソーテルヌや紫蘇が、オマール海老の佳味を際立たせます。
ヒメジのフィレ フェンネルムース、野菜スティックとカフィアライムのジャム サフランブイヤベースのジュース仕立て
フランスの高級魚「ルジェ」=「ヒメジ」を用いた魚料理。ヒメジは穏やかな火入れで、とてもやわらかくて繊細な味わいに。サフランブイヤベースのソースによって、輪郭がくっきりと浮かび上がります。添えられた野菜スティックとコブミカンのジャムが面白い取り合わせです。
優しく火を入れた鮑 アーティチョークポワヴラードのバリグール
鮑は殻付きのままでローストし、磯の香りと弾力のあるテクスチャ。しっかりと裏ごしされた肝のソースは、力強さとほろ苦さに加えて、精妙な風合いも感じられます。アーティチョークの心地よい苦味、コンフィしたトマトの慎ましやかな甘味、コクのある赤ワインソースが渾然一体となります。当然のことながら、赤ワインとの相性も抜群です。
黒毛和牛フィレ肉のポワレ 玉ねぎのファルシー、ハリッサキャロット
黒毛和牛のフィレ肉は、ダイヤモンドヘッドを表現するために、あえて三角柱の形にカットしました。竹炭パウダーをまぶし、精到な火入れを施しているので、非常にジューシーで、まろやかな妙味です。付け合せは、ポムスフレ=揚げたジャガイモ、クレイジーピー、ポロネギとドライパイナップルを包んだタマネギ。唐辛子をベースにした地中海生まれの万能調味料であるハリッサとニンジンのピューレは、独特の風味をもっていて必食の価値あり。
柚子のムース、ローズの香るフランボワーズのジュレ 蜂の巣仕立てのチュイル
キリリとした酸味を有する柚子のムースは、ローズの芳香とフランボワーズの酸味が秀抜なジュレによって、華やかになります。ハニーコーム形チュイールも印象的。周りに散らされたソースとパウダーは、初々しさが感じられるイチゴ風味です。
カフェとショコラ
小菓子はチョコレートのタルトとプティシュークリーム。チョコレートボックスの中から好きなものをチョイスできます。ダークチョコレート、ヘーゼルナッツのミルクチョコレート、オランジェットで、それぞれ個性的。全て選んで食べ比べてみると楽しいです。
ワインペアリング
ワインペアリングも含まれており、どれも出色のマリアージュでした。いくつかを紹介しましょう。
「ビルカール サルモン ブリュ ロゼ」はノンヴィンテージのロゼシャンパーニュ1位にも選出されたことがあります。エレガントで軽快ながらも、36ヶ月熟成なので味わい深いです。オマール海老との相性がパーフェクト。
「カレラ ヴィオニエ 2014」はカリフォルニア州では珍しいヴィオニエを用いた白ワインです。白桃やライラックの花の香りに、マカダミアナッツのニュアンスもありますが、ミネラル感も相当に感じられます。華やかな香りが、魚料理に共鳴するでしょう。
「ヴージョ クロ・デュ・プリウレ 2015」はフランス・ブルゴーニュ地方の赤ワイン。ピノ・ノワールでつくられていて、豊かな複雑味を有します。クリームソースに合うことは当然のことながら、鮑の肝やアーティチョークの苦味にも寄り添うという、工夫のあるセレクト。
食後酒はキッコーマンが運営するマンズワインの「信濃リースリング クリオ エクストラクション 2020」。クリオ エクスラクションは、完熟葡萄を凍らせてから溶けるのを待って搾るという、手間暇かかる醸造法です。リースリングならではの華やかなアロマと瑞々しい甘味が魅力的で、食事の最後で心に刻まれる一本。
ハレクラニフェアの背景
非常に素晴らしいコラボレーションディナーでしたが、この企画が持ち上がったのは1年程前。ちょうどその時期にも「ハレクラニフェア2022」が開催されていました。来年のフェアに向けて新しい企画を検討している最中で、コロナ禍で開催が難しかったシェフのコラボレーションを検討したといいます。
コロナ禍ということで、企画が決定してからすぐに両シェフによるオンラインミーティングを開催しました。「レ セゾン」でシェフを務めるヴォワザン氏はもちろんのこと、ホテルニューオータニ「トゥールダルジャン東京」で腕をふるったこともあるトレンチャー氏も、日本の食文化を知悉しています。
この名シェフ二人が議論を重ねていき、日本とハワイとフランスのエッセンスが見事に融合したメニューを完成させました。
来年は節目となる15年目
今回のコラボレーションについて、ヴォワザン氏は「お越しいただいた皆さまにお楽しみいただけるように、私自身も楽しみながら心を込めてつくりました。この想いをお客さまに届けられたら幸いです」と真摯に語ります。
ヴォワザン氏は秋に渡米し、2023年9月13日と14日に「ラ メール」でトレンチャー氏とコラボレーションディナーを開催する予定です。
来年は帝国ホテルとハレクラニがコラボレーションを始めてから15年目となる節目。今後のさらなる飛躍が楽しみです。