台風10号は関東に接近 増える9月の上陸
台風10号は8日(日)午前にかけて関東に最も近づく見通しで、東京都心でもまとまった雨が降りそうだ。今年10年ぶりの平年値改定で、9月が上陸トップとなった。高い海面水温が秋台風を活発化させている。
8月は予想が難しい
台風10号は7日(土)午前9時現在、日本の南海上を1時間に25キロの速さで北東に進んでいます。中心の気圧は990ヘクトパスカルで、今の勢力を維持したまま、7日夜から8日(日)午前にかけて、伊豆諸島から千葉県の房総半島沖を進む見通しです。
3日前の予想では関東に近づく頃の予報円の大きさが直径1,400キロもあり、本州がすっぽりと入ってしまうほど巨大な予報円でした。その後は徐々に小さくなり、今は直径130キロです。8月は台風を流す風が弱いため、ちょっとした気圧配置の変化に敏感で、予想進路が定まるまで時間がかかることがあります。
東京都心はまとまった雨に
発達した雨雲が台風の北側に広がっていて、7日昼前から関東地方にかかり始めました。台風はあまり強くないとはいえ、台風が関東地方に近づく8日午前は雨、風が強まる可能性が高いです。
台風 平年値に変化
昨シーズン(2020年)は12年ぶりに台風の上陸がない、珍しい年になりました。今年はすでに台風8号が宮城県に上陸し、台風10号も関東に接近しています。今年は早いうちから台風の影響が出始めているように感じています。
今年は10年ぶりに台風の基準となる平年値が改定されました。こちらは新旧の平年値を比べた図です。旧平年値は1981年~2010年(左)、新平年値は1991年~2020年(右)です。
この10年で発生数は減り、上陸数は増えました。しかし、その差はわずかで、大きな変化とはいえません。
しかし、月別に詳しく見てみると、ある傾向が浮かび上がってきました。これまでは8月が発生数、上陸数ともに一番多かったのですが、新しい平年値では上陸数トップが9月になりました。そして9月は発生数も増えています。
なぜ、9月上陸が増えているのか
近年、猛暑が定着し、海面水温の高い状態が秋まで続くこと、太平洋高気圧(夏の高気圧)の後退が遅れ、台風が日本列島に近づきやすい気圧配置が長く続くことが挙げられます。
秋台風は大型化しやすく、被害が甚大化しやすい特徴がありますが、ますますこの傾向に拍車がかかっているように感じています。
2011年静岡県浜松市に上陸した台風15号、関西国際空港が高潮被害に見舞われた2018年の台風21号、千葉県で停電被害が深刻化した2019年の台風15号など記憶に残る台風がいくつもあります。
台風シーズン長引く予想も
このところの暑さの影響で、海面水温は非常に高く、日本海から北日本で平年を大幅に上回っています。そして、9月、10月は太平洋高気圧が日本の南で強く、季節の進みは例年より遅れる見通しで、台風シーズンが長くなる可能性があります。
【参考資料】
気象庁ホームページ:過去の台風資料