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ここまでのポストシーズン本塁打は4本が最多。ターナーは打率.500と12安打と6長打に4盗塁が1位

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレイ・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ)Oct 12, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ポストシーズンは、ワイルドカード・シリーズとディビジョン・シリーズが終わった。ここまでに、13人が2本以上のホームランを打っている。

筆者作成
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 最多は、ヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)、ロイス・ルイス(ミネソタ・ツインズ)、ニック・カステヤノス(フィラデルフィア・フィリーズ)の4本塁打だ。3人のうち、ルイスの本数はもう増えない。ツインズは、ディビジョン・シリーズで敗退した。

 アルバレスは、ディビジョン・シリーズの第1戦に2本のホームランを打ち、続いて、第2戦と第3戦に1本ずつ。カステヤノスは、ディビジョン・シリーズの第3戦と第4戦にそれぞれ2本塁打を記録した。2試合連続のマルチ本塁打は、ポストシーズン史上初だ。それについては、こちらで書いた。

「ポストシーズンで「2試合連続マルチ本塁打」は史上初だが「2試合で計4本塁打」は3人目」

 1度のポストシーズンで最も多くのホームランを打ったのは、2020年のランディ・アロザレイナ(タンパベイ・レイズ)だ。ワイルドカード・シリーズの2試合はホームランがなかったが、ディビション・シリーズの5試合で3本、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの7試合で4本、ワールドシリーズの6試合で3本。20試合で10本塁打を記録し、それまでの最多を2本上回った。

 すでに4本塁打のアルバレスとカステヤノスでも、チームがワールドシリーズまで進まないと、3年前のアロザレイナに並ぶのは難しそうだ。ワールドシリーズに進んだとしても容易ではないが、それよりもさらに難しい。ただ、ネルソン・クルーズは、2011年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで6本のホームランを打っている。

 アルバレスとカステヤノスは、長打6本も最も多い。2人とも、ホームラン4本と二塁打2本だ。長打は、トレイ・ターナー(フィリーズ)も同じく6本。こちらは、二塁打4本とホームラン2本を打っている。ターナーの二塁打4本は誰よりも多く、12安打と4盗塁も単独トップだ。30盗塁を記録したレギュラーシーズンと同じく、盗塁失敗は一度もない。

 また、10打席以上の69人中、打率トップは.500の3人、24打数12安打のターナー、12打数6安打のガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)、8打数4安打のクリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)だ。ターナー以外の2人は、すでにポストシーズンから姿を消している。

 ちなみに、ターナーは、今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で6試合に出場し、23打数9安打(打率.391)、5本塁打を記録した(長打はホームランのみ。盗塁は成功も失敗もなし)。1度のWBCで5本塁打は、2006年の李承燁と並ぶ、最多記録だ。

 一方、出塁率は、コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)の.680が最も高い。14打数6安打(打率.429)に加え、5試合で11四球。ディビジョン・シリーズの第2戦には、1試合5四球のポストシーズン新記録を樹立した。

 打点は、ホゼ・アブレイユ(アストロズ)の8打点が最多。アブレイユに次ぐのは、7打点のミッチ・ガーバー(レンジャーズ)とブライソン・スタール(フィリーズ)だ。この2人は、どちらもグランドスラムによる4打点を含む。

 なお、チーム本塁打のトップ5は、13本のアリゾナ・ダイヤモンドバックス(5試合)とフィリーズ(6試合)、10本のアストロズ(4試合)、7本のレンジャーズ(5試合)とツインズ(6試合)だ。ツインズ以外の4チームは、ディビジョン・シリーズを勝ち上がっている。

 フィリーズは、チーム全体のホームランこそ多いものの、レギュラーシーズンに47本塁打のカイル・シュワーバーが、ポストシーズンに入ってから打っていない。ここまでは、25打数4安打(打率.160)、長打は二塁打2本だ。昨年のポストシーズンでシュワーバーが記録した6本塁打は、チームメイトのブライス・ハーパーリース・ホスキンスと並び、他チームの選手を含めても、最も多かった。ホスキンスは、3月に左膝の前十字靭帯を損傷し、今年は全試合に欠場している。

 アトランタ・ブレーブスは、レギュラーシーズンに歴代最多タイの307本塁打を記録したが、ポストシーズンの4試合は3本塁打にとどまった。チーム本塁打と同じく、こちらも2019年のツインズと並ぶ「30本塁打クインテット」のうち、ポストシーズンにホームランを打ったのは、2本塁打のオースティン・ライリーだけ。あとの4人は、長打も、ロナルド・アクーニャJr.の二塁打1本しかなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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