紙の新聞は32.5%…「新聞を読む時間」として思い浮かぶのは?
「新聞を読む」との表現に対し、人々はどのような認識をしているのだろうか。言い替えれば、人々はどのような行為を「新聞を読む」と判断しているのか。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2024年6月に発表した「メディア定点調査2024」(※)の公開値から確認する。
次に示すのは「新聞を読む時間」として思い浮かぶものについて、複数回答で尋ねた結果。例えば32.5%は「新聞を読む時間と聞かれたら、紙の新聞を読むことが思い浮かぶ」と答えていることになる。
もっとも多くの人が思い浮かんだのは「紙の新聞」で32.5%。次いで「新聞社のサイトやアプリ」12.4%、さらに「新聞社以外のサイトやアプリ」8.5%、そして「SNS上の新聞記事」が6.2%。SNS上に掲載された新聞記事を読むことを、「新聞を読む」と認識している人が案外多いことに驚く人もいるかもしれない。
そして「新聞は読まない」とする人は54.7%。紙の新聞だけでなく、すべての手段で新聞を読むことはない(と自覚している)人が過半数におよんでいる。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
「紙の新聞」は女性より男性の方が高く、年齢階層別ではおおよそ高年齢ほど高くなる。15~19歳で20代より高めの値が出ているのは、学校で新聞を教材として用いるケースがあるからだろう。また、学校図書館で目にとまる機会が多いからかもしれない。
「新聞社のサイトやアプリ」は年齢階層別で比較的安定した値を占めているが、「新聞社以外のサイトやアプリ」はずいぶんとばらつきがある。20代で2.9%、40代で3.8%しかいないのは意外かもしれない。また60代でも「新聞社のサイトやアプリ」などインターネット経由で新聞記事を読む人がそれなりにいることも分かる。
他方、「新聞は読まない」だが、20代でもっとも多く67.5%と2/3超え。15~19歳や40代でも6割を超えている。60代でも37.0%と4割近くの人が、紙媒体だけでなくインターネット上のものも含めて、新聞は読んでいないと答えている。
最後に経年推移。一部の項目について、データが確認できる2020年以降に関して。
5年分の値しかないため傾向の類は見出しにくい面もあるが、「新聞社のサイトやアプリ」はほとんど変化なしなのに対し、「紙の新聞」は漸減、「新聞は読まない」は漸増の動きを示している。グラフからは省いているが、「新聞社以外のサイトやアプリ」や「SNS上の新聞記事」も、「新聞社のサイトやアプリ」とほぼ同じ動きをしており、紙媒体の新聞を読まなくなった人がインターネット上の媒体にシフトするのではなく、そのまま新聞を読むこと自体を止めてしまう流れとなっていることが推測できる。
新聞社側としては紙媒体での読者減少分をインターネット上で補う算段ではあるのだろうが、現実は厳しそうだ。
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※メディア定点調査2024
調査方法は郵送調査方式。調査期間は2024年1月26日から2月9日。東京都を対象にRDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女個人に対し調査票が送付され、643通が回収された。各値は2023年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。
過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性が高い(メディア接触時間が有意で増加している)。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。