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パリス・ヒルトンが結婚。恋多き女の、ここまでの道のり

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
パリス・ヒルトンとカーター・リウム(写真:REX/アフロ)

 パリス・ヒルトンが、40歳にして年貢を納めた。恋多き女として知られてきた彼女が、アメリカ時間11日(木)、ついに結婚したのだ。

 お相手は企業家でベンチャー・キャピタリストのカーター・リウム(40)。ふたりが婚約したのは、今年2月のパリスの誕生日。プロポーズをする前、カーターは、パリスの妹ニッキーに、「あなたのお姉さんと結婚していいでしょうか」とこっそりおうかがいを立てたという。パリスは「ソウルメイトを見つけたら、自分でわかるの。感じるの。この週末、カーターはひざまずいてくれた。そして私はイエスと言った」と、ソーシャルメディアでプロポーズされた喜びをシェアしていた。

 パリスにとっても、カーターにとっても、これは初めての結婚。だが、パリスには過去に3回、婚約を解消した歴史がある。

 最初の婚約相手は、モデルのジェイソン・ショー。彼女がまだ20歳の時で、1年ほどで破局した。2度目のお相手は、ギリシャの大富豪の子息であるパリス・ラトシス。どちらも名前がパリスで、大金持ち一家の生まれとあって、メディアに大きく注目されたが、これまた1年ほどで婚約解消となっている。この時、パリスは24歳。ニコール・リッチーと一緒に出演するリアリティ番組「The Simple Life」が高視聴率を集め、人気の絶頂にあった。この頃のパリスは「蝋人形の館」「プリティ・ライフ パリス・ヒルトンの学園天国」などの映画で女優に挑戦したり、歌手としてデビューアルバム「Paris」をリリースしたりしている。

 3度目の婚約は、それらのアイドル的活動から、ビジネスウーマンにキャリアをシフトしていた2018年。お相手は俳優のクリス・ジルカ。クリスは、アスペンでのバケーション中に、200万ドルの指輪を渡してプロポーズしたが、この婚約は10ヶ月後に解消となった。解消を望んだのはパリスだったと報道されている。結婚まであまりに早く進みすぎたことに不安を感じ、香水やスキンケアなど自分のブランドのビジネスに多忙だったパリスは、この時期にこの相手と結婚するのは正しくないと判断したようだ。

 それから1年後の2019年11月、彼女はカーターと付き合い始めている。ただし、ふたりは15年来の知り合い。恋愛関係になったのが、たまたまこの時だったのだ。しかも、昨年はコロナのためにロックダウン状態となり、普段は仕事で飛び回っているパリスも、家でゆっくり過ごすことを強いられた。「おかげで彼との仲が深まった。普段なら5年かけて知るようなことを知ることができたの」と、パリスは「People」誌に対して語っている。

 また、それはパリスが自分でプロデュースする自分についてのドキュメンタリー「This Is Paris」を通じ、自分をじっくり見直すことができた時期でもあった。昨年秋にYouTubeで配信開始されたこの映画で、パリスは、ユタの寄宿学校で教員らに虐待を受けた過去を明かし、そのトラウマがその後の恋愛にどんな影響を及ぼしたのかを語っている。かつて「10億ドルを稼ぐこと」を人生の目標にしていたパリスは、もっと意義のあることのために貢献したいと考えるようになり、寄宿学校や更生施設の運営のあり方について政治の場で発言もするようになった。このドキュメンタリーで「結婚できるようになるためには、もっと大人にならないといけないのかも」と述べていたパリスは、今ようやく自分で「十分大人になった」と感じるようになったのだろう。

木曜日の結婚式は、祖父の豪邸で行われた
木曜日の結婚式は、祖父の豪邸で行われた写真:Splash/アフロ

 とは言っても、昔ながらのパリスも失われていない。このウエディングは、今は亡き彼女の祖父のベルエアの豪邸で派手に行われ、途中、彼女は何度もドレスを着替えたとのこと。しかも、パーティはこれで終わりではなく、金曜日にはサンタモニカの埠頭でまた開かれ、土曜日にはブラックタイのソワレが行われるそうである。これらの様子はしっかり撮影され、NBCユニバーサル傘下のPeacockで配信されるリアリティ番組「Paris in Love」で使用されるというのも、さすがだ。

 世間知らずの若いブロンドのキャラでリアリティ番組のスターになったのは、18年前のこと。その間、いろいろなことを経験し、ひとまわりした挙句、リアリティ番組に返り咲いたというわけだ。長年の友人キム・カーダシアンの成功例も参考に(もともとはパリスがキムの師匠的存在であるのだが)、今後、パリスは結婚生活の内側も上手にビジネスに利用していくのだろうか。となると、またもやいろんな話題を提供してくれることになるのかもしれない。

 いずれにせよ、お幸せに!

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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