「反日映画」との物議もある『軍艦島』は日韓の“新たな火種”になってしまうのか
韓国でとある映画が本日7月26日に公開されるということで、大きな話題を呼んでいる。映画『軍艦島』だ。
公開を2日前に控えた7月24日、韓国の映画振興委員会は「前売りの観客動員数は21万4940人で歴代1位」と伝えた。韓国で今年初となる観客動員数1000万人超えが期待されているのだ。
豪華キャストだが「反日映画」とも
監督のリュ・スンワンは、2015年の『ベテラン』や2013年の『ベルリンファイル』を手がけたヒットメーカーであり、出演者もソ・ジソブやファン・ジョンミン、イ・ジョンヒョンなどと豪華だ。
中韓で大ヒットしたドラマ『太陽の末裔』で主演したソン・ジュンギも出演している。
同ドラマで共演したソン・ヘギョとの結婚を発表してからは初となる作品だけに、話題性も高い。
(参考記事:映画『軍艦島』試写会で爆弾発言!ソン・ジュンギ&ソン・ヘギョは「最強反日カップル?」)
『軍艦島』の舞台は、1940年代の長崎県・端島。日本で稼げるという言葉に騙されて、同島に辿りついた朝鮮人たちが地下1100メートルの炭鉱で過酷な労働に強いられ、それに反逆して脱出劇を繰り広げるというあらすじだ。
このあらすじからも想像できるように、一部からは「反日映画」との指摘がある。
豪華キャストに加えて、ナショナリズムに訴える作品というわけで、韓国で公開前の注目度が高いのも頷けるだろう。
新海誠監督にも火の粉が!?
そもそも『軍艦島』は、製作段階から注目を集めていた。
『産経新聞』は今年2月8日付けの記事で同映画を取り上げ、「『明治日本の産業革命遺産』が2015年7月にユネスコ世界文化遺産として登録が決まったことに対し、韓国は官民を挙げて阻止に働いた。映画は、その運動の一環」と報道していた。
これに対して韓国メディアは、「日本メディア、公開もしていない映画を批判」(『京郷新聞』)、「日本産経、“映画『軍艦島』はウソ”…地獄島じゃなかったと煽り立てる」(『SBSニュース』)といった見出しの記事で反論していたほどだ。
映画『君の名は。』が大ヒットしたことで2月に韓国を再訪していた新海誠監督に、その火の粉が降りかかったことも。
韓国人記者が公開されてもいない『軍艦島』について、新海監督にコメントを求めるシーンがあったのだ。新海誠監督はその誘いに乗らず無難にかわしたので大きな問題にはならなかったが、韓国メディアの勇み足が過ぎた質問だったことは言うまでもない。
(参考記事:映画『軍艦島』についての愚問に“賢答”した新海誠。その答えとは?)
ただ、軍艦島の世界遺産登録が同映画が制作されるきっかけとなったことは事実のようだ。
『軍艦島』公式ホームページには、「チェ・テソン韓国史講師の歴史講義」なる動画もあり、当時多くの朝鮮人が同地で労働させられたと解説している。
「日韓関係の今後」に対して日本人と韓国人の意識のズレが著しいとの話もあったが、同映画がその乖離にさらに影響を与えるかもしれない。
“新たな火種”になりかねない作品!?
政治的な背景が少なくない映画であることがわかるが、リュ監督が「脱出ストーリーはその島の写真を見た瞬間、思いついた」と話しているように、あくまで内容はフィクションなのだろう。
それでも「韓国人なら必ず見るべきだ」「旭日旗を切り裂くシーンは鳥肌物」といった声も多く、日韓の国民感情の“新たな火種”にならないかが懸念されている。
(参考記事:韓国人が盲目的な期待が寄せている映画『軍艦島』に、評論家たちの文句が炸裂!!)
いずれにしても、『軍艦島』が韓国で大きな話題を集めていることは間違いないだろう。今後どういった評判や興行成績を作るのか、注目したい。