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ピークを迎えたラニーニャ現象 寒さの予兆は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
近づく冬の足音。今月(11月)末以降、強い寒気が流れ込む見通し(写真:アフロ)

 気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表し、この冬半ばにかけて、ラニーニャ現象が続く可能性は80%と非常に高い見通しを示しました。ラニーニャ現象は2021年秋から一年にわたり続いていて、今がピークとみられています。

欧米の寒さがエネルギー価格に影響

 12日(土)の東京は午後1時に21.8度を記録し、11月になり20度を超えた日はこれで7日となりました。暖かいのは日本だけでなく、ヨーロッパの大部分や北米東部でも気温が高くなっています。

【世界の平均気温(2022年11月2日~8日)】平年との差を示した図:暖色は平年と比べて気温が高いことを、寒色は低いことを示す(図は気象庁ホームページより、筆者加工)
【世界の平均気温(2022年11月2日~8日)】平年との差を示した図:暖色は平年と比べて気温が高いことを、寒色は低いことを示す(図は気象庁ホームページより、筆者加工)

 かつてないほど世界のエネルギーバランスが悪化し、暖房費が気になる昨今、気温の高い日が続くことはありがたいことですが、欧米が寒くなればエネルギー価格がさらに高騰するかもしれません。世界の天候は他人事ではないと感じています。

本格的な寒さはいつ頃から?

 冬が来るのは避けようがありませんが、できることから準備を始めたいものです。

 こちらは12月初めにかけての気温を予想した図です。上は来週(1)、真ん中は再来週(2)、下は11月末から12月初め(3)です。図の中央に日本列島があり、左側が中国大陸です。そして、暖色は暖かい空気を、寒色は冷たい空気を表しています。

【上空1,500メートル付近の気温予想図】上は来週(1)、真ん中は再来週(2)、下は11月末から12月初め(3):ウェザーマップ作画、筆者加工
【上空1,500メートル付近の気温予想図】上は来週(1)、真ん中は再来週(2)、下は11月末から12月初め(3):ウェザーマップ作画、筆者加工

 日本付近の色をみれば一目瞭然ですが、大陸から本格的な寒気が流れ込むのは11月末から(3)となる見通しです。来週は寒い日もありますが、長続きせず、勤労感謝の日(23日)頃までは気温の高い日が多い見通しで、規模の大きい寒気は予想されていません。

ラニーニャ時は東日本を中心に寒い傾向

 現在、ピークを迎えているラニーニャ現象が気になるところですが、11月を中心とした3か月間の気温の特徴をみると、東日本を中心に、気温が低くなる傾向がはっきりわかります。

【ラニーニャ現象発生時の日本の天候の特徴】11月を中心とする3か月(10月~12月)の平均気温の出現率を示した図(気象庁ホームページより)
【ラニーニャ現象発生時の日本の天候の特徴】11月を中心とする3か月(10月~12月)の平均気温の出現率を示した図(気象庁ホームページより)

 最近は極端に暖かくなったり、寒くなったり、気温の変動が大きい。このところ天候は落ち着いているものの、急に潮目が変わるでしょう。その兆候を逃さずに、見ていきたいと思っています。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報(No.362)、2022年11月10日

気象庁:全般季節予報支援資料(1か月予報)、2022年11月10日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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