【名古屋市】働く者たちに憩いを提供してきたとんやきに、モノづくりの街・名古屋への思いを馳せる
JR・名鉄の金山駅から南へ10分ほど歩いた跨線橋のたもと。とんやき「石田屋」がある。最近では「名古屋のとんやきの聖地」と呼ばれているらしい。
私の記憶を手繰ると、石田屋は、工場での労働を終えた者たちが家路の途中、一時の安らぎ、明日への活力を求めて立ち寄るオアシスといった情景だった。歳月を経るうちに現在では変わってしまったが、私が知っている金山の南部は工場が軒を連ね、顔を機械油で汚した労働者があふれていた。モノづくりの街・名古屋を根底から支えている誇りがあった。
金山の街は変貌を遂げたが、石田屋は変わっていなかった。店舗の外観も変わっていない。とんやきのうまさも相変わらずだった。
「まあ飲め。話はそれからだ」のポスターが、「まあ食え」と促している。
味付けは塩、タレ、しょうがの3種類から選べる。私はタレを選択。「焼物」はどれも食感、味わい、うまみが秀逸。一日の労働の疲れが癒え、明日への活力がみなぎる。1本160円で、1回の注文で2本以上頼む必要があるが、ついつい頼み過ぎてしまうのが悩みの種だ。
「味噌」は、血管の食感が面白い。クニュクニュした噛みごたえとともに、どて味噌のうまみが広がる。
これらに、まずはビールを合わせる。杯が進めば、愛知県津島市が誇る銘酒「長珍」にチェンジ。さわやかな酸味が通り抜けどっしりしたうまみが口に残る。こってりしたとんやきに調和し、絶妙な味わいだ。
名古屋のモノづくりを下支えし、働く者たちに憩いを提供してきた味が、この石田屋には残る。
住所:名古屋市熱田区金山町2-7-18
営業時間: 16:00~
定休日:日祝日