学生支援も「大阪モデル」~響かない「#首相に質問」と吉村知事発言、何が違う?
◆「#吉村寝ろ」と出るほど大活躍の吉村府知事
私が長年、就活生のエントリーシート添削をしていると、その大半が具体性とは何かを誤解しています。逆に言えば、その具体性を理解できて、きちんとアピールできる就活生は志望企業から内定を得る確率が高いでしょう。
当記事は学生・大学支援をめぐって吉村洋文・大阪府知事発言と安倍晋三首相の差を検証する記事です。それが冒頭、なぜ、就活の話をしたのか、それには理由があります。
首相と府知事、お二人を就活生たとえるならば、吉村府知事は内定を得やすい就活生、安倍首相は内定を得にくい就活生だからです。
まずは吉村府知事から。
コロナショック後の吉村府知事の奮戦ぶりは、SNSで「#吉村寝ろ」と出るほどです。
政治学者の御厨貴・東京大学名誉教授も文春オンライン記事「大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は×…政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」(5月5日配信)で大絶賛しています。
大阪くらいの大都市になると、行政にさまざまな要素が絡み合っている。なにか動かそうとしても、一気に物事が動かないものです。にもかかわらず、吉村知事は他県まで巻き込んだ移動制限をいち早く訴えるなど、これまで緩急自在にやってきています。文句なしの「○」です。
5日には、緊急事態宣言の独自解除基準について、大阪モデルを発表。これに対して6日、西村康稔経済再生担当相はTwitterで
「休業の要請・解除は知事の裁量。解除する基準は当然ご自身の説明責任。また都道府県の裁量・権限の拡大を主張しながら、自身の休業要請の解除の基準を国が示してくれというのは矛盾。仕組みを勘違いしているのではないか。緊急事態の解除の基準は国の責任。近く明確に示す方針」
とコメント。これを受けて吉村知事は、やはりTwitterで、
「西村大臣、仰るとおり、休業要請の解除は知事権限です。休業要請の解除基準を国に示して欲しいという思いも意図もありません。ただ、緊急事態宣言(基本的対処方針含む)が全ての土台なので、延長するなら出口戦略も示して頂きたかったという思いです。今後は発信を気をつけます。ご迷惑おかけしました」
と謝罪。
ただ、これも、論理的には西村担当相が正しいとしても、SNS上では「大阪モデルを出したら、西村担当相が上から目線で攻撃した」などの受け止められ方をしています。
◆学生支援で吉村知事、もう一つの「大阪モデル」を提示
この吉村知事は6日、民放番組で学生支援について、新たな方策を発表しました。
大阪府の吉村知事は、生出演した「かんさい情報ネットten.」の中で、新型コロナウイルスの影響でアルバイトを失った学生を対象に府の非常勤職員として採用する方針を示した。
「学生のアルバイトで退学を検討しないといけない学生もいると聞いている。大学で授業料の免除はあるが、仕事がなくなったから日々の生活を稼げないと。地方から大阪府に来ている学生もそうですし。大阪府で独自に(学生)対象の雇用をする。非常勤の方を採用する。これは初めていう話、非常勤を採用して、いろんな仕事が増えてきているからそれをやってもらおうと。できるたけ多くの方を採用したい。やってもらう仕事は、大阪の支援金の給付の事務で、郵便の仕分け作業など。スピードアップもするので。仕事をしてもらえれば、対価も払うことができます」
府では、これまでに、新型コロナウイルスの影響で失業や内定取り消しを余儀なくされた人を対象にした非常勤職員の採用枠を、すでに設けているが、更に支援の対象を広げた形だ。具体的な採用人数など、詳しい条件は、7日にも公表する方針。
※読売テレビ2020年5月6日19時配信記事「吉村知事 アルバイト失った学生支援を表明 支援金給付の事務作業などスピードアップ」
実は同じ方策を小池百合子・東京都知事も5日夕方の記者会見で発表していました。
協力金を追加支給 東京・小池知事が会見(全文1)努力が無になりかねない(THEPAGE 2020年5月6日12時配信記事)
それから、ウェブの活用で大学生の皆さんがアルバイトの機会を確保したり、暮らしと学業を両立できるようなサポート。それから学生と企業のマッチングによって就職活動を支援する新しい仕組みもつくってまいります。さらに、感染拡大防止協力金の支給作業、もう多くの何万という今、申請が上がってきておりますけれども、事務量も膨大になっておりますので、せっかくですからここはバイトの口がなくなった大学生の皆さんに手伝ってもらうということで、これも募集させていただきます。これによって協力金が早く支払われることになるわけですし、大学生の皆さんにとってはこれでアルバイトの口も、アルバイトの場も確保できるということになろうかと考えております。また詳細については別途お知らせをさせていただきたいと考えております。
ただ、小池都知事会見の方が発表の一つとして埋もれてしまいました。
一方、吉村府知事の発言は、独立した記事となり、さらにヤフトピ入り。私が同記事にオーサーコメントを投稿したところ、5000件以上の「いいね!」が付きました。
SNS上では、「もう一つの『大阪モデル』」などと評価する意見が多数です。
◆具体的、かつ、学生も自治体も両方が助かる
私は先に発表した小池都知事に敬意を表して、以下、「東京・大阪モデル」と呼称します。
この学生支援策、何がいいか、と言うと、学生も助かるし、自治体も助かる、自治体を構成する住民も助かる、三方良し、という点です。
まず、学生ですが、アルバイトができず、それで学費や生活費を払えるかどうか、苦しい状況にあります。仮にどうにかなる学生だったとしても、社会から必要とされていないのではないか、との閉塞感があります。
そうした学生をアルバイト(非常勤職員)として採用すれば経済的な苦境からも閉塞感も吹っ飛ばすことができます。
一方、採用する自治体(東京都・大阪府)はどうでしょうか。府知事インタビューにもあるように、支援金申し込みは殺到しており、このままでは給付が遅れることも予想されます。それ以外にも、人不足の業務はいくらでもあります。
そうした仕事を任せれば、支援金給付はスピードアップができますし、その対価としてアルバイト料を払うこともできます。
自治体住民はどうか、と言えば、一方的な支出(たとえば学生限定で支援金を給付)などの方策は「学生だけ特別扱いか」と反対する方も出るでしょう。
が、人手不足の業務に投入し、その代価としてアルバイト料を払う、となれば、多くの住民は納得感を持って支持するでしょう。
正直申し上げると、私は吉村府知事(もっと言えば、維新の会)の政策、すべてに賛成しているわけではありません。
過去に記事にもしましたが、大阪府立大学・大阪市立大学の統合は愚策と考えています(むしろ、第二・第三の大阪府立大学を新設するくらいでもいいはず)。
が、それは別として、学生支援策について、大阪モデル、もとい、東京・大阪モデルは素晴らしく、これは他の自治体も是非、実行していただきたいと思います。
◆「#首相に質問」で唯一、オーサーコメントから登用
一方、安倍首相は、5月6日20時、Yahoo!・ドワンゴの共催による「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」(ライブ配)に出演しました。
同番組が始まる前、私はYahoo!ニュース個人編集部から「首相への質問」に投稿しないか、と依頼を受けています。
「ユーザーから広く質問を募集するため、投稿いただいたご質問が番組中で取り上げられることを確約はできず~」とあり、それはそうだろう、とさほど期待はしませんでした。
それでも、せっかくの機会なので、ダメ元で、学生支援策について投稿しました。それが以下の内容です。
【学生・大学への支援について】
大学生はアルバイト先の多くが自粛して働けません。そして、大学は入構禁止措置により、図書館を利用することも許されていない状態です。
長引く閉塞感と無収入状態を苦痛に、中退を検討する学生が多数いる状態です。
5月6日時点で約100校がオンライン授業への給付金や学費・施設料の一部返還を決めています。しかし、これも大学の財務力を考えれば、全大学が全学生に対して実施することは不可能です。
すでに政府は高等教育無償化法のコロナ禍による収入減も適用する、と発表していますが、これで救われる学生や大学等はごく少数です。
そこで首相にお伺いしたいのは、大学生・短大生・高等専門学校生・専門学校生への経済的な支援をどの程度の規模でお考えなのか。
そして、その学生のいる大学・短大・高等専門学校・専門学校にも支援策をどの程度の規模でお考えなのか。
この2点をお伺いしたく思います。
他のオーサーも多数投稿していましたし、一般ユーザーを含めると、約7000件もの質問です。まあ、まず出ないだろう、と思っていたところ、オーサーコメントでは唯一、取り上げられていました。
◆取り上げられたが…、まずは全文から
私はライブ配信も聴いていましたし、その後、アーカイブで何度も確認しました。
しかし、吉村府知事発言に比べて、浅井と言うか、抽象的と言うか…。
具体的な評価は後回しにして、まずは該当する部分の書きおこしをどうぞ。
※約2500字あります。鬱陶しいという方は次の項目まで飛ばしてください
馬場アナウンサー:大学生・短大生・高等専門学校生・専門学校生への経済的な支援と、それらの学生が在籍する大学・短大・高等専門学校・専門学校自体への支援策をどの程度でお考えでしょうか。
首相:あの、学生の皆さん、大変だと思います。4月に入学して授業がないのに、授業料を払わなければならない、そういう声も大変(多く)伺いました。そこで各大学にお願いしまして授業料の納付について、あるいは減免についてお願いをさせていただきました。そして、そうしたことを実行していただいた学校に対しましてですね、国として支援を決めさせていただいています。ほぼ100%の大学において、先月末に授業料未納の学生の皆さんも引き続き、在籍が可能ということになっていますので、どうかご安心をいただきたいと思います。そしてまた、ただ、アルバイト等も延期(?)となってしまったでしょうし、また、ご両親の経済的な事情も大きな変化が出てこられただろうと思います。
あの、この4月からですね、高等教育の無償化がスタートしました。5400億円の予算でスタートしたところです。その中で給付型の奨学金という制度が始まりました。これをですね、今回のコロナウイルスという事情ですね、大きく経済状況が変わった皆さんも利用できることになります。90…、1年間91万円のですね、給付が行くわけであります。ぜひ、これも活用していただきたいと思います。
もちろん、そのアルバイトにおいてもですね、雇用調整助成金の対象にはなるわけですが、実際にはなかなか難しいという声も聴いておりますが、そうしたものも是非活用もしていただきたいと思います。
そのうえにおいてですね、アルバイトで学費を稼ぎながら生活を支えている学生の皆さんもたくさんおられると思います、なかなか家に頼ることの出来ない。
え、でも、今、申し上げた色々な制度をもちろん、活用していただきたい。しかし、その中でも大変なんだろうと思いますので、今後、そういう支援について、具体的な支援の仕方、さらなる支援の仕方を早急に検討して、すみやかに追加的な対策を講じていきたいと思っています。
馬場:もちろん、色々なたくさんの課題を抱えていらっしゃるので一概には言えないと思いますが、いつ頃、目標とされていますか?現時点で。
首相:現時点ではですね、今、与党とも相談していますが、なるべく早く、対策を練っていきたいと思います。
馬場:我々、新聞で待ってた、ということが「あ、でも一か月先なのか」、というところで気持ちがくじかれてしまう方もいる…
首相:ただですね、大切なことは、今申し上げましたように、たくさん制度はあるんですね。そのことにご存じない方もおられます。先ほど申し上げたような給付型の奨学金を活用していただいたいと思いますし、この、学費を納付しなくてもこれは除籍ということにはなりませんからどうか安心して欲しいと思います。また、それから緊急の小口資金、先ほど申し上げたね、これ、10万円、20万円、最大で80万円、こういうものも活用してほしいと思います。
馬場:山中先生はIPS細胞研究所、京都大学の中にありまして、大学として、あるいは、学生さんを近くで見ていてどんなことを感じていらっしゃいますか?
山中:私たちの研究所には、大学院生がたくさんおります。修士課程、博士課程。彼らはもしかすると一番困っているかもしれません。あの結構、20代後半、30代もおりますし、結婚していて奥さんもいる、子どももおられる、ご主人もおられる、と。そういう形でバイトもできない、でも、普通の独り暮らしよりもお金がずっとかかる、ということで。今、大学院生が入っていませんでしたので、ぜひ、大学院生の存在も頭に入れていただけたら、と思います。
もう1点、経済的な支援も本当、大切なんですが、本来受けられる教育が今、受けられていない。こちらに対する支援も、あの先日、オンラインをどんどん前倒しでやると言っていただいておりましたが、ぜひ大至急、すべての子供さん、児童・学生が家でオンラインで受けられる体制に一日も早くなったらいいな、と思います。
安倍:ちょっと追加させていただきたいのですが、ずいぶん、誤解があるのですが、先ほどの私の奨学金のコメントについて、返さなければならないじゃないか、とコメント欄にありましたが、給付型ですから。返していただく必要がない、給付ですから。
と同時に先ほど申し上げた91万円というのは学費とは別です。学費は無料ですから。学費は無料であります。そのうえにおいて、生活費や住宅費等のための91万円が出る、こちらは返さなくていいというものですから、是非活用していただきたい。これは返さなければならないのではないか、という誤解もずいぶん、あるようですが、
馬場:給付は返済の必要がないという…
首相:給付型ですから。
馬場:山中先生から、本来はもはや立場や業種で区切れるものではないと思いますが、大学院生も今、総理がおっしゃったような制度は活用できるのでしょうか。
首相:大学院の仕方ですが…(横を見る)…、大学院の…、これはあくまでも学部ということでありまして、今後ですね、将来の課題として大学院ということも考えていかなければならないと思います。
馬場:ありがとうございます。では…
山中:給付型はですね、私も学生のときに、給付型の奨学金を、確か月3万円くらいいただいて、本当に助かって、そのおかげで医者になれたようなものです。でも、かなり敷居が高くて競争率が高くて、なかなかこう、もらえる人が限られていました。今、給付型を貰いたいと思ってもなかなか貰えない人もいるんじゃないかな、と思います。その辺の件数がどうなっているか、僕も最近のことはわかっていないので、そのあたりもできるだけ給付型の奨学金の割合を増やしていただいたら、本当にたくさんの学生さんが助かると思います。
首相:今、申し上げた5400億円という予算はこれは義務的経費ですから、予算が上回る、対象者がいれば当然、対応していく、ということになります。そこはご安心いただきたいと思います。
馬場:ぜひ、この制度をご存知で活用されている方は周りの困っている方ともわけあって、シェアしていただきたいと思います。
※次の質問へ
◆無償化法でも授業料は完全無料にはならない
まず、オーサーコメントでは、わざわざ高等教育無償化法について触れているのに、番組で出た質問ではその前提を全部、削除されていました。
このあたり、どういうやりとりがあったか、私はわかりません。
全文、出すのは長すぎる、として、運営スタッフがざっくり削った、と見る方が自然でしょう。
そこはあれこれ、言うのはやめるとしましょう。安倍首相も、オーサーコメント全文を読まず、短縮版しか読んでいない可能性もあります。
それでも、出てきた回答は抽象論ばかりでした。
一応、安倍首相の発言をまとめますと、
・授業料納付・減免を各大学に依頼し、実施されている
・高等教育の無償化を実施。コロナによる減収も対象、91万円を給付
・さらなる支援は早急に検討
・大学院生は検討
以上、4点です。
このうち、授業納付の延長や減免、大学独自の給付制度実施や高等教育無償化については、私だけでなく、多くの学生が知っています。
学生からすれば、そうした制度を知っていて、それでも苦しい、と言っている方が大半でしょう。
それを、
「たくさん制度はあるんです、そのことにご存じない方もいる」「安心していただきたい」と言われても、安心できる学生はそう多くないでしょう。
安倍首相からすれば「5400億円という予算規模も出した」「91万円給付という金額も出した」、だから、具体的とのお考えなのでしょう。
実はこれ、冒頭で紹介した就活生と同じ、「本人だけが具体的と思い込んで、周囲は意味がよく分からない」という典型例です。
まず、高等教育無償化ですが、予算規模が5400億円、91万円給付、というのはその通りです。
しかし、91万円給付は、私立の大学・短大進学者のうち、自宅外生についてです。高等教育無償化法は、私立か国公立か、学校種別、自宅生か自宅外生か、世帯の年収基準の4項目で細かく分かれており、全員が91万円の給付を受けられるわけではありません。
しかも、首相は「授業料は無料」と発言していますが、これは不正確です。
国公立大学であれば、授業料相当額が給付されます。一方、私立大学は最高でも入学金26万円、授業料70万円。これで、まかなえない大学は多数あります。
もちろん、世帯年収基準に合っていれば、であり、3段階のうち、一番下の段階であれば、三分の一の額しか給付・減免されません。
このあたり、詳しいことは昨年の記事に譲ります。
大学無償化法は対象外でも得をする?~専門学校・中間層などが間接影響も(2019年5月15日記事)
首相発言の「91万円給付」は、全学生に対してではありません。虚偽発言とまで非難するのはやめておきますが、「ウソではないけど、本当でもない」という典型例ではあります。
◆現状以上の支援は「安倍ポエム」
高等教育無償化を延々と説明した割に、それ以上の支援策については、「さらなる支援の仕方を早急に検討」で終わり。
さらに、ゲスト参加していた山中伸弥・京都大学教授が大学院生の支援について、触れました。
高等教育無償化法は大学院生が対象外となっています。それはコロナショックによる家計急変者が対象とするようになった後も変わりません。
山中教授は、これについてコメントでは触れていませんが、私はおそらくはご存知のうえで、あえて触れた、と推察します。
大学院生への支援は2018年時点で約28万人もいるにもかかわらず、ただでさえ、ぜい弱です。それがさらにコロナショックによって苦しい立場に追い込まれています。
これについて、安倍首相は「将来の課題として考えていかなければならない」と抽象論で終わっています。
28万人の大学院生からすれば、「将来の課題」ではなく、今そこにある現実です。それを「将来の課題」と言われては、「ああ、また、安倍ポエムか」(Twitter)と嘆かれるのも無理ないでしょう。
◆具体性を勘違いする就活生と安倍首相
具体性を理解していない就活生は、数字を出すことが具体性と勘違いしています。
「私は大学祭実行委員会で×というイベントを担当、集客を150%増やすことに成功しました」
「私はよさこいサークルに所属。前年度の予選突破から入賞にまで押し上げました」
当の学生は「150%増加」「よさこいイベントで入賞」がどれくらいすごいことかを理解しています。
一方で、それが当の学生以外の第三者(特に社会人)にはさっぱり理解できないことを理解していません。
安倍首相の「5400億円」「91万円給付で授業料減免」も同じです。
一見すると凄そうですが、4年制大学だけで学生は259.9万人。これに大学院28万、高等専門学校5.7万、短大11.4万、専門学校(専修学校)65.3万、合計370.3万人。
5400億円を91万円で割ると、対象は約59万人であり、全く足りません。実際は授業料減免もありますから、もっと少ないでしょう。
多くの学生からすれば、高等教育無償化法などの既存の方策があっても、自身にとって無関係であることを理解しています。
そのうえで、新たな方策がないのか、と期待していたことでしょう。これは吉村府知事や小池知事などにも同じのはず。
で、発言をもう一度、整理します。
吉村府知事・小池都知事:学生をアルバイトとして採用し、支援金給付の事務作業などにあてる
安倍首相:早急に検討
「Yahoo!ニュース・みんなの意見」では、配信終了後から、「ネット上で寄せられた質問に対する首相の回答、納得できた?」を実施。
5月7日11時時点で78.3%が「納得していない」と回答。
もちろん、学生だけでなく社会人ユーザーの回答も含むので学生の考えを全て反映しているとは言えません。
が、学生だけのアンケートでもおそらく、同様の数値が出るでしょう。
具体性を理解していない就活生のエントリーシートを私が添削すると、一部はきちんと修正してくれます。が、中には、ふてくされたり、具体性を理解しないままの就活生もいます。果たして、安倍首相はどちらになるのでしょうか。
大学・教育の専門家である私としては、無理解、ないし、ふてくされたままでは困るところ。
なお、就活において、大半の採用担当者は、具体性をちゃんと出せる就活生を評価します。一方で、抽象的な就活生からは具体的な話を引き出そうと質問し、それでも抽象論に終始するなら落とします。
安倍首相が学生や多くの国民からダメな就活生と同じ扱いを受けないよう、私としては、期待しています。
いや、それよりは採用担当者と同じく、具体性をちゃんと出せる自治体首長に期待した方がいい、かもしれません。