鉄道係員への暴力行為、2019年度は581件発生
・2019年度における鉄道係員への暴力行為は581件、前年度比で49件の減少。
・鉄道係員への暴力行為は深夜、曜日は金曜日、場所はホームが多い。
・鉄道係員への暴力行為のうち加害者が飲酒ありの状態だったケースは61.3%。
日本民営鉄道協会は2020年7月2日に、2019年度(2019年4月から2020年3月)に発生した、大手民鉄16社・JR6社・札幌市交通局・東京都交通局・横浜市交通局・名古屋市交通局・福岡市交通局・埼玉新都心交通・東京モノレール・ゆりかもめ・首都圏新都市鉄道・多摩都市モノレール・北総鉄道・横浜シーサイドライン・愛知環状鉄道・Osaka Metro(計36社局)における、駅員や乗務員など鉄道係員へ行われた暴力行為の件数に関する集計結果の報告書を発表した。それによれば2019年度の該当件数は581件となり、昨年度からは減少はしたが、引き続き高い水準にあることが分かった。行為発生の時間帯では昨年度に続き深夜時間帯が多く、発生場所ではホームでの事案がもっとも多い結果が出ている。
2019年度における該当鉄道会社各社の、鉄道係員に向けて行われた(利用客による)暴力行為件数は581件。昨年度の630件より49件減少し、一日あたりの平均回数は約1.59件となった。5年連続の前年度比減だが、高い水準が維持されていることに変わりは無い。
曜日・時間帯別では週末・深夜帯での発生件数が多く、後述する飲酒の有無と併せ「週末に飲酒しての帰り道」のような状況で事案が発生するケースが多いことをうかがわせる。特に週末にかけて、飲酒を伴った事例が顕著であったことから、リリースでも特記事項として「月別では4月と7~8月、11~12月、曜日別では週末にかけて、時間帯別では深夜の発生件数が多いことから、暴力行為と飲酒に相関関係が見られます」との表現が確認できる。
事件発生時における加害者側(利用客側)の飲酒状況についてだが、6割強が「飲酒あり」との結果が出ている。上記の値と併せ、週末で酒を飲み気が大きくなった利用客による事案発生を想像させる。
事件の発生場所だが、これは「ホーム」が最多で223件。次いで「改札」が214件、「車内」が69件で続いている。「ホーム」は電車待ちの状態で他の客といざこざを起こして止めに入った鉄道係員に暴力をふるったり、酩酊状態を鉄道係員に注意されたところ逆上したりというパターンが想定される。また「改札」では切符などを使わない無理な通過の試みやICカードの誤動作をはじめとする、改札通過時のトラブルがきっかけとなり、鉄道係員との間のいざこざ発生が容易に想起される。ホームや改札でその類のトラブルを目撃した経験がある人も少なからずいるはずだ。
最後は冒頭でも言及した、加害者(利用者)側の年齢。絶対数と全体比の算出を年齢階層別に行っている。比率の観点では大きな変化は無い。あえていえば、20代以下や30代がいくぶん少なくなっているように見えるぐらいだろうか。
鉄道係員への加害事案は「自分はお客の立場で偉い。多少の暴挙でも許容範囲」と横柄な考えを持つ人によるものが少なからずあると考えられる。それが明確な意図でなくとも、潜在的なものとして持っていれば、各種暴挙につながることは容易に想像できる。
しかしその考えは独りよがりのもの。自分と相手がどのような立場でも、そして自分がさらに飲酒状態でも、今回挙げられた各種行為は犯罪に違いない。その事実を改めて認識すべきである。
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