Go To一時停止、ホテル・旅館の本音は「止めて欲しい」「継続して欲しい」両方の声。停止なら協力金を
12月10日(木)、東京都内における新型コロナウイルス新規感染者数が最多の602人を記録し、1日あたりの全国の感染者数も最多の2970人となり、感染が収まらない状況が続くなかで、政府もGo Toトラベルの一時停止の議論を始めたという報道が出ており、今週末にも方針が示される可能性が高い。
これまではGo To継続希望が大勢だったが、一時停止をして欲しい宿泊施設が増えている
このような状況の中で、Go Toトラベルの恩恵を受けているホテル・旅館においては、Go Toトラベルの一時停止において「一定期間止めて欲しい」という声、「このまま継続して欲しい」という声に分かれる。11月中旬頃まではGo Toトラベルを継続して欲しいという声が圧倒的だった中で、第3波の到来においては、宿泊施設の経営者のGo Toトラベルに対する考え方に変化が生じ、一時停止はやむを得ないという声も出てきた。
一旦リセットしたい温泉旅館の本音
匿名を条件に取材に応じた東北の温泉地にある旅館経営者は、「12月に入って満室だった週末の予約のキャンセルが相次いでおり、新規の予約も完全に止まり、年末年始のキャンセルも出始めている。Go Toトラベル前の予約水準に戻りつつあり、一旦リセットして感染者が減り、安全に旅行ができる段階で再開して欲しい」と話す。同時に感染者数の推移で予約が変動することで従業員のシフトなどにも影響が出ており、従業員も疲弊してきており、今すぐにリセットが必要であるとの考えだ。
そして今週に入ってGo Toトラベルが6月末まで延期されることが決定したことで、一定期間の停止期間があっても、少なくても6月末までGo Toトラベルの恩恵を受けることができることがはっきりしたことも一時停止すべきという考えに変わった理由の1つであると旅館経営者は話す。
継続したいリゾートホテルの本音
また同じく匿名を条件に取材に応じた沖縄県にあるリゾートホテル関係者は、「年末年始のキャンセルも僅かであり、年末年始の一時停止を回避して欲しい」と話す。最近では、他の宿泊者との接触が特に少ないコテージタイプの部屋が人気で、コロナ禍で「密」を避ける旅行が定着しつつあり、旅行者自身がWithコロナの旅行スタイルを確立しつつあるとも話す。4月・5月の緊急事態宣言中とは異なり、仮に今後キャンセルが増えてもGo Toトラベルは継続して欲しいそうだ。
その理由として、飛行機の機内ではクラスターが発生しておらず、コロナに最大限気をつけながら、人との接触は最小限にし、気分転換したいという旅行者が多く、一定の需要はあるからだ。加えて、滞在中の外食が顕著に減っており、ホテル内のレストラン利用率が上がっているほか、地域共通クーポンが使えることでルームサービスの需要も増えているとのことだ。
仮に一時停止となればキャンセルが相次ぐことが予想されるが、年末年始に限れば、Go Toトラベルの35%割引前の価格との差額を払ってでも宿泊する旅行者も一定数いるが、年明けまで続くことになれば経営的なダメージは大きく、旅行に不安を持つ人のキャンセル料は無料対応しつつも、新型コロナウイルス対策を万全にすることで、何とかこのまま継続して欲しいという本音を口にしている。
Go To一時停止と補償はセットに。キャンセル分の35%の補償に加えて、直接給付の「協力金」を検討して欲しい
仮に一時停止になった場合には、これまでのケース同様にキャンセル見合分として旅行代金もしくは宿泊代金の35%分が宿泊施設や旅行会社などに補償される可能性が高いが、それだけの補償では全く足りないという声が圧倒的だ。
これだけ感染者が多い状況が長い期間続き、経営がより厳しい状況のなかで、一時停止で大きく影響を受けるGo Toトラベルに参加の宿泊施設などに対し、飲食店の自粛要請同様に直接現金給付する「協力金」を導入して欲しいという声が「一定期間止めて欲しい」「このまま継続して欲しい」という考えに関係なく多く出ている。Go Toトラベル一時停止と協力金はセットで考えて欲しいということだ。旅行業界内からは、そうでなければ倒産・廃業が現実的になってくる宿泊施設が多く出てくるだろうという見方が出ている。
飲食店のように一律の金額ではなく、売り上げ規模に応じた協力金が支給されることになれば、金額次第にもよるが一時停止を前向きに考えるホテル・旅館が増えそうだ。11日の分科会を踏まえて、今週末にもGo Toトラベルの一時停止における方針が示されることになりそうだ。