小久保や城島を育んだ「雁の巣」で、高校97発男が目覚めの今季1号
4月22日、福岡ソフトバンクホークスはかつてのファーム本拠地だった雁の巣球場で、オリックスバファローズとウエスタン・リーグで対戦した。
【4月22日 ウエスタン・リーグ 雁の巣 1,402人】
オリックス 213030020 11
ソフトバンク 016000010 8
<バッテリー>
【BS】青山、大山、○K-鈴木(2勝0敗)、榊原、S岸田(2セーブ)――飯田
【H】古谷、●小澤(2勝1敗)、尾形、岡本――谷川原、市川
<本塁打>
【BS】園部2号、武田1号、山足1号【H】江川2号、黒瀬1号
<戦評>
雁の巣球場特有の強いフォローの風に乗り、両チーム合わせて5本の本塁打が飛び出す乱打戦となった。
ソフトバンクは1対6と劣勢だった3回裏に4番・江川の3ランと6番・牧原のタイムリーで1点差に迫り、8番・黒瀬の2ランで一時逆転に成功した。しかし、5回表に2番手小澤が武田に2ランを浴びるなど再び試合をひっくり返されると、そのまま敗れた。(了)
黒瀬健太、不振脱出へ「ホッとしました」
これが目覚めの一発となるのか。高校97発男の黒瀬健太が今季公式戦第1号アーチを左翼席に掲げた。
一時は逆転となる2ランだった。3回、ソフトバンクが5点差を追う攻撃。江川の3ランや牧原のタイムリーで1点差に迫り、なおも2アウト一塁で打席が回ってきた(黒瀬の打席の途中で牧原が二盗)。
オリックス先発の青山の内角直球をとらえた打球は左翼方向へ高々と上がった。「バットの先っぽでした」。追い風もあったが、そこはスラッガー特有のパワーだ。白球はフェンスを越えて着弾した。
原点回帰で復調へ
前日まで35打数2安打、打率.057と大不振だった。それでもここ数日の黒瀬は明るかった。タマスタ筑後で王貞治球団会長からアドバイスをもらい、ファームのコーチ陣からも丁寧に指導を受けるなどする中で復調の手応えを感じつつあった。
「ボールの見え方が変わってきた」
結果がついてこなかったが、三振が減り、打球の強さは明らかに増していた。「ようやく結果が出て一安心。ホッとしました」と笑顔を浮かべた。
かつて小久保、城島、松中も汗を流した雁の巣球場
今は、原点回帰し高校時代のフォームも研究している。「オカンにいっぱい動画を送ってもらいました」。母の協力もあって生まれた一発だった。
「チームに貢献する打撃をしたい。僕の場合は長打が持ち味。2軍でホームラン王を獲る。それが1軍への近道だと思っています」
ソフトバンクとしては右の大砲候補の育成は重要課題だ。かつて、この雁の巣球場から小久保裕紀や城島健司、松中信彦らが巣立ち、球界を代表するスラッガーと変貌を遂げていった。歴史は再び、繰り返される。同期の茶谷健太らとともに今後の成長が大いに期待される。
(写真は筆者撮影)