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世界のソフトウエア市場、マイクロソフトが断トツを維持、ビッグデータの需要増でオラクルが2位に浮上

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

IT市場の調査会社、米ガートナーがまとめた世界ソフトウエア市場に関する調査によると、昨年1年間(2013年)における業界全体の総売上高は4073億ドルで、前の年の3885億ドルから4.8%増加した。成長を支えたのは先進国で、新興国市場は低調傾向にあるという。

マイクロソフトの売上高、6%増の657億ドル

売上高をソフトウエアメーカー別で見ると、米マイクロソフトが657億ドルで、前年に続きトップとなった。

同社の売上高は第2位企業の2倍以上という規模だが、2013年はその差をさらに広げた。また同社の前年比伸び率は6.0%となり、市場平均を上回っている。

マイクロソフトに次いだのが米オラクルで、売上高は296億ドル。オラクルは、ガートナーがソフトウエア市場の統計を取り始めて以来初めて2位に浮上した。前年比伸び率は3.4%と堅調に推移し、売上高シェアは7.3%だった。

ガートナーによると、「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な情報と、それを解析する技術に対する需要が世界的に高まっており、データベースやクラウドアプリケーションへの企業投資が増えている。これらがオラクルの売上増に寄与した。

一方で、IBMの売上高は291億ドル。同社は長年第2位のメーカーだったが、今回伸び率は1.4%と小幅にとどまり、3位に後退した。

このほかのメーカーを見ると、4位はドイツSAPの185億ドル、5位は米シマンテックの64億ドル。SAPは前年比9.5%増と高い伸びだったが、シマンテックは同0.8%減少した。

6位以降、10位までは、米EMCの56億ドル、米ヒューレット・パッカード(HP)の49億ドル、米ヴイエムウェア(VMware)の48億ドル、米CAテクノロジーズの42億ドル、米セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)の38億ドルとなった。

セールスフォース・ドットコムが急成長

このうちセールスフォース・ドットコムの前年比伸び率は33.3%と、上位10社の中で最も高い。また同社は前年から順位を2つ上げ、初めてトップ10に入った。

セールスフォース・ドットコムは、営業支援や顧客管理といった顧客関係管理(CRM:Customer Relationship Management)をクラウドコンピューティングのサービスで提供している企業。

ガートナーによると、世界のソフトウエア市場は過去5年で変化が見られており、それを牽引しているのがクラウドサービスだという。クラウドモデルを専業とするセールスフォース・ドットコムのトップ10入りは、こうした市場の変化を如実に表しているとガートナーのアナリストはコメントしている。

なお投資家がクラウドサービスなど新興のソフトウエア企業を評価する際、今のところ利益やキャッシュフローよりも、売上高や市場シェアを重視しているという。

ガートナーによると、パブリッククラウドコンピューティングやデジタルマーケティングといったソフトウエア分野はまだ成長の初期段階。そのため投資家は、利益の追求よりも、シェア拡大や知名度向上に積極的に動いている企業に注目していると、ガートナーは分析している。

JBpress:2014年4月3日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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