【国富町】「木と人が紡ぐ物語」 〜デザイン工房二輪舎の創作の世界と個展のお知らせ
宮崎県の杉やクスノキを用いて、物語のある家具を作り続けるデザイン工房二輪舎。各種イベントでは「こどもサロン」を開き、そこでは子どもたちが木工玩具で自由に遊んでいます。そんな二輪舎のアトリエにお邪魔して、主宰者の関屋和雄さんにお話を伺いました。
・古民家アトリエの大きな世界
築100年以上の古民家を改造して作られたアトリエは、全体に漂う古民家の趣に、木工作品が溶け込み、独特の風情を醸し出しています。
ただ、冬の寒さは少し厳しそうですが、それもまた古民家ならでは。
かつて宮崎市のジャズバーのオーナーでその後ギャラリーバードを立ち上げ、現在は画家として活動中の佐藤千盡さんのアトリエもあります。
・関屋さんの歩み
関屋さんは1972 年、高校卒業後に東京の木工家具製作の会社に就職。1978年にデザイン事務所の方圓館に入所。その後の1983年にデザイン工房二輪舎を設立。 革新的な建築集団として知られる象設計集団にも参画し、名護市庁舎の設計など、数々のプロジェクトに携わりました。宮崎に戻ってからは、国富町八代にアトリエを構え、施設のインテリアデザインやオーダーメイド家具の製作を手がけています。木城町の「えほんの郷」のインテリアデザインもその代表作の一つです。
若いころはかなり破天荒で、万博を見るため自転車で大阪まで何日もかけて行ったこともあったとか。家具デザインの道に進んだのは、特別なきっかけはなく、巡り合わせのようなものだったそうです。人生の選択とは、往々にしてそういうものです。
帰郷してからは上述のギャラリーバードで展示会を開いたり、よく足を運んでいて、佐藤千盡さんとは現在まで親交が続いています。
象設計集団とは
象設計集団は、地域の気候や風土、そこでの生活に調和する建築を目指していると解釈しています。土地に対抗したり支配するのではなく、その地に溶け込む建築を目指す象設計集団での経験は、関屋さんにとって大きな影響を与えたようです。
関連サイト:
象設計集団:公式サイト (外部リンク)
・作品に宿る物語
関屋さんの作品には、まずストーリーがあります。そのストーリーを軸に作品が生まれ、私たちはその背景を知ることで作品に、より深い魅力を感じることができます。逆に、作品から新たなストーリーを自由に想像する楽しさもあります。たとえば、「えほんの郷」森のえほん館のインテリアデザインでは、まず銀河鉄道をテーマにしたコンセプトが生まれました。
コンセプトを元に造られた展示用の棚は、太陽系の惑星たちが車両となった、銀河鉄道となりました。銀河鉄道は絵本という星々を、巡るかのように空間に配置されています。
関連サイト:
木城えほんの郷:公式サイト (外部リンク)
こういった物語は、作品ごとの組み合わせによって生まれることもあります。下の写真の椅子。お父さん、お母さん、子供達用と、椅子の大きさが違います。これを使う方は、自宅でこれらの椅子を見て、自然と家族の団らんが感じ取れるはずです。
下の椅子は、二つの椅子の曲線面が合わさると、太極図のようになりますね。
・円と縁が織りなす秋の個展
11月19から24日までの間、「円と縁・輪と和 展」と題した個展が開かれます。詳細はまだ未定ですが、家具や陶器を初めとする多彩な作品が展示される予定です。タイトルの「円」「輪」が指し示すように、丸の組み合わせがテーマ。そして人生の中で出会った「縁」そして「和」。これらが個展でどのように表現されるのか?会場で皆さんの目で確かめてください。ギャラリーバードの佐藤千盡さん、幸子さん夫妻の絵や陶器も展示されます。これも縁と和の一つです。
「円と縁・輪と和 展」
日付:2024年11月19日〜24日(日)
時間:10:00~17:00 (24日のみ16:00まで)
場所:市民ギャラリー夢たまご
住所:〒881-0012 宮崎県西都市小野崎1-76
電話:0983-42-0027
Instagram:公式インスタ
・木と人をつなぐ物語
二輪舎は、国富町民祭を初めとする国富の各種イベントに出店しています。同時に「子供サロン」のコーナーも設けています。そこで子供たちが関屋さんの制作した椅子に座り、木のパズルで遊んでいます。一度、作品と物語に触れてみてはいかがでしょうか