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スマホは97.1%、ガラケーは9.2%…モバイル端末の利用状況

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
携帯電話のスマートフォンへのシフトは急激に進行中。現状はいかに(写真:イメージマート)

日本の従来型携帯電話(ガラケー)はインターネットへのアクセスが可能でビジュアル面も充実しており、マルチメディアフォンと呼ばれる面もあるほどの高機能ぶりを持つことから、利用者がその機能に満足してしまい、スマートフォンへの移行が他国と比べて遅れ気味だった。しかし昨今では急速にガラケーからスマートフォンへのシフトが進みつつある。新型機として市場に新規投入される機種の大部分がスマートフォンであることから、特に若年層のスマートフォン利用率は年単位で大きく伸びていることが各調査でも判明している。今回は総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から、従来型携帯電話、スマートフォン、そして同じモバイル機としてタブレット型端末の合わせて3種における、利用の現状などを確認する。

次に示すグラフは年齢階層別の従来型携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末の利用率。所有率ではないので、所有権に関する考慮は不要(10代では利用していても自分の所有物ではない可能性がある)。

↑ スマートフォン・従来型携帯電話・タブレット型端末利用率(年齢階層別)(2022年)
↑ スマートフォン・従来型携帯電話・タブレット型端末利用率(年齢階層別)(2022年)

例えば10代ではスマートフォンと従来型携帯電話の回答値の合計が100%を超え103.6%となることから、双方の端末を同時に利用している人が少なからずいることが分かる。利用スタイルとして使い分けているか、あるいは単に移行の過程にあるかは人それぞれだが、双方項目の年齢階層別の回答率を見るに、従来型携帯電話からスマートフォンへの移行が若年層から少しずつ起きていることが推定できる。60代ではまだ6人に1人ほどが従来型携帯電話を利用しているが、50代までは1割にも届かない。

スマートフォンの利用率は30代がピークで、それ以上の年齢では50代まではほぼ同じで60代で減少。従来型携帯電話は30代が最小値で、60代がやや高くなる。現時点では60代までのすべての年齢階層でスマートフォンの方が上。

他方タブレット型端末だが、40代がピークを示しているが、値そのものは携帯電話ほど年齢階層別の差異が出ていない。これは先行記事などで触れているが、個人所有の事例がさほどなく、世帯別での所有機として家族皆で使う事例が多々あり、年齢階層別の利用率の差が出にくいことが要因と考えられる。また全体値で従来型携帯電話の値を超えて4割近くに達しているのも、注目に値する。

従来型携帯電話よりもスマートフォンの利用率が極めて高い若年層と、まだ従来型携帯電話がそれなりに利用されている高齢層という構造の、携帯電話の利用状況。家庭共用スタイルが多く年齢階層間格差があまり出ないタブレット型端末。若年層ではすでに飽和状態に近づき、中年層にシフトし、高齢層に影響がおよび始めたスマートフォン化の波。携帯電話関連、モバイル系の他調査でかいま見られた動向が、ずばりそのまま明確化した形で現れる結果が出ている。

特に従来型携帯電話からスマートフォンへのシフト動向は貴重なデータで、今後スマートフォンの普及状況がどのような変化を見せるのかを推し量ることができる。今件の結果の限りでは、全年齢階層でスマートフォンの利用率が従来型携帯電話を超えている。とはいえ、60代では未だに16.2%もの人が従来型携帯電話を利用している。

高齢層の利用スタイルを想像すれば、何か技術上の劇的な変化がない限り、スマートフォンの利用率上昇そのものは継続するが、今後も従来型携帯電話の利用率が高止まりするのは容易に想像できよう。あるいはLINEのように、利用のためにはスマートフォンが事実上必要不可欠となるサービスが、高齢者のスマートフォンの利用率向上を後押しするのだろうか。

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※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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