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主な新興国/米国経済ニュース(19日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米アドビ、2014年3-5月期の利益・売上高予想上回り株価急騰

米文書・画像処理ソフト大手のアドビ・システムズ<ADBE>が17日に発表した2014年3-5月期(第2四半期)決算は、純利益が前年比16%増の8850万ドル(約90億3000万円)、1株当たり利益(希薄化後)も同13%増の17セントとなった。また、調整後の1株当たり利益は37セントとなり、アナリスト予想の17セントを大幅に上回った。

大幅増益となったのは、インターネットを使って様々な機能を提供するクラウドサービス「クリエーティブ・クラウド」の販売が前年比23%増の2億8300万ドル(約290億円)となって全体の売り上げを押し上げたため。売上高は前年比6%増の10億7000万ドル(約1090億円)となり、アナリスト予想の10億3000万ドル(約1050億円)を上回った。特に、クリエーティブ・クラウドの同四半期中の新規契約者数が47万6694件と、前年比1.9倍増となった。

この決算結果を受けて、同社の株価は17日、0.12%安の67.54ドルで引けたあとの時間外取引で急騰した。米東部時間17日午後7時59分時点では9.42%高の73.9ドルとなっている。

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米ネットフリックス、モルガンの投資判断“オーバーウェイト”で株価急騰

米オンラインDVDレンタル・映像ストリーミング大手ネットフリックス<NFLX>の株価が17日、米証券大手モルガンスタンレーによる投資判断の開始を受けて、3%以上の大幅高となった。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが伝えた。

モルガンスタンレーのアナリスト、ベンジャミン・スィンバーン氏はネットフリックスの投資判断を「オーバーウェイト」(ベンチマークがその資産を組入れている割合より、そのファンドにおける組入比率が高いウェイト)の格付けを新たに付与し、予想適正株価を500ドルに設定。その上で、同氏は、「ブロードバンド技術の進展に伴い、ネットフリックスの契約件数は2020年までに全世界で1億1000万件に達する」と事業が順調に進む、と予想している。

ネットフリックスの株価は17日、3.11%高の443.65ドルで引けた。

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米サントラスト銀行、住宅ローンの不正組成で990億円の和解金支払いへ

米金融大手サントラスト銀行(本店・ジョージア州アトランタ)<STI>は17日、同行が2006-2012年に不適切に組成した住宅ローンが2008年の世界的な金融市場の混乱で不良債権化した問題で、米司法省や全米49州とワシントンDCの司法当局に対し、合計で9億6800万ドル(約990億円)の和解金を支払うことで合意したことを明らかにした。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)などが伝えた。

サントラスト銀行は2006年1月から2012年3月に、FHA(連邦住宅管理公団)の債務保証付きで住宅ローンを組成し引き受けたが、FHAの融資規定を満たさない住宅ローンをローンチしたため、その後、2008年の世界的な金融市場の混乱で不良債権化しことについて、今回の司法当局との和解で、住宅ローンの借り手に損害を与え、また、納税者の税金を無駄遣いしたことを認めたもの。

和解金のうち、約半分の5億ドル(約510億円)は、同行の住宅ローンで損害を受けた住宅取得者の救済に使われ、残りの4億6800万ドル(約480億円)は制裁金として司法当局に支払われる。

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米アマゾン、新型3Dスマートフォンの通信サービスでAT&Tと提携か

米オンライン小売り大手アマゾン<AMZN>は18日に正式発表した3次元(3D)ディスプレイ・モニターを搭載した新型スマートフォンのワイヤレス通信サービスの提供で、米通信大手AT&T<T>と提携するもようだ。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が関係筋の話として伝えた。

AT&TはすでにアマゾンのタブレットPC「キンドル・ファイア」などのワイヤレス通信サービスを開始しており、これにアマゾンの3Dスマートフォンのユーザーが新たな契約者として加わることで、競争が激化している米国の携帯電話サービス市場で優位に立つことが可能になる。

アマゾンのスマートフォンの開発関係者は、3Dスクリーンはゲームを楽しめるだけでなく、ファッションや玩具などの商品を360度パノラマビューで見られ、ビジネスツールとしてもメリットが高いとし、また、映画チケットや電子ブックなどの購入ツールとしての利用価値も高いと見ている。

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セルビア、ロシアの送ガス管網「サウスストリーム」の建設継続を表明

今月初め、ブルガリアがロシア産天然ガスを黒海経由でウクライナを通さずに欧州各国に送るガスパイプライン「サウスストリーム」(輸送量は年間630億立方メートル)の建設工事の一時中断を決めたのを受けて、セルビア政府も先週、同様な措置を決定する見通しを示していた問題で、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は17日、セルビアのイビツァ・ダチッチ外相との会談後、セルビア政府がサウスストリームの建設工事を継続する意思を確認したことを明らかにした。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。

一方、サウスストリームの建設主体であるロシア国営天然ガス大手ガスプロムも17日に声明文を出し、セルビア政府はサウスストリームの自国領土内の区間の建設工事を請け負う業者選定の入札をまもなく終了する見通しで、7月末までには地元の建設会社と正式に契約を結ぶとの見通しを明らかにしている。

サウスパイプラインの建設投資額は155億ユーロ(約2.2兆円)で、2012年に工事が開始され、計画では2018年までに欧州の天然ガス需要の15%相当をフル供給することになっているが、第1段階で150億立方メートルのロシア産天然ガスを2016年1-3月期から供給する予定だ。

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ベトナム初の原発、実現可能性調査の承認は2015年にずれ込む見込み

ベトナム産業貿易省・原子力・火力発電局のドアン・テ・ビン副局長は16日、同国南部ニントゥアン省に建設を予定している同国初の原子力発電所(原子炉2基)のフィージビリティ(実現可能性)調査の承認は来年1-3月期にずれ込む見通しを明らかにした。ベトナム紙トイチェー(電子版)などが17日に伝えた。

同副局長によると、フィージビリティ調査を行っているロシアのコンサルティング会社E4-KIEP-EPTは今年8月に同調査に関する報告書をまとめる見通しで、その後、科学技術省や天然資源省による検討を経て、ベトナム議会が2010年5月に設立したニントゥアン原子力発電所プロジェクト運営委員会が2015年1-3月期に最終承認する見通しだとしている。

当初、ニントゥアン原子力発電所は2014年に建設に着手し、2020年から稼働する予定だったが、今年1月にグェン・タン・ズン首相は、建設着工は2020年にずれ込む見通しを示した。一方、運営委員会は原子炉建屋の建設は早くても2017年か2018年初めになるとしている。政府は、1号機はロシア、また、2号機は日本の技術を使うことを決めている。

また、ドアン・テ・ビン副局長は、同発電所は2017年に着工し、1号機は2020年から稼働するとしており、原発建設が当初計画よりも遅れていることについて、「計画は修正されているが、予定より遅れていない」と主張している。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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