史上もっとも暑い9月に続く、世界の10月猛暑 一体なんでこんなに暑いのか
普段なら北半球が冬の気配を感じ始める頃合いですが、今年はどうもおかしいようです。
2日(月)、フランス南西部のベガールで気温が35.9度まで上昇し、フランス国内の10月の高温記録を塗り替えました。同様にポーランドやオーストリアなどでも同月の国内記録が生まれ、中東イランでは5日(木)46.6度まで気温が上がりました。
冬が終わったばかりの南半球でも、既に盛夏のような天候が続いている地域もあり、4日(水)にはペルーで気温が40.5度まで上昇して、10月の国内最高気温記録が更新されました。
科学者たちの表現
先月も日本を始め多くの国々で観測史上もっとも暑い9月となりました。世界全体で見てもまた、9月としては観測史上もっとも高かったと、欧州のコペルニクス気候変動サービスが発表しています。
この異常な高温に対して、普段冷静な科学者たちもかなり驚いています。
たとえば日本の気象庁の担当者は「率直に言って信じられない」と述べ、あるアメリカの気候学者は「めちゃくちゃショックだ」と驚きを隠せず、イギリスの科学者にいたっては「人類と生態系にとっての死刑宣告だ」と過激な言葉でその衝撃を表現しています。
グラフで見てみると、その表現をするに至った背景が納得できるようです。下図は、各年の9月の世界気温の平年差を表したものですが、今年9月は突出して気温が高かったことが分かります。
なぜこんなに暑いのか
なぜこれほど暑いのでしょう。
その理由について、とかくエルニーニョや気候変動の影響が注目されがちですが、昨年1月に南太平洋のトンガ諸島で発生した海底火山の噴火も一因と言われています。
その噴火の規模は桁外れで、海底の噴火であったにもかかわらず、噴煙は高度19キロに達し、その爆発音は遠く離れたアラスカでも聞かれました。
この噴火でオリンピックプール約58,000個分の膨大な量の水蒸気が大気中にばら撒かれてしまいました。水蒸気はCO2を同じく温室効果ガスですから、地球を温める効果があるというわけです。
(↓宇宙から撮影された噴煙の様子)
暑さをもたらしているその他の要因として、太陽活動が活発化していること、船舶の燃料規制で大気汚染が減少し、雲が減少したことも指摘されています。
これら不都合ないくつもの要因が組み合わさり、学者たちも驚く高温に繋がっているようなのです。
2023年は観測史上もっとも暑い年になると言われますが、この危険な高温傾向は来年にかけてもなお続くと心配されています。