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諸外国の人達はニュースをどの媒体で目にしているのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ニュースを取得するメディアは多々あれど……(写真:アフロ)

中国だけがネット経由トップ、他はテレビ

日々生じる様々な出来事の内容を迅速に取得し正しい判断を成すために、人々は多様な手段を用いてニュースを確認する。インターネットの普及浸透に伴い、ニュースの取得確認のスタイルも大きな変化を遂げている。今回は新聞通信調査会が2017年4月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2017年調査)」(※)の内容を元に、諸国におけるニュース取得の利用媒体の違いを確認していく。

次に示すのは各国の人達がニュースを取得する際に、どのような媒体を用いているかを複数回答で尋ねた結果。インターネット経由調査では無いので媒体によるバイアスは生じない。ニュースを取得する意気込みなどにも左右されるが、各国の情報取得の方法論、実情を推し量る良い指標となる。

↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2017年)
↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2017年)

大よその国でテレビが群を抜き高い値を示しており、今でも情報取得の普遍的なツールとしてテレビが有効であることを改めて認識させる。それに続くのはネットのニュースサイトやSNS(ソーシャルメディア)といったインターネットに絡むサービスで、インターネットによる情報取得が当たり前となりつつあるようだ。

そのネットサービスだが、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、韓国ではネットのニュースサイトの値が高く、SNSは低め。昨今のフェイクニュース問題が影響しているのかもしれない。他方タイや中国ではSNSも高め。特に中国ではSNSはテレビに近しい値にまで達しており、ネットのニュースサイトにいたってはテレビを抜いて最大の値を計上している。中国の調査が都市部限定で行われているのも一因だが、同国のインターネットへの傾注度の高さが見て取れる。

新聞や雑誌、ラジオなどは低めだが、フランスはそれらも合わせて押しなべて高めの値を計上している。ニュース取得の意欲は他国よりも高く、多方面で取得する傾向があるようだ。

テレビとネットニュースの詳しい実情

報告書ではそれぞれの媒体に関して属性別の値も公開している。そこでテレビとネットニュースに限るが、その内情を見ていく。

まずはテレビ。

↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2017年)(テレビ)
↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2017年)(テレビ)

タイが異様に高くどの属性もほぼ9割超え。高齢層では100%との値が出ている。フランスもそれに続く値を計上しているが、若年層ではやや落ちる。

性別では男性よりも女性、未成年者と中堅層以降が高めに出るのはどの国でもさほど変わりなく、テレビの実情を推し量れる良い資料となる値動きを示しているが、中国では中堅層が高めで高齢層はむしろいくぶん落ちる傾向が出ているのは興味深い。なお中国では70歳以上には問われておらず、該当部分は空白となっている。

↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2017年)(ネットニュース)
↑ ニュース取得の利用媒体(複数回答)(2017年)(ネットニュース)

ネットニュースではテレビと大よそ逆の傾向が出ているのは注目に値する。性別では男性が、年齢階層別では若年層が高い値を示している。10代でやや低めの値が出る国があるのは、利用機会が得られていない、興味関心がわいていないからだろうか(テレビは多分に受動的に取得する機会があるが、ネットニュースでは原則的に能動的でないと取得は不可能)。

他方中国では性別・年齢階層を問わず高い値が維持されている。今件は都市部限定とはいえ、インターネット経由では無く面接調査で実施されており、メディアによるバイアスが存在しないことを思い返せば、大いに注目すべき結果には違いない。

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※諸外国における対日メディア世論調査

直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年2月から3月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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