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昨季日本一の明治大学・武井日向キャプテン。今季目指すのは「連覇」じゃなく…。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は2年時の大学選手権でのワンシーン(写真:築田 純/アフロスポーツ)

 昨季、大学選手権で22シーズンぶり13回目の優勝を果たした明治大学ラグビー部は、すでに新シーズンを始動させている。武井日向キャプテンは「今年のチームで日本一を」。周囲が期待する「連覇」とは、似て非なる目標設定を掲げる。その思いに、学生スポーツの醍醐味がにじむ。

 國學院栃木高校出身の武井は、身長170センチ、体重97キロと小柄ながら、献身的なフッカーとして1年時から主力入り。リーダーの自覚は3年時から示していて、頂点に立つ前日の時点で「まだまだ私生活では洗濯物が床に落ちているなど、細かい部分で改善点がある。これらを徹底して突き詰めていけば、もっといいチームになれる」と語っていた。

 5月3日、東京・明治大学八幡山グラウンドで関東大学春季大会Bグループの第2戦目で同2勝目を目指すも、雷雨のためノーゲームに終わった(対戦相手は青山学院大学、再試合は未定)。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ここまで、いかがですか。

「春から身体を大きくしたり、フィットネスやスキルを高めたりと個人にフォーカスしてきた。ひとりひとりのアグレッシブさは、顕著に表れていると思います。4年生が頑張ろうとしていて、それに下級生が付いて行く、練習の雰囲気のよい春シーズンになっていると、いまのところは思います。遠慮している選手、思っていることを口にできない選手も発言できる環境になってきているので、もっとチームをレベルアップさせられたら」

――周囲からは2連覇が期待されます。

「去年は去年のチーム。今年のチームが日本一を獲ることに、意味がある。それが(今年掲げた)『真価』というスローガンにも繋がっています。4年生が引っ張る。4年生のもとで、一緒に同期と優勝したいです」

―― 一昨季まで9連覇した帝京大学でも「目指しているのは連覇ではなく、そのシーズンの優勝」という考えをよく耳にしてきました。優勝チームのメンバーになると、そうした感覚を得るのでしょうか。

「(前年度までに)積み上げてきた部分があるのはいいことなのですが、大学ラグビーでは4年生がチームの雰囲気を作る。その意味では、今年の4年生の人柄などは去年と違うので、今年の色のチームを作って、日本一になりたいと思います」

――ここからは別件です。1年時から主力のフルバック(最後の砦)として活躍してきた山沢京平選手は、3年目の今季からスタンドオフ(司令塔)にも挑戦。実戦を経験した本人は「その場での状況判断、ボールをどのように動かすかという状況判断が面白い」と前向きです。いかがですか。

「スキルもあって、判断もいい。相手にとって脅威になると思います。練習ではマッチアップすることもありますが、空いたスペースへすぐにボールを運ぶ。ディフェンス側として、嫌な選手だなと」

 武井と同じフッカーながらリーダー陣に入った松岡賢太は、武井との定位置争いに意欲的な態度を表明。一方で、リーダー同士の話し合いでは「忘れ物、トイレや風呂場の整理をまずリーダー陣がそれを率先してやり、それを後輩にも促せるよう働きかけよう。そう話しています」とキャプテンの態度を頼もしく思っている。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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