鉄道利用客の迷惑行為ランキング、最上位は「座席の座り方」(2019年公開版)
日本民営鉄道協会は2019年12月19日、駅と電車内(鉄道)のマナーに関するアンケート(※)の結果を発表した。その内容から電車利用時における迷惑行為の実情を確認する。
駅や電車は多人数が同時に参加・利用する公共の場でもある。当然道徳、倫理の類を守らないと、多数の人が迷惑をこうむることになる。今件ではそのような「鉄道施設内などにおける迷惑行為」について尋ねている。
列挙されている事例のうち、自分が特に迷惑だと思う内容のものを3つまで挙げてもらった結果が次のグラフ。最上位には「座席の座り方」がついた。4割強の人が「迷惑だ」と感じている。
「座席の座り方」は具体的には足を大きく広げたり、姿勢を崩したり、あぐらをかくなどして、座席の設計時に想定したよりはるかに大きなスペースを取り、他の人の着席を邪魔するような行為が当てはまる。さらにはお年寄りや身体の不自由な方、妊婦の方などに席を譲らない行為や、子供が靴を履いたまま座席に立つ行為も含まれる。
第2位は「乗降時のマナー」。詳しくは後述するが、具体的には「扉付近から動かない(乗降を妨げる、奥に詰めないなど)」がもっとも多く、「乗降時のマナー」のうち56.5%を占めている。出入りがしやすいようにとの考えからだろうが、他の人の乗降には大変迷惑な行為に他ならない。「ドア際族」とでも表現すべきか。
第3位は「荷物の持ち方・置き方」。具体的には座席に置かれた荷物や濡れ傘など、そして最近利用する人が増えているリュックサックやショルダーバッグなどが邪魔となる状態を意味している。リュックサックやショルダーバッグは利用者の増加とともに迷惑さを覚える人が増えており、「荷物の持ち方・置き方」の中では最大の迷惑要因(68.2%)となっている。もっとも今件は2018年では37.3%でトップ項目だったものが2019年では第3位にまで落ちており、リュックサックやショルダーバッグの電車内での持ち方に関して注意喚起などが行われたことが、利用者に適切な判断を取らせたものと考えられる。
今回の調査結果に関して、回答者の男女別に見ると、いくつかの違いが確認できる。
男性はトップが「座席の座り方」で、これは女性も変わりない。しかし女性の値は男性をはるかに上回るものとなっており、男性以上に女性が座席の座り方に関して迷惑を感じている、さらには実際に迷惑行為を受けているであろうことが想像できる。
2018年ではトップだった「荷物の持ち方・置き方」は男性では第4位に留まっているが女性では第2位。2019年から新たに選択肢として加えられた「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」が女性では第4位に入っていることも併せ、身近にいる利用客による自分に直接かかわる行為に、女性は男性以上に敏感なのかもしれない。
迷惑行為のうち上位の「座席の座り方」「乗降時のマナー」に関して、細分化をした上でもっとも迷惑を覚える行動を示してもらった結果が次のグラフ。
「座席の座り方」のトップは「座席を詰めて座らない」で6割強。具体的には間を広く取ったり、荷物を置いたり、足を広げる行為などを指す。本人は悪気は無い、あるいは自分の権利だとしてむしろ正当な行為であるとの認識すら持っているのかもしれないが、多くの人は迷惑だと思っているに違いない。一方で男性に多い行為として「座りながら足を伸ばす・組む」も2割強が同意している。
「乗降時のマナー」では5割後半が「扉付近から動かない」。車両に乗り込んだら奥の方まで行けばよいのだが、混雑時には降車駅で降りられなくなるのではとの不安があり、扉付近のポジションを維持してしまう。その気持ちは理解できるが、乗降車する人には邪魔以外の何ものでもないのもまた事実ではある。
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※駅と電車内のマナーに関するアンケート
正式名は「駅と電車内の迷惑行為ランキング」。2019年10月1日から11月30日にかけて日本民営鉄道協会公式サイト上で行われたもので、有効回答数は2676人。男女比、年齢階層別構成比は非公開。協会サイトへのアクセス者による結果であり、いくぶんなりとも鉄道に興味関心を持つ人による結果であることに留意が必要となる。
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