ロシアに降った不気味な「緑の雪」その正体は
先月、ロシア中部の町ペルヴォウラリスクに、不気味な色の雪が降りました。
下がその時の写真ですが、鮮やかな緑色の雪が地面に積もり、建物の屋根からは緑色のつららが垂れ下がっているのがわかります。
住民はこの雪が降ったあと、子供たちに咳や発疹などの異変があったと訴えています。一体何が原因なのでしょう。
色の正体
この緑色の雪の正体は、この地域のクロム工場からの汚染物質ではないかと言われています。
当局は原因を公表しておらず、また問題の工場もそうした事実を否定しているようですが、住民の話によると、2016年にもクロムの混じった液体が工場から漏れ、その際にも水が緑色に変色したのだそうです。
黒い雪も
色付きの雪は、ロシアでは今年2度目のことです。
工業都市で知られるロシア中部ケメロヴォでは、石炭火力発電所からのススが原因とされる黒い雪が降りました。当時、大気の汚染レベルは安全基準の倍以上に達していたとのことです。
色付きの雪に加えて、南ウラル地方ではスモッグが問題となるなど、ロシアでは相次いで公害が報告されており、プーチン政権に暗い影を落としているという報道もあります。
色付きの雪の例
ところで過去には、どのような色の雪が降ったことがあるでしょうか。
2007年にはロシアのオムスク州などで腐敗臭のするオレンジ色の雪が降り、話題になりました。原因は明らかではありませんが、一説には工場から出た大気汚染物質が関係していたのではないかと言われています。
また、砂も雪の色を変えることがあります。
2018年にはロシアやブルガリアなどで、飛来したサハラ砂漠の砂が原因とみられるオレンジ色の雪が降りました。さらに昔から日本の書物にも、黄砂を含んだ赤っぽい雪が降ったという記述が残されています。
一方で「氷雪藻」という藻が雪の上で繁殖することで、赤やピンク色の雪になることがあります。日本でも大雪山、立山、大山などでこの現象が見られるのだそうです。
赤くなるのは、藻が光合成をする際に、紫外線から身を守る目的で赤い色素を出すからなのだとか。まるでスイカのような香りを発することから「スイカ雪(Watermelon snow)」などとも言われています。