【駅の旅】西九州新幹線開業を待つ歴史の町の駅/JR長崎本線・島原鉄道・諫早駅
新幹線開業が待ちきれない?
諫早(いさはや)駅は、来年秋の西九州新幹線の開業が待ちきれないようだ。新装なった駅のコンコースには早くも「新幹線のりば」の案内表示があり「2022年秋新幹線開業」との注釈がついている。
来年は一部区間の暫定開業、全線開業は2034年ごろ?
だが、今回開業するのは武雄温泉~長崎間の66.0キロだけで、諫早駅はその途中に位置する。九州新幹線と接続する新鳥栖と、武雄温泉の間(約50キロ)は、佐賀県内の調整が難航しており、未だにルートすら決まっていない。全線開業は2034年ごろを予定しているが、今のところその目処は立っていない。JR九州では、暫定的に博多からの在来線特急列車から武雄温泉駅の同一ホーム上での乗換え方式にて運行するが、一日も早い全線開通が待たれるところだ。
かつてはモダンな西洋風駅舎だった
この駅には、2016(平成28)年に取り壊されるまで、1934(昭和9)年建造の堂々たる2階建ての木造駅舎があった。西洋風のモダンな造りは、いかにも昭和の鉄道全盛時代の幹線主要駅としての貫禄があった。だが、新幹線の開業を機に橋上駅舎に建替えられ、新しい町の玄関口として斬新で機能的な駅に生まれ変わったのである。
長崎県の要に位置する諫早は鉄道の要衝
地理的に見て、諫早は複雑な地形の長崎県の長崎半島と島原半島の要にあたる場所に位置しており、鉄道の要衝である。諫早駅は鳥栖と長崎を結ぶ長崎本線と、諫早から分岐して早岐(はいき)経由で佐世保へ向かう大村線、それに島原鉄道が発着する。JR長崎本線は、諫早の2駅西にある喜々津(ききつ)から大村湾の海辺を走る旧線と山をトンネルで抜ける新線に分岐し、現在、特急列車はすべて新線を経由している。
一方、島原鉄道は有明海に沿って島原半島を南下し、島原港までを結んでいる。途中の古部(こべ)駅や、大三東(おおみさき)駅は有明海に面した絶景の地にある。かつては、さらにその先、半島南部の加津佐(かづさ)まで線路が続いていたが、残念ながら2008(平成20)年に廃線となってしまった。
昔は伊佐早と呼ばれていた歴史の町
かつて伊佐早と呼ばれていたこの町は、室町時代より西郷氏によって治められていたが、天正年間の四代目西郷信尚の時に豊臣秀吉に背いて滅亡。以後、西郷氏を攻めた龍造寺家晴によって支配された。龍造寺氏は、その後、諫早姓を名乗り、地名も諫早に改められた。
西郷氏が築いた高城と呼ばれた諫早城跡は、現在の諫早公園にあり、あたりは樹齢600年以上と言われる巨大なクスノキを始め、緑豊かな木々に囲まれた市民の憩いの場となっている。
諫早のシンボル眼鏡橋
眼鏡橋というと長崎市のものが有名だが、諫早公園内にも国の重要文化財に指定されている眼鏡橋がある。これは、市内の中心を流れる本明川に架かっていた二連アーチの石造りの橋である。本明川は昔から暴れ川として知られ、度重なる洪水により何度も橋が流失していたという。これを打開するため、「永久不懐(えいきゅうふえ)の橋として1839(天保10)年に、当時の領主諫早茂洪(しげひろ)によってこの強固な石橋が架橋されたのだった。1957(昭和32)年の大水害の翌年に河川の改修工事にあわせて諫早公園内に移設されている。
諫早でみつけたおしゃれなパスタ屋さん
そんな諫早の町でおしゃれなパスタ屋さんを見つけた。諫早駅東口から諫早公園方面に向かって歩いて5分ほどの場所にある「パスタ屋POPO」がその店。10種類以上のメニューの中からクリームパスタを選択した。まろやかな口当たりにチーズの風味が食欲をそそる。ビールやハイボールのグラスを傾けながら、至福の時を過した。ヘルシーな野菜などのサイドメニューも充実している。カウンターの向こうのお兄さんたちとの会話もはずむ。店内は若い女性や、家族連れの笑顔があふれていた。