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トヨタ自動車・古川満、明治大学での話題の会見から約半年。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
当日は背番号4をつけてプレー。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 明治大学ラグビー部は今年1月7日、昨年度の大学選手権で19年ぶりに決勝戦に進出。同8連覇中だった帝京大学に20-21と迫った。結局は王者の9連覇達成を許したが、スリリングな試合展開に注目が集まった。

 

 同時に話題を呼んだのは、試合後の記者会見だった(明治大学の潔すぎる敗戦談話。「差」はどこに?【ラグビー旬な一問一答】)。

 キャプテンだった古川満は、「きょうは試合が始まってから終わるまで、本当に温かいファン、OB、OGの方々が、19年分の思いの詰まったような応援をしていただいた。(中略)本当に、こうした素晴らしいOB、OGに応援してもらえる明治大学を選んで本当によかったと思います。今度は卒業してOB、OGの仲間に入って、22年ぶりの優勝に向け、受けてきた恩を返していけたらと思います」と発言。隣に座っていた丹羽政彦監督(当時)も「大人になりまして」と恐縮しきりだった。

 さらに、この日ゴールキックを外し続けて悔し涙にくれた味方の堀米航平についてはこう話していた。

「キッカーはキックを蹴る勇気のある人にしかできないし、堀米は今日の試合でもキックで前に出してくれて、タックルでも身体を張ってくれた。何も言うことはありません」

 この談話は、今年の『ラグビーマガジン4月号』の読者投票企画で「ベストコメント」として紹介された。

 真摯な態度で称賛された古川は現在、国内トップリーグのトヨタ自動車でプレー。ロックの定位置を争っている。

 6月2日、東京・日野自動車グラウンドでおこなわれた日野ドルフィンズとの練習試合で先発。試合後、現在の心境を明かした。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――練習試合、いかがでしたか。

「1か月間トヨタで練習してきたことを出すこと、与えられた責任を全うすることを意識して臨みましたが、課題が多く出た。チャンスをいただけているうちにいいパフォーマンスができるよう、いい準備をしていきたいです。ラインアウトのサイン出しのリードなどは全然、できていなかった。個人のキャッチミスもあった。ラインアウトは、もっとやっていかないといけないなと思います。(トヨタ自動車のロック勢には)いい外国人選手もいる。身長では勝てないですが(2メートル級のライバルに対し、186センチで対抗)、ワークレート、激しさ、泥臭さを磨いて、80分間戦い続けられるプレーヤーを目指していきたいです」

――ところで、あの日の記者会見が大きな反響を呼んでいます。

「(笑いながら)ちょっと恥ずかしいという気持ちはありますけど、それほどあのゲームを皆さんに注目していただいたということはトヨタに入っても感じますし、いまは後輩たちも頑張っている」

――「後輩たちも頑張っている」。4月30日の春季大会では、明治大学が帝京大学に勝ちました。

「やっぱり、僕らの代で負けたことを悔しいと思ってくれていると感じますし、いままでは帝京大学に勝つ、勝つと言ってもあそこまで接戦を繰り広げたこともなかった。あそこで帝京大学との距離(が遠くないこと)に現実味を増してきたことが、頑張れるエナジーになっているのかな、とは思います」

 明治大学は結局、春季大会で全勝優勝。同大のロック勢の多くは、前キャプテンの渋い働きを手本としているという。

 いまは新天地でのチャレンジに集中する古川は、「後輩たちに負けないような、トップリーガーの名に恥じないようなプレーをしていきたいと思います」と締めた。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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