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結婚しやすい職業・しにくい職業/「医師・情報処理技術者・編集者・音楽家」など専門技術職の未婚率

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:イメージマート)

専門技術職の未婚率(男)

職業別の生涯未婚率では、職種によって男女で差があることについては前回の記事(職業別生涯未婚対象年齢人口/残ってしまうのは「製造業の男」と「事務の女」)でご紹介した。

今回は、さらに詳細に、専門的技術的職業に限定して、男女の生涯未婚率の差について見ていきたい。就業構造基本調査から2012年と2022年の結果を比較する。

まず、男性だが、2012年も2022年も、もっとも生涯未婚率の高い職業は「著述家・記者・編集者」である。しかし、2012年に22%と全体の生涯未婚率(28.3%)よりも低かったものから、2022年には44%と急上昇している。

その他、大幅に上昇した職業としては「情報処理技術者」で、24%から31%とあがった。

しかし、全体の未婚率を超えているのは、この「著述家・記者・編集者」と「情報処理技術者」のみで、この分類の職業の男性は比較的「結婚しやすい」と言える。

特に、「医師」に関しては、2012年も2022年も4%以下であり、ほぼ皆婚職業と言える。

専門技術職の未婚率(女)

一方、女性はどうだろうか。

女性で、2022年もっとも未婚率が高かったのは「音楽家・舞台芸術家」であり、元々2012年も25%と高かったのだが、2022年は50%へと倍増している。とはいえ、絶対人口としてそんなに多いわけではない(生涯未婚対象人口は5200人)。

かつて、男性よりも生涯未婚率が高かった女性の「著述家・記者・編集者」は、2012年の39%から2022年は28%へと10%ポイントも下がっている(下がっているとはいえ、全体の17.8%よりは10%ポイントも高いのだが)。

同様に「法務従事者」の未婚率も随分下がっている。

男性と比較すると、全体平均を超えている職業が多く、専門的技術的職業は女性にとっては、男性ほど「結婚しやすい」職業ではないようだ。男性においては皆婚職業である「医師」は、女性の場合は、2022年でも18%と全体平均並みである。

写真:イメージマート

割合と実数の男女差

2022年における男女の生涯未婚率の差分を比較すれば、全体的に、当該専門技術職の生涯未婚の割合は「男<女」となる。だが、割合だけではなく、対象の45-54歳未婚人口差をあわせて比較すると、割合は「男<女」であっても人口の方は「男>女」となっているものもある。

特に、「情報処理技術者」では約11万人、「その他の技術者」でも約6万人ほど45-54歳の未婚人口は男が多いということになる。対して「看護師」は約6万人、女が多い。

職業によって、男女の数の偏りが出るのは致し方ないことなので、男余りの技術者や女余りの看護師は、同じ職種や同じ職場で結婚相手と出会うということは物理的・人数的に無理であり、そういった意味でも、結婚したい場合は「職業異類縁」を見つける必要があるだろう。

それもなるべく若いうちに。

年を重ねれば重ねるほど、いろいろと面倒くさくなってしまうからだ。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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