「ケツがデカくなった!」阪神タイガース・原口文仁選手 寄居町の野球教室にて
12月25日、阪神タイガース・原口文仁選手(30)が地元の埼玉県寄居町で野球教室を開催しました。クリスマス時期恒例となったイベントですが、始まりは原口選手が1軍で大活躍した2016年のオフです。
その時は寄居町商工会青年部の50周年記念行事として行われ、楽天の銀次選手や女子プロ野球・埼玉アストライアの川端友紀選手、岩見香枝選手と一緒に参加したもの。翌2017年からは自身の後援会主催で『原口文仁野球教室』がスタートして、ことしで5回目(2020年は中止)となっています。
風は冷たかったものの青空と日差しに恵まれた寄居町運動公園には、寄居町と深谷市の野球チーム、ソフトボールチームなど約150人の少年少女をはじめ、お手伝いの深谷彩北リトルシニアの中学生たち、原口文仁後援会の会員やファンの皆さん、そして地元の方々が早朝から集まってくださいました。
◆原口選手は子どもたちの憧れ
今回は寄居町のスポーツ少年団40周年記念行事として、寄居町教育委員会の協賛で開催。コロナ禍で40周年のイベント等もできないため、町の方から申し出があったそうです。開会式で挨拶をされた峯岸克明町長も「ちょうど原口選手が野球教室をやると聞き、タイアップさせていただいた」とおっしゃっています。
寄居町といえば、原口選手と同学年で陸上の設楽ツインズ(啓太選手と悠太選手)や、昨年の東京オリンピック・柔道で金メダルを獲った新井千鶴選手、また2月の北京パラリンピックではスノーボードの市川貴仁選手が入賞を果たすなど、世界で戦うアスリートがいるんですよね。
峯岸町長は「人口32000人の地方の町で、こんな色んな競技で活躍する選手がいて町としては嬉しい限りです。我々の頃はプロになる選手が出るとは思わなかったけど、サッカーのW杯を見ても世界で戦う感覚を今の子たちは持っていますねえ」と言われます。
ご自身が野球少年だったこともあり、原口選手の活躍はしっかりご覧になっていて「病気がクローズアップされますが、それだけじゃない。来シーズン以降も、ぜひいい場面で使ってもらいたいですね!原口選手は絵になりますから」と絶賛でした。
また「地元出身のプロ野球選手がこういうイベントをやってくれて、ありがたいですね。原口くんの人柄によるところが大きいと思います。忙しいのに駆けつけて子どもたちとの時間を作ってくれて。子どもにとって憧れの人ですからね。いいクリスマスプレゼントになったでしょう」とも。
◆新たな“助っ人”も参戦!
ことしも野球教室のお手伝いには、原口選手が所属していた深谷彩北リトルシニアのOBで、現在は社会人チームで活躍する3選手が来てくれました。
まずは3度目の登場、先輩のSUBARU・日置翔兼選手(32)です。堀越高~立正大を経てSUBARUに入社。ことしは社会人野球日本選手権に出場、夏の都市対抗野球も自チームでの出場はならなかったものの、日立製作所の補強選手として出場しました。これが自身通算7度目の本大会出場。まさに“ミスター北関東”ですね。
そして新たに後輩2人も加わっています。日本製鉄東海REXの渡部勝太投手(24)は上尾高~立正大から社会人の世界へ。ことしの都市対抗野球にヤマハの補強選手として出場しました。この日は子どもたちを打席に立たせてピッチングも披露。ファウルも含めて何とか当てられた子が2人ぐらいいただけです。
もう1人は七十七銀行の高田修平捕手(24)で、桐生第一高~東北福祉大という経歴。原口選手によれば「修平の兄ちゃんの慎太郎が僕の同級生。慎太郎がキャッチャーで僕がファーストでした」とのこと。
もしかして…同い年にうまい子がいてキャッチャーができなかったという、その人?「そうそう!」。あ~なるほど。「そこに修平が、こんな小さい時から遊びに来てた。チョロチョロと(笑)」。修平くんは原口選手のことを覚えている?「もちろんです!」。今でも目がキラキラしていますよ。
◆ふれあい野球教室
野球教室の流れは、ウォーミングアップ、キャッチボール、ノックなどに続いて、日本製鉄東海REX・渡部投手の球を少年少女が打つコーナー。逆に少年少女の投げる球を原口選手が打つコーナーと続きます。
そのあとの守備では、ショートにSUBARUの日置選手、セカンドに七十七銀行の高田選手、ファーストに原口選手が入り、それぞれの位置でのノック。さらに華麗なダブルプレーも披露しました。
また日置選手、高田選手、原口選手のフリーバッティング。原口選手の時にはホームベース後方に置かれたネットのところに子どもたちが集合して、真後ろからスイングと打撃フォーム、打球のゆくえを見守ります。
打ち損じたのか「ああ~!」という声もあったけれど、豪快に振ったバットで飛ばされていくボールが柵を超えると、大きな拍手が起きました。残り5スイングと原口選手自身が宣言し、そして「ラスト」とコールした1球をとらえると、打球はぐんぐん伸びて見事な場外弾!
子どもたちはもちろん大喜びで、それより「見た?見た?ラストでこれだよ~!」と、後ろの子どもたちを振り返ってアピールした原口選手の自画自賛ぶりに笑っちゃいました。いや~でも本当にいいスイング、いい当たりでしたね。
例年はここで終わりなのですが、今回はジャンケン大会があり、原口選手とジャンケンをして勝ち残った子どもたちにプレゼント。また後援会会員の方々とも同じようにジャンケン&プレゼントがありました。
閉会式後は、参加者全員が2列に並んでの見送り。原口選手を先頭に助っ人の日置選手、高田選手、渡部選手が続きます。コロナ前は列の間がもっと狭く、選手たちと手を触れ合うこともできたのですが、まだまだ仕方ないですね。それでも双方が笑顔で、いい締めくくりだったと思います。
◆「子どもの未来は無限大」
では、終了後に聞いた原口選手のコメントをご紹介しましょう。
今回はスポーツ少年団40周年記念事業の協賛でしたね。「そうですね、協賛していただいて。埼玉信用金庫さんも飲み物を提供してくださって。いい環境の中で、子どもたちのために野球教室ができたのは、すごく嬉しいなと思います」
峯岸町長が「忙しい中、子どもたちのために開催してもらってありがたい」とおっしゃっていました。「僕もありがたいですよ。やっぱり、子どもたちの未来は無限大なので。僕が小さい頃はそうやってプロ野球選手とふれあう機会というか、実際グラウンドで見たりすることもなかったけど、そういう機会を与えることができる立場にもなったし」と原口選手。
「それがみんなの刺激になって、モチベーションになって、野球への情熱がさらに増してくれたら。そしてプロ野球選手だったり、長く野球を続けていく子たちが増えてきたら最高ですね。野球教室ができて、野球選手として、意味のある活動だなと感じております」。うまくまとめたな、という表情(笑)。
「地道な活動だと思うんですけどね。プロ野球選手として地元などに還元することは、それも1つの仕事だと思うし。まあ1人じゃできないんで、後援会だったり役場の皆さんだったりのサポートがあってできること。本当に子どもたちのために、みんな動いてくれているなあと感じます。子どもの未来は無限大!」
どうやら『子どもの未来は無限大』というフレーズがお気に入りのようです。確かに、いい言葉ですね。
◆一からの勝負が始まる
野球教室の挨拶で、来年は一からのスタートだと言っていましたね?「やっぱり新しい監督になったらチームの雰囲気もガラッと変わるし、(秋季)キャンプに参加していなかった分、春がどうなるかわからないですけど、そのチームの色っていうのは出てくると思うので、またそこに食い込んでいけるように一からの勝負だと思っています。コツコツ、アピールしていきます」
来年も早い段階で実戦があるようで。「(2月)11日、12日に合わせて、いい調整っていうのが最初に持っていくところなので。キャンプで頭からアピールっていうのもあるんだけど、いい状態で入って11日、12日にしっかり試合ができるようにやっていきたい」
野手の中でも上の方の年齢になるわけで、引っ張っていくという意識は?「もちろん一番は試合に出て、成績なりで引っ張っていかなくちゃという思いも持ちながら、若い選手がやりやすい環境だったりを意識するけど、まあ勝つためにできるのは年齢に関係なくやることだと思う。そういうところは頑張りたいです」
◆ノートは大事
サッカーW杯の森保一監督を見て、ノートの重要性を再確認したとか。試合は見ていました?「サッカー大好き!めっちゃ見てた。朝から『だああー!』って騒いで、子どもが起きちゃうっていう(笑)。興奮したね~。WBCもあんな感じになるのかな」
ノートの話は?原口選手が1軍戦に初めて出た2016年は、ベンチに戻るたび何か書き込んでいたのが話題になりましたけど。「ノート大事ですね。監督ってもっとすごいノートを持っていると思ったら、小さい手帳ぐらいだった」。やはり、森保監督のそこですか。
シーズン中に書いたノートをオフに見返したりする?「もちろん、もちろん。試合中はやっぱり、その場その場で入ってしまうんで、前の打席のことも忘れちゃうから、気になったことはある程度メモしとかないと。興奮が冷めた時に思い返してみて、これは自分でもう忘れてたなってとこも、メモしといてよかったなと思うし。それが1年間の集大成になって、その次の年につながる。そういったことは大事だなと思います」
ルーズリーフ?リングに閉じて?「そうです。今までの量はわかんないです。カビ生えて家の中にあります。まとめて箱に」。引っ越しの時に見てしまうのでは?「そうそう!引っ越しの時に、おお~って思って、ちょっと見たり。こういう気持ちでやっていたなってね」
書き始めたのは2016年から?「いやいや、もっと前。2軍でやっている時がやっぱり大事だから」。書いておいてよかった、と思うことはある?「もちろん。やっぱり次の試合へいった時に忘れちゃってるから。それは大切ですよね」
バッティングの内容が多い?「昔はキャッチャーのこともありました。もちろん打つ方もあるし。守備で気になったことがあれば書く。それはルーティンだから。特別なことをしているわけではないですし」
◆後輩の“首位打者”に感じたこと
来年1月2日に放送される『とんねるずのスポーツ王は俺だ!』のリアル野球BANには、帝京OBとして今回も出場。結果は見てのお楽しみですが、新たに参戦した後輩・日本ハムの松本剛選手(29)とも久々に話ができたようで、新たな発見もあったとか。
「剛としゃべるのが結構久しぶりで。10何年ほぼ会っていなかった。高校時代は(自分が3年生で)1年生だったからペコペコしてたので、そんな感じかなと思ったら、あいつ意外とガンガンくる。剛ってこんな性格なんだって改めて思った。チームリーダーやなあ。成長したなあって」
また彼のバッティングに関して「めっちゃエグい!やっぱりすごいと思った。打ち方とかフォルムとかスイングとか、高校時代からそんなに変わってないんだよ。でも技術が半端ない!あれはエグい。あれは3割5分、マジで。凡打がヒットゾーンに飛ぶみたいな。あれは奥深いねえ」と、絶賛の嵐です。
見習えるところはある?「いや~あれはね、技術が高くて無理だな。タイプが違う。ハンドワークが半端ないわ。もともとポテンシャルは一級品だからね。足も速いし。いいねえ、素晴らしい。首位打者。帝京高校の歴史にまた1つ新たなページが加わった」
そのあと「俺も刻む!俺も行くぞ~!まだまだ若いヤツにゃ負けない」と続けました。いや、原口選手自身もまだまだ若いですよ。
きょうの野球教室、ラストの当たりは会心だったのでは?「まあまあ、まあまあ、いい感じですね。外で打つのが初めてだったんで、最初は感覚がつかめなくて。でも途中から、その感覚が入った!あれだな~」。ラストで放り込むのはさすが。「でしょう?そこでしょう」。かすかにドヤ顔でした。
◆来年は『健』、健康第一
来年に向けて、締めくくってもらいましょうか。「来年も健康第一で。健康なら何とかできるから。『健』でお願いします。それが一番」。毎年恒例の、漢字1文字で表すなら『健』、すこやかってことですね。
そういうのを休んだ時に感じた?「痛感しました。足が痛くなった時点で。体が元気だと何でもできるんだよね、練習もできたから。調子が悪くても体が元気なら絶対、合わせていける。体が元気じゃなかったら本当にね。健康第一!」
“頑健”という言葉がありますよ。体ががっしりして健康な、という意味で。「いいですね、それ。頑健。頑健な選手を目指します。それでいこう!頑健な体でシーズンを過ごす。そうすれば何でもできるでしょう。それが一番」
◆ズボンが破れて嬉しい男!?
ところで、お尻が大きくなった?「だいぶ大きくなっていますよ」。詳しくは語ってくれませんでしたが「自分のレベルアップを図っています。フィジカルも含めて、レベルアップを図っています!」とのこと。とにかく下半身、お尻のあたりがバンッと張っていました。
ズボンがきついのでは?「マジ、びびることにズボン2個破ってる。股を。この前も入れたら3本。3本目が破れた。けっこう長く履いていたので、ああ長く履いたから破れちゃったんだな~と思ってたんだけど、嫁に『トレーニングしてお尻が大きくなってる』って」
へえ~!そんなことが。でも何だかニヤニヤしていますよ、原口選手。ズボンと奥さんの話は続きます。「で、『嬉しいの?』と聞かれて、めっちゃ嬉しい!って。ああ、そっちかと思ってね。ケツでかくなった!嬉しかったですねえ」。着古したから破れたのではなく、鍛えて大きくなったからだとわかって嬉しかったんですね。
そのズボンは「ちょっと柔らかい、ストレッチの効いたジーパンみたいなやつ」で、車に乗る時にビリっといっちゃったみたいですよ。お尻というか股の部分が。それにしても奥さんの「嬉しいの?」って問いかけがまた最高(笑)。
ちなみに、いつ破ったの?「11月、12月。2カ月で3本」。3本も減っちゃったら買わないと。「足りないです。本数が足りないです。合うのを探すから、なかなか見つからない」
最後にももう一度「頑健な選手になる!」「頑健ハラグチ」と言っていました。来年はケガや痛みに煩わされず、心置きなくプレーして数字を残して何本でも買いましょう。「ケツがデカくなった」体に合うズボンを。何ならオーダーメイドで!
<掲載写真は筆者撮影>