元WBA/IBF/WBOヘビー級チャンピオンがWBC挑戦者決定戦で勝利
現地時間9月4日にLAで催された、WBCヘビー級タイトル挑戦者決定戦。メキシコと米国の国歌斉唱が終わってから、ルイス・オルティス(43)が花道に現れるまでに10分を要した。その後、アンディ・ルイス・ジュニア(32)がやってきたのは、更に2分後であった。
クリプトドットコム・アリーナは思った以上に客が入り、ほぼフルハウスと表現できた。世界ランカー同士の戦いではあっても、世界タイトルマッチではない。
筆者は2003年に同じ会場でレノックス・ルイスvs.ビタリ・クリチコ戦も取材しているが、盛り上がり方においては、今回の方が遥かに上であった。その因子は、アンディ・ルイス・ジュニアの人気に他ならない。
ゴング直後から場内は「アンディ・コール」が止まなかったが、両ファイターは静かな立ち上がりを見せる。元3冠王者の僅かな動きにファンは一喜一憂したが、大きな山場の無いままファーストラウンドが終了。左ストレートを当てたオルティスのラウンドか。
2ラウンド序盤、オルティスが入ってくるところに、ルイスの右がヒット。その後、オルティスの左に合わせたルイスのカウンターが綺麗に決まり、元3冠王者がダウンを奪う。起き上がったオルティスを再度沈めたルイスだが、仕留め切れずにゴングが鳴る。
3回にもルイスは右ボディでオルティスの足を縺れさせる。このシーンは、オルティスの43歳という年齢を感じさせた。とはいえ、元3冠王者も畳み込めない。
5ラウンドの途中からは、パンチ交換の少ないリング上のファイターに向かってブーイングが飛んだ。
第7ラウンド、右ストレートでダメージを与えたルイスが更に右をぶち込み、ダウンを追加する。その後のオルティスは、ジャブを出すのが精一杯だったが、ルイスもリスクを冒さない戦い方をした。
11ラウンドにもルイスは右ストレートで大きなチャンスを掴むが、深追いはしなかった。
最終ラウンドは、気力を振り絞ってオルティスが出た。元3冠王者は後手に回ったまま試合終了のゴングを聞く。
113-112、114-111、114-111と3-0の判定でアンディ・ルイス・ジュニアがタイソン・フューリーへの挑戦権を得た。元3冠チャンプは試合後言った。
「誰もが俺に懐疑的な視線を向けていたが、この試合に向けて本当にハードに練習した。オルティスはタフでスマートだった。サウスポーとやるのは初めてだった。難しいファイトだった。
でも、いいジャブ、そしてカウンターを打てた。カウンターを狙っていたので、向こうの動きを見ていたよ。
1年に3〜4試合はやりたい。もう一度世界王者になってベルトをメキシコに持って行きたいんだ。ワイルダーが10月に勝てば、戦う可能性は高いよ。マネージメント社が同じだからね」
確かにアリーナを埋めたファンは歓声を上げていた。しかし、90年代のヘビー級を現場で取材した者として述べるなら、ヘビー級の低迷だけを感じる一戦であった。