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【ホテルは泊まるだけじゃない】館内探検のススメ!滞在を楽しむホテルアートの世界

南とりっぷ旅&グルメライター

全国のビジネスホテルや観光ホテル、旅館などを巡っていると、見事なアート作品が飾られていることがよくあります。そんな出会いもホテルステイの醍醐味のひとつ。ここでは、ホテルアートの楽しみ方を紹介します。ホテルの中をぜひさまよってみてください!

≪ホテルはアートのワンダーランド≫

巨大なアート作品から、部屋のちょこっとした飾り付けまで、ホテルアートは様々。今まで仕事やプライベートで訪ねたホテルの中から、気になる物をピックアップしました。
みなさんも、ホテルの中でアートの旅をしてみませんか。

「ハイアット セントリック 銀座 東京」
「ハイアット セントリック 銀座 東京」

銀座は古くから新聞社や雑誌の編集部が多かった街。銀座6丁目にある「ハイアット セントリック 銀座 東京」が立つ場所も、以前は『朝日新聞』の社屋がありました。
そこで古い印刷機に使われた字型の「活字」がテーマ。ホテルの立つ土地そのものをリスペクトする試みです。

「東京ベイ潮見プリンスホテル」の大浴場
「東京ベイ潮見プリンスホテル」の大浴場

海外からの旅行客も多い「東京ベイ潮見プリンスホテル」の館内は、“日本の旅” がテーマ。
男性用大浴場の巨大な絵は、葛飾北斎の名作『神奈川沖浪裏』を大胆に改変。日本の伝統と今を彷彿させるモダンさが見事です。

「東京ベイ潮見プリンスホテル」1階の化粧室
「東京ベイ潮見プリンスホテル」1階の化粧室

足を踏み入れた途端驚かされる色とデザイン。江戸時代の名所や風景、笠や旅装束などの旅道具が目に飛び込んできます。
いにしえの旅人と現代のトラベラーが融合する化粧室です。

「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」の伊予絣
「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」の伊予絣

枕元に張られた「伊予絣(いよかすり)」は、松山市で生産される藍染の木綿生地。大正期には国内で生産される絣の約半分を占めていましたが、現在は一軒のみ。
「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」では80年以上前の伊予絣を館内や客室で使います。
こんなふうに、ホテルでは様々な場所にアートが隠れているんです。

≪その土地の文化や歴史に触れられる≫

近ごろは料金が手頃なビジネスホテルでも工芸品やアートが飾られます。ちょっとだけ立ち止まって、見てください。
旅先のちょっとした知識ですが、知ればその土地の歴史や風土に触れられます。

「JR東日本ホテルメッツ 八戸」
「JR東日本ホテルメッツ 八戸」

ホテルのロビーなどでよく見かける地元の工芸品。青森県の八戸市。郷土玩具の八幡馬や津軽こけしをはじめ、八戸焼きや南部鉄器などの工芸品が飾られます。
こうした物を少しでも見ておくと、自分の世界が少しだけ広がった気分になります。

「ダイワロイネットホテル京都駅前 PREMIER」で西陣織にタッチ
「ダイワロイネットホテル京都駅前 PREMIER」で西陣織にタッチ

時には雲の上の存在に、手を触れられることも。ロビーには京都の高級絹織物「西陣織」でできたソファが置かれていて、そこに座って手で感触を確かめることも。
西陣織タッチ初体験でした!

「星野リゾート 界 津軽」の津軽こぎん刺し
「星野リゾート 界 津軽」の津軽こぎん刺し

江戸時代、農民たちが麻の着物の荒い布目を刺繍で埋め、保温性を高めたのが始まりで、徐々に模様をつけるようになったのが津軽こぎん刺しの始まりです。
「星野リゾート 界 津軽」では、こぎん刺し体験を用意します。

客室棟最上階にある廊下は、天井をこぎん刺し模様のアートが飾り、照明で壁に影を映します。
海外メディアに「世界の美しいホテルの廊下10選」にも選ばれました。

≪京都の守護神にホテルで対面≫

平城京や長岡京、平安京など、碁盤の目になった日本の都は、当時の中国を真似た都市計画。その四方を守るのが北の玄武(黒)、東の青龍、南の朱雀、西の白虎の四神獣です。
京都を旅すると、よく目にするので覚えておきましょう!

「ヴィアインプライム京都八条口」のロビー
「ヴィアインプライム京都八条口」のロビー

ロビーに飾られた四神獣図。それぞれ方角と色が決められていて、左から青龍、朱色の朱雀、白虎、蛇が巻きついた亀の姿をした玄武は北方を表す黒です。

「ザ・ホテル青龍 京都清水」
「ザ・ホテル青龍 京都清水」

昭和8年(1933年)に竣工した清水小学校を改修して、2020年3月に開業した「ザ・ホテル青龍 京都清水」。
もうお気づきかと思いますが、青龍という名のとおり、京都の東、東山にあるホテルです。

「プリンススマートイン 京都三条」のカフェ
「プリンススマートイン 京都三条」のカフェ

四神獣は、中央に黄竜または麒麟をくわえた五神で表すことも。
ホテル1階にある「カフェ ド ボウ」には、四神獣の四色に加え、真ん中に黄色を加えたアートが飾られます。
京都を守る神の使いは、千年の都の象徴です。

≪ホテルアートに現れる “土地の記憶”≫

日本各地の工芸品には、その地域の特色や歴史など、いわば “土地の記憶” が宿ります。ホテルによっては、そうした記憶や品々が展示されているので、ぜひ味わってみてください。

「鬼怒川温泉 あさや」の組子細工
「鬼怒川温泉 あさや」の組子細工

日光・鬼怒川温泉にある「あさや」は明治21年(1888年)創業の老舗宿。館内や客室には鹿沼組子が飾られます。
江戸時代初期、日光東照宮造営のため、諸国から集められた腕のいい職人たちが組子の技術を伝えたと言われ、杉やヒノキが豊富な鹿沼で発展。栃木県内のホテルでよく見かけます。

箱根は標高差が1,000mほどあるため植生が豊か。様々な色をした木材を入手できるので、彩りに変化をつけた組子や寄木細工が作られます。
ホテルが立つ自然や地形によっても、工芸品の造りや見栄えが変わります。

小田原提灯が飾られる「星野リゾート 界 箱根」のラウンジ
小田原提灯が飾られる「星野リゾート 界 箱根」のラウンジ

「界 箱根」は、東海道の難所として知られる “箱根越え” の途中に位置します。江戸時代の旅人は、夜明け前に小田原を発ち、暗い足元を小田原提灯で照らしながら、芦ノ湖畔の箱根宿まで歩きました。
提灯の形が寸胴になっているのは、縮めると上下がフタになってコンパクトに収まる旅道具だからです。

そんな箱根越えをちょっとしたアクティビティとして採り入れたのが、毎朝行われる “わらじ体操”。わらじに履き替え、合羽姿に三度笠を背負ったスタッフの号令で、箱根越えをストーリー仕立てにした体操をおこないます。
土地の記憶を、自分の身体で体験する。星野リゾートは、そうしたアクティビティを用意する施設が多いです。

≪まさに “本物” と出会えるお宿≫

時には、ホテルや旅館で世界的な芸術家の作品に出会うことも!
ここでは偶然ですが青森県の3施設を紹介。ぜひ貴重な体験を楽しんでみてください。

岡本太郎の作品と対面できる「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」
岡本太郎の作品と対面できる「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」

「芸術は爆発だ!」で有名な岡本太郎によって、ロビーに吊り下がる暖炉の煙突に『森の神話』が描かれます。
人や鳥、森の妖精たちが生命力いっぱいに表現されていました。

「酸ケ湯温泉旅館」の広間に飾られた棟方志功の書
「酸ケ湯温泉旅館」の広間に飾られた棟方志功の書

八甲田山中にある一軒宿。青森出身の版画家、棟方志功がたびたび訪れ、長逗留をしながら制作に打ち込んだ旅館で、無数の作品が残されています。
もちろん大変な価値があるので、普段展示されているのはレプリカですが、イベントの日などに本物が展示される事も。

「ドーミーイン青森」でねぶたを間近に!
「ドーミーイン青森」でねぶたを間近に!

大浴場があるホテル13階には、初の女性ねぶた師として知られる北村麻子氏のねぶたが飾られます。本物のねぶたを間近に見られる貴重な体験です。
ハネト(ねぶた祭の踊り子)の扮装をしたホテルのマスコット “ドーミーいんこ” も北村麻子氏作のねぶた。
今回の記事のトリを務めてもらいました。

ホテルにチェックインしたら、ロビーや廊下、客室など、あらゆるところを巡ってみてください。
ホテルステイがちょっと楽しくなるはずです。

旅&グルメライター

草津温泉にどっぷりハマって、自動車雑誌の編集者から旅ライターに転身。観光、温泉、グルメにスイーツ。旅先のお役立ち情報をお知らせします。特に、その観光地の良さはどこ?このホテルやお宿のいいところはナニ?このスイーツの美味しさの秘訣は?そんな具合いに、みなさんの気になるポイントを一歩も二歩も踏み込んで紹介します。

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