東京オリンピック野球:イスラエル、24人の最終メンバー発表
開催国日本を除いて、東京オリンピック野球競技への出場をいの一番に決めたイスラエルの最終ロースターが発表された。前回の2017年WBCでは一大旋風を巻き起こし、国際野球界に一躍その名を知らしめたユダヤ系アメリカ人を主力に構成されたチーム・イスラエルだが、1次登録メンバーのうち、エースとして期待されていた、昨年オリオールズでメジャーに初昇格し、イスラエル国籍保持者として2人目のメジャーリーガーとなったディーン・クレマーは、メジャー契約を結んでいるため最終メンバー入りはならなかった。また、来日し沖縄の独立球団・琉球ブルーオーシャンズでプレーする外野手のノアム・カリサールも1次メンバーに名を連ねていたが、怪我のため最終メンバーには選ばれなかった。
チーム構成はMLB傘下のマイナーリーガーが5人、今シーズンからMLBと提携を結び、「MLBパートナーリーグ」となった独立リーグに所属する者が8人、俗に「アペンディックス(付録)・リーグ」とも呼ばれる小規模独立リーグとヨーロッパのリーグ所属選手が各1人ずつ、大学生が2人、そしてプロとしては現役を退き、現在はFA(フリーエージェント)の扱いの者が7人というもので、WBCと比べてもかなり見劣りがする。MLBパートナーリーグ所属の選手の中には、このオリンピックのためだけに現役復帰した者もいるので、純粋な意味での現役プロ選手の数は半数にも満たない。
ただ、実績のある元メジャーリーガーの名もあるので、油断はできない。
メジャー経験者は8人。その中には、2017年WBCの第2ラウンドの日本戦に先発した元アストロズのジョシュ・ゼイドも含まれている。とくに、メジャー14シーズンで1999安打257本塁打を放ち、WBCでは前回の2017年大会でアメリカ代表としてもプレーしたイアン・キンズラーには注目だ。一昨年シーズン限りで引退した39歳は、この五輪のために現役復帰。同じく2018年限りで引退したメジャー通算795安打の元オリオールズのダニー・バレンシアとともに、元メッツのタイ・ケリーも所属するMLBパートナーリーグの独立リーグ、アトランティックリーグのロングアイランド・ダックスと契約を結んだ。
イスラエルは、ヨーロッパ・アフリカ地区の予選大会である2019年のヨーロッパ選手権とそれに続く地区最終予選を勝ち抜いて五輪切符の一枚目を手にしたのだが、この際のメンバーからは8人が選ばれている。また、メンバーのほとんどはアメリカ生まれのユダヤ人で、彼らはイスラエル国籍を取得の上、代表チームに加入している。イスラエル生まれは、プロ経験のない内野手のアサフ・ローエンガルト、2007年に1シーズンだけ存在したイスラエルプロ野球でもプレーしたベテラン投手、アーロン・レイクマンとシュロモ・リペッツの3人だけだが、彼らも大学以降はアメリカでプレーし、現在もアメリカで生活している。イスラエルのクラブでプレーする選手は結局選ばれず、世界第二のユダヤ人口を抱えるアメリカの「国外組」で構成されるという結果となった。
24人のメンバーは以下の通りである。
投手:ジェレミー・ブライヒ(FA、元アスレチックス)、ジョナサン・デマルテ(前独立アトランティックリーグ/ヨーク)、ジェイク・フィッシュマン(マーリンズ3A)、アレックス・カッツ(カブス2A)、ジャレド・レイキンド(独立アトランティックリーグ/ランカスター)、アーロン・レイクマン(マリナーズマイナーコーチ、元イスラエルリーグ/ベイシェメシュ)、シュロモ・リペッツ(FA、元イスラエルリーグ/ネタニア)、ジョン・モスコット(FA、元レッズ)、ジョーイ・ワグマン(チェコリーグ/テンププラハ)、ベン・ワンガー(独立アトランティックリーグ/ランカスター)、ザック・ワイス(マリナーズ3A)、ジョシュ・ゼイド(FA、前メキシコウィンターリーグ/ハリスコ)
捕手:タル・エレル(リン大学)、ライアン・ラバンウエー(インディアンス3A)、ニック・リックルズ(FA、前ドミニカウィンターリーグ/トロス)
内野手:スコット・バーチャム(ロッキーズ3A)、タイ・ケリー(独立アトランティックリーグ/ロングアイランド)、イアン・キンズラー(独立アトランティックリーグ/ロングアイランド)、ザック・ペンプラス(独立フロンティアリーグ/ニューヨーク)、ダニー・バレンシア(独立アトランティックリーグ/ロングアイランド)
外野手:ブレイク・ガイレン(独立アトランティックリーグ/ランカスター)、ミッチ・グラッサー(独立アメリカンアソエーション/スーフォールズ)、アサフ・ローエンガルト(マンスフィールド大学)、ロブ・パラー(独立ペコスリーグ/コロラドスプリングス)