同級生に46万円のお年玉を配ろうとした中国の小学生は何が問題か?
中国は、今月1日に春節(旧正月)を迎えた。新年のお祝いには、日本と同じように年長者が子供達にお年玉を渡す習慣があるが、先生や同級生に46万円ものお年玉を配ろうとした気前の良い小学2年生が出現。今や“お金持ち”となった中国の人たちは、この少年をどう見たのか?
札束を詰め込んだリュックで登校
中国メディアで話題になっているのは、江蘇省の蘇州の7歳の少年。
小学2年生のこの少年は、正月の休暇が明けた登校初日、リュックサックの中に大量の札を詰め込んでいた。数えると金額は2万5500元。日本円に換算すると約46万円だった。
驚いた先生は、すぐに母親に連絡。連絡を受けた母親も驚いた。
母親によれば、その金は少年自身と少年の姉が貰ったお年玉と、年越し用に準備した現金の残りだという。後日、銀行に預けようと引き出しの中にしまっておいたが、少年は、その金をリュックに詰めて学校に行ったのだった。
少年はその理由についてこう話している。
「お年玉を同級生と先生に分けてあげようと思った」
少年へのインタビューは、同級生達へのお年玉の“資金”を親に回収された後だったのであろう。少年はまだあどけない声で、明るくこうも話している。
「しっかり勉強して、大きくなったらお金を稼いで、みんなにお年玉をあげる。たくさんのお年玉」
気前の良さを絶賛?
このニュースに接したネット民の書き込みには、お国柄が滲んでいて楽しい。
「大きくなったら、必ず逸材になる」
「この少年は、今後大きな仕事を成し遂げる」
「必ずや大慈善家になる」
などと、少年を讃える声が多いのだ。面子を大事にし、気前の良さを愛する、いかにも中国人らしい反応だ。
もちろん、「今から君の同級生になっても間に合う?」などと調子の良いことを言う輩は、どこにでもいる。
親の金の管理のずさんさを指摘する声はあるが、不思議と、日本なら先ず出そうな、「子供にお年玉を与えすぎ」という類の批判は、私が見た範囲では無い。批判どころか少年を褒める声の多さに、正直なところ「えー、そっち?」と思ってしまった。
必要なのは...
共産党系のメディアは、こうした出来事からしっかり教訓を見出す。
例えば、「北京青年報」は「“財商教育”が不可欠であると浮き彫りにした」と題する評論を掲載した。
論評は、学生間にお年玉を持ち込んでは、友情と私利が絡み合って、人間関係が単純で無くなってしまうなどの問題も指摘する。だが、「多額すぎるお年玉を与えるべきではない」という直接的な指摘はない。
結論は、今の中国では数千元、数万元のお年玉を受け取る小中学生が少数ではないことを認めた上で、お年玉をいかに正しく、合理的で科学的に使用、管理するかを学校や家庭がきちん教える必要があるとなっていた。
もはや今の中国の人々は、子供達にお金を与えすぎ、とはあまり感じないようだ。