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「Apple Watch」は4年後も健在か、ウエアラブルの世界市場はスマートな手首型が牽引

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

米IDCがこのほど公表したウエアラブル機器市場に関するリポートによると、世界市場における今年の年間出荷台数は7610万台となり、昨年実績から約2.6倍(163.6%増)となる見通しだ。

主役はスマートリストウエア

IDCは、ウエアラブル機器のうち、メーカーが自社で開発したアプリのみに対応する、活動量計に代表されるような機器を「ベーシック型」と呼んでいる。一方で他社企業のアプリにも対応するものは「スマート型」と呼んでいる。

このうち後者のスマート型は今のところ市場全体の3分の1程度にとどまっている。だがその出荷台数は伸びており、2018年にはベーシック型を追い抜くとIDCは予測している。

またスマート型は現在、主に通知機能に重点が置かれており、スマートフォンのアクセサリー製品という位置付け。だが今後はユーザーインタフェースや機能が向上し、より高度なウエアラブルコンピュータへと変化していくという。

そして、今後市場を牽引していくのは、スマート型のうち手首に装着するタイプの「スマートリストウエア」だと同社は指摘している。

なおスマートリストウエアには米アップルの「Apple Watch」や、米モトローラ・モビリティの「Moto 360」、韓国サムスン電子の「Gear Sシリーズ」、米ペブル・テクノロジーの「Pebble Time」といった製品があるが、これら以外のメーカーも続々この市場セグメントに参入しつつあるという。

2019年には出荷台数1.7億台に

とは言ってもウエアラブル機器の市場はまだ非常に小さいと言えそうだ。例えば同社の別のリポートによると、今年のスマートフォン世界出荷台数は14億3650万台となる見通しだ。

また、成長が鈍化していると言われるタブレット端末も今年は、2億2180万台が出荷されると見られている。これはウエアラブル機器出荷台数予測のほぼ3倍という規模。

ただし、ウエアラブル機器の市場は1〜2年後をめどに急速に拡大するとIDCは予測している。

今後はスマートリストウエアの第2世代、第3世代モデルが登場し、ハードウエアやアプリケーションが向上していく。その頃になると、今は様子見をしている顧客もこれらの機器に対しより興味を抱くようになるという。

同社によると、その時点からクチコミが本格的に広がっていく。またいわゆる“ユーザーアンバサダー”と呼ばれるクチコミを積極的に発信する人も増え、人々のスマートリストウエアへの関心が高まっていくという。

これにより、ウエアラブル機器の年間出荷台数は今後5年間、毎年平均22.9%の成長率で増加。2019年には1億7340万台に達すると同社は予測している。

アップルのOSシェア、4年後も首位維持

なおIDCが予測する2015年のスマートリストウエアのOS別出荷台数は、アップルの「watchOS」が1390万台で断トツ。このあと米グーグルの「Android/Android Wear」が410万台、ペブル・テクノロジーの「Pebble OS」が210万台で続くとの見通しだ。

このうちアップルのシェアは58.3%で、グーグルのシェアは17.4%。予測によると今後Android搭載機の出荷台数が増加し、それに伴いアップルのシェアは低下していく。だが同社のシェアは2019年時点でも47.4%と高い水準。アップルは4年後も首位を維持するとIDCは予測している。

JBpress:2015年9月17日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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