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活動だけでなく「PTA会費」も見直しを 世帯ごとの負担に“約30倍”もの開きがある

大塚玲子ライター
やらない人を「ズルい」と感じるのは、義務だと思っているからです(ペイレスイメージズ/アフロ)

 加入や活動を強制しないPTAが、ようやく少しずつ増えているようです。法的な裏付けがないのに、会費の徴収や活動を強いることの危険性や理不尽さに気づく人が多くなったのでしょう。

 しかし一方で、PTAはこれまで長い間「全員必ずやらなければいけない義務」と認識されてきたため「やらない人はズルい」と考える人も、まだそれなりに残っています。

 たとえば、ポイント制などでPTA活動を仕方なくやってきた人たちは、「強制をやめたら、これまでやってきた分、自分が損をしてしまう」と感じ、加入意思の確認に反対することもあります。

 気持ちはわかるのですが、そもそも、これまでの前提が間違っていたのです。「PTAは義務ではなく、やりたい人がやるものだ」ということに気づいてもらい、切り替えていくしかありません。

 そのためには、活動の見直しも必要です。これまでやってきた活動をすべて継続したまま、やりたい人がやる形にしたら、当然手が足りなくなります。そこで求められるのが、「集まった人で、できる分量の仕事をする」という発想への切り替えです。

 活動だけでなく、会費についても同様です。PTA会費も義務ではなく、払いたい人が払うもの。「集まった会費で、できることをする」という発想への転換が求められます。とくに会費が高いPTAだと、「払っている人が損をする」と思われがちです。

 なお、PTA会費の額は全国、各校でバラバラです。年額2,000~3,000円台(1世帯または1児童・生徒あたり)のところが多いですが、なかには5,000円を超えるところもあります。こういった場合、見直しの余地は、非常に大きいでしょう。

 とくに会員数が400~500と多い場合、年間の予算総額は200~300万円以上に達します。そういったPTAでは、毎年繰越金が増えないよう四苦八苦したり、繰越金がたまりすぎて莫大な額になったりすることも珍しくありません。早々に会費を下げたほうがいいと思います。

 万一、年間の予算総額が200万円以上でもお金がとくに余らないようなら、それなりの金額が学校に渡っていることが考えられるでしょう。

 参考まで、下のグラフは筆者が昨年度、Webで行った「公立小・中・高校のPTA会費や予算に関するアンケート」の結果の一部です。PTA会費を世帯単位で集めるPTAは全体の65%(143件中93件)で、このうち金額の回答があったものを集計しました。(児童・生徒単位で会費を集めるPTAは全体の約2割)

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 最も多かったのが3,000円台という回答(37%)で、5,000円未満(1,000円未満~4,000円台)の回答が全体の約8割を占めます。最も低いのが900円(神戸市・世帯数約600)、最も高いのが26,000円(北海道・世帯数9)という回答で、1世帯当たりの負担額に、約30倍もの開きがありました。

*そもそも「ズルい」と思うなら

 そもそもの話、PTAは任意加入なのですから、活動しない人や会費を払わない人に対し「ズルい」と感じるのであれば、その人がPTAをやめてもいいのです。というか、本来なら当然そうするでしょう。

 もし「活動しない人を許せない」とか「入会しない人がいるなんて許せない(会費を払わない人を許せない)」と感じるなら、なぜそう思うのか、自分に問うてほしいのです。

 「必ずやらなければいけない義務だ」と思い込んでいるから、そういう発想が生まれるのでしょう。「自分も、やるかどうかを選べるんだ」ということに気づけたら、やらない人を「ズルい」とは思わないはずです。

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  • 先ほどの円グラフと同内容を、棒グラフにしたものです
ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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