『松坂二世』創志 高田 146キロデビュー
甲子園のセンバツ1回戦も大詰め。昨秋、150キロの速球で一躍注目を浴びた創志学園(岡山)のエース・高田萌生(たかた ほうせい=3年)が、24日の初戦で上々の甲子園デビューを果たした。
立ち上がり苦しむも変化球に活路
昨夏3回戦進出の東海大甲府(山梨)との対戦となった1回戦は、立ち上がりから押された。先頭の萩原杏磨(3年)に142キロ直球を中前に弾き返される。1死後、昨夏も活躍した福武修(3年)を迎えたが、ここは初球を遊ゴロ併殺にしとめた。しかし、2回も先頭の出塁を許すと、2死から7番・亀田啓太(2年)に初球の直球を打たれ先制を許した。
その後は投球パターンを変えて相手を翻弄する。「まっすぐを狙われていたので、変化球に切り替えました」と中盤からはスライダーを軸に打たせてとる投球に徹した。打線は4回まで相手エースの松葉行人(3年)のチェンジアップを打ちあぐんでいたが、5回、先頭の6番・藤瀬幹英(3年)が右前打で口火を切ると、得意の機動力を駆使して一気に流れを引き寄せる。2番からの3連打で4点を挙げると高田の投球は冴えを見せ始めた。
9回に最速146キロ
5回も先頭安打のあと四球でピンチを招いたが、ここはスライダーで鮮やかな併殺に切り抜けた。「向こうが『打ちたい』という気持ちでくると思ったので、うまくタイミングが外せました。特に5回はいいところに投げられました」と落ち着いた口ぶり。逆転直後の大事な回を切り抜け、流れを渡さなかった。「指にかかって一番良かった」(高田)というスライダーが要所で決まり、その後も凡打の山を築く。9回にはこの日最速の146キロが出るなど140キロ超えを連発したが、「タマ数が少なかった(104球完投)ので、最終回は腕を振りました。(140キロ超連発は)その結果です」と照れ笑いを浮かべた。今大会は全般的にスピードガンの球速表示は低調だ。やや辛目の設定という噂もある。長澤宏行監督(62)は、「スピードが出なくてちょうどいい。あんまり出たら調子に乗って(スピード)ガンと勝負してしまいますから」と釘を刺した。奪った三振は6個で、併殺4は、スピードへのこだわりを捨てて、バックを信頼した結果でもある。
『松坂二世』の次戦に期待
「調整がうまくいきました。キャッチャーの小林(勇輝=2年)もいいリードでした。
投げ込んで良くなるタイプだし、次の試合が楽しみになりましたね」と長澤監督も手応えを感じているようだ。昨秋、150キロを出し、ソフトバンク松坂(大輔 =35)そっくりのフォームから『松坂二世』と呼ばれる。甲子園出場に際してのアンケートにも、『目標の選手=松坂』『将来の夢=メジャーリーガー』と答えている。本家は春夏甲子園で完全無欠の連覇を成し遂げたが、「まだまだそんなハイレベルじゃないです」と比較されることさえ恐れ多いと言わんばかりに謙遜した。岡山県新見市の出身だが、中学は明徳義塾(高知)に進んだ。それでも「地元の高校で甲子園に行きたい」とUターンして、創志を選んだ心意気は、なかなか頼もしい。今大会は注目されながら力を出し切れずに敗退した注目選手が多い中で、初めての甲子園で結果を出すのは容易でない。「甲子園はいい雰囲気で、楽しかったです」と自信も膨らんだようだ。次戦以降、『松坂二世』がどこまで本家に近づけるか、楽しみは尽きない。