ハワイで「冬の嵐」史上最も標高の低い場所で積雪、85メートルの強風も
あまりピンと来ないかもしれませんが、10日(日)常夏のハワイを「冬の嵐」が襲いました。発達した低気圧の影響で、ハワイ島のマウナケア、マウナロア、またマウイ島のハレアカラといった山々が雪化粧したのです。ハレアカラでは一時、珍しい雪を一目見たいという人々の車で大渋滞が起きたようです。
これら3つの場所は標高が3,000~4,000メートル級であるために、雪はさほど珍しいことではありませんが、興味深いのは、マウイ島の標高1,900メートルに位置する「ポリポリ・スプリングス州立保養地」で雪が降ったことです。ハワイ州土地自然資源局によると、この標高での積雪はハワイの観測史上初めてである可能性があるようです。
ハリケーン級の強風も
マウナケアでは大雪に加え、最大瞬間風速85m/sの風が吹きました。いくら山の上とはいえ、風速85m/sといえば、最強クラスである「カテゴリー5」のハリケーンよりも強い風といえます。
ハワイの気象局の人の話によると、年に一度は67m/s程度の強風が吹くことはあるものの、今回ほどの風は経験したことがないということです。嵐が続く恐れから、標高4,050メートルに位置するビジターセンターは12日(火)まで閉鎖されるようです。
ホノルルでは倒木、冠水
一方、オアフ島ノースショアでは18メートルの波が観測され、ホノルルでは樹齢100年とみられる大木が倒れ、道路が冠水するなどの被害が報告されました。
雪と嵐の原因「コナ・ストーム」
この悪天をもたらしたのが「コナ・ストーム」と呼ばれる低気圧です。
コナ・ストームとは、冷たい空気を伴って、たいていハワイの北西から接近してくる低気圧で、長い期間にわたって悪天を引き起こすことがあります。主に冬の間に出現することが多く、平均で年に2~3回ほど現れては、大雨、山雪、強風、雹や水上竜巻などを発生させるのです。
1980年1月のコナ・ストームは、ハレアカラに3日間で1,270ミリもの雨を降らせ、2008年12月のコナ・ストームは落雷でオアフ島全域に停電を発生させました。ハワイ出身のオバマ次期大統領(当時)がハワイで休暇を楽しんでいた最中の出来事でした。