藤井王位に2年連続で豊島九段が挑む――第63期お~いお茶杯王位戦七番勝負展望
藤井聡太王位(19)に豊島将之九段(32)が挑戦する第63期お~いお茶杯王位戦七番勝負(新聞三社連合主催)は第1局が6月28、29日に愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」で行われる。昨年と同一カードで行われる七番勝負で、藤井王位は3連覇が、豊島九段は2019年に失った同タイトルの復位がかかる。
藤井王位(竜王・叡王・王将・棋聖)にとって豊島九段は初対戦から6連敗を喫した難敵。今回も熱戦必至の七番勝負を、データを基に予想してみた。
好調を維持する藤井王位
<七番勝負日程>
第1局 6月28、29日 愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」
第2局 7月13、14日 北海道札幌市「ぬくもりの宿ふる川」
第3局 7月20、21日 兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」
第4局 8月15、16日 佐賀県嬉野市「和多屋別荘」
第5局 8月24、25日 徳島県徳島市「渭水苑」
第6局 9月5、6日 静岡県牧之原市「平田寺」
第7局 9月19、20日 神奈川県秦野市「元湯 陣屋」
<藤井王位の最近10局>(相手の肩書は対局当時)
2月3日 順位戦B級1組
対阿久津主税八段 ○
2月11、12日 ALSOK杯王将戦七番勝負第4局
対渡辺明王将 ○
3月9日 順位戦B級1組
対佐々木勇気七段 ○
4月28日 叡王戦五番勝負第1局
対出口若武六段 ○
5月6日 王座戦本戦
対大橋貴洸六段 ●
5月15日 叡王戦五番勝負第2局
対出口六段 ○(千日手指し直し)
5月24日 叡王戦五番勝負第3局
対出口六段 ○
6月3日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局
対永瀬拓矢王座 ●(千日手指し直し・2回)
6月15日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局
対永瀬王座 ○
6月22日 順位戦A級
対佐藤康光九段 ○
<豊島九段の最近10局>(相手の肩書は対局当時)
3月11日 お~いお茶杯王位戦リーグ紅組
対西尾明七段 ○
3月15日 ヒューリック杯棋聖戦本戦
対久保利明九段 ●
3月18日 竜王戦1組出場者決定戦
対稲葉陽八段 ●
4月15日 お~いお茶杯王位戦リーグ紅組
対近藤誠也七段 ○
4月22日 お~いお茶杯王位戦リーグ紅組
対佐々木大地六段 ●
4月26日 王座戦本戦
対近藤七段 ○
5月2日 お~いお茶杯王位戦リーグ紅組
対伊藤匠五段 ○
5月23日 王座戦本戦
対丸山忠久九段 ○
5月31日 お~いお茶杯王位戦挑戦者決定戦
対池永天志五段 ○
6月9日 順位戦A級
対永瀬拓矢王座 ●
藤井王位は五冠を保持しているため、遠距離移動を伴う地方のタイトル戦やイベント出演などハードスケジュールが続いているものの、直近10局は8勝2敗と変わらず好調を維持している。
豊島九段は直近6勝4敗と調子は可もなく不可もなしというところだが、月3局の理想的な対局ペースでコンディションは良好と思われる。
調子の比較では藤井王位が一歩リードしているといえよう。
直接対決はほぼ互角も昨年度は藤井王位が圧倒
両者の公式戦直接対決は23局あって藤井王位の13勝10敗(1千日手)とほぼ互角の星取りも昨年度は同一カードで王位戦、叡王戦、竜王戦の3タイトル戦を制した藤井王位が13勝4敗と圧倒している。
戦型は最近の傾向からは藤井王位が先手なら相掛かり、ないしは角換わりを志向することが予想されるが、後手の豊島竜王が横歩取りに誘導する可能性もあるだろう。
豊島九段先手なら角換わりが本命で相掛かりがその次に有力。変化することの少ない藤井王位は素直に応じる展開に進むとみる。
総合的には最近の調子や直接対決の星取りから藤井王位の優位は明らかだ。ただし、並行して戦っている棋聖戦五番勝負(挑戦者は永瀬王座で現在1勝1敗)でカド番に追い込まれるようだと、王位戦七番勝負にも影響し、ギリギリの勝負になるかもしれない。