台風5号を含むトリプル熱帯擾乱が発生中、今後の動向は?
台風5号は沖縄から九州の西海上を北上へ
きょう午前3時に沖縄の南海上で台風5号が発生しました。
台風はやや発達しながら宮古島の近海を北上しており、きょう午後3時には、中心気圧998hPa、最大風速20メートル、最大瞬間風速30メートルの勢力となっており、沖縄県の伊是名では午後3時過ぎに最大瞬間風速28.6メートルを観測しました。
台風5号は今後もやや発達しながら北上し、あす10日(月)午後3時、九州北部に最も接近している時点で、中心気圧990hPa、最大風速25メートル、最大瞬間風速35メートルが予想され、台風中心に最も近い長崎県では海上や沿岸を中心に暴風が吹き荒れるおそれがあり、警戒が必要です。
長崎県以外の九州でも強風や高波、激しい雨などに注意が必要です。
なお、台風5号は秋台風のように日本海を早い速度で北東進し、あさって11日(火)には温帯低気圧に変わり、北海道に接近する見通しです。先日の台風4号から変わった危険な低気圧でもおととい7日(金)は大荒れとなりましたが、再び雨や風が強まる心配がありますので、北海道でも警戒が必要です。
2つの熱帯低気圧は?
台風5号の他に、きょう午前9時、2つの熱帯低気圧が発生し、台風5号と合わせて、いま南の海上にはトリプル熱帯擾乱(ねったいじょうらん)が発生中です。
気象庁のあす10日(月)午前9時の予想天気図をみると、これら2つの熱帯低気圧ともに特に発達傾向は見られず、中心気圧も下がる予想とはなっていません。
種々の計算結果をみても、今後台風まで発達するような予想は、今のところ皆無となっていますが、海水温が30℃程度あるため、念のため今後の動向を注視したいと思います。
太平洋で対流活動が活発に
今年は統計史上初めて7月に台風の発生がゼロになるなど、台風2号が6月12日に発生し6月14日に消滅して以降、南の海上では静かな状態が続いていました。
ところが8月に入った途端、1日に台風3号と台風4号が立て続けに発生し、けさ台風5号が発生するなど、8月に入ってから量産体制に入っており、さらに2つの熱帯低気圧が発生中でもあり、7月までとは明らかに状況が変わってきているようです。
そこで少々専門的ではありますが、下層(上空約1500m)の風の収束や発散を示した図をみてみましょう。赤色は濃いほど平年より収束が強く、対流活動が活発なことをあらわし、逆に青色は濃いほど平年より収束が弱く、対流活動が不活発なことをあらわしています。
南の海上が静かだった7月初め(1日~7日)は日本の南の太平洋が青一色であったのに対し、8月初め(7月29日~8月4日)には赤色に転じ、明らかに状況が変わりつつあることをあらわしています。
もちろんこれだけでは対流活動のすべてを語ることは到底出来ませんが、今後も太平洋で下層収束が強ければ、熱帯低気圧や台風の発生に有利に働くことが予想されるため、最新のデータを常にチェックしたいところです。