WBO/WBC統一スーパーウエルター級タイトルマッチ
今週末に行われる予定だった、WBOスーパーウエルター級王者ティム・チューvs.元WBA/WBC統一ウエルター級チャンピオンのキース・サーマン戦は、挑戦者の負傷によりキャンセルとなった。サーマンがトレーニング中に右上腕二頭筋を負傷し、手術が必要となったとのことである。
SNS動画でサーマンは語った。
「ドクターと話した結果、治療に専念して一日も早く回復できるよう努める。俺とチューの試合を楽しみにしていたファンにお詫びしたい。でも、この状態ではとても戦えないんだ。
チューにも謝るよ。俺を殴りたかっただろうし、こちらもパンチを出したかった。将来、戦える日が来ることを祈る。チューにもフンドラにも、Good Luckと言いたい」
ラスベガスでの大きな興行で元世界チャンプを下して株を上げたかったチューだが、自身が保持するWBOスーパーウエルター級タイトルだけでなく、WBCの同級空位王座決定戦ともなったことで、モチベーションが増したようだ。また、2本のベルトを得た場合、テレンス・クロフォードとのスーパーファイトが実現するとの声も聞こえてくる。
サーマンの代わりにチューと対戦するのは、この日の前座でWBCスーパーウエルター級タイトル決定戦に出場する筈だった197cmの長身選手、セバスチャン・フンドラだ。フンドラにとっては、昨年4月にブライアン・メンドーサ戦でプロキャリア初黒星、しかもKO負けを喫して以来の復帰戦となる。
試合前、圧倒的有利とされていたが、7回に沈んだ。保持していたWBC暫定スーパーウエルター級タイトルも失っている。
チューは言った。
「18日に、新しいスパーリングパートナーと手を合わせたが、彼らの仕事ぶりに感謝したい。あれほど背の高い選手との試合は、ぎこちないものになる。しかし、俺を動揺させるものは何も無い。統一戦になったことも非常に喜ばしい。自分がしていることを続け、いつか世の中にチュー家はボクシング界最高のファミリーと認識させたい。
以前にフンドラに会ったことがあり、彼と彼のスタイルには敬意を払う。適切な戦い方を見付けなければ。すべての偉大なボクサーは、勝つ方法を理解する。30日は、勝利のカギを見付けるよ」
思いがけないチャンスを貰ったフンドラも話した。
「僕はやるべきことを集中して続けるのみです。僕の本来の対戦相手であるセルヒイ・ボハチュクはチューと似ている点が多いですね。自分の計画を忠実に守れば勝てると信じます。
メンドーサ戦では僕が主導権を握っていたので、ああいう結果にはなりましたが、自分の戦い方を変えようとは思いません。キャンプ中ずっと一生懸命に練習してきました。前回の戦いの後、僕らのチームは少しだけ修正する必要がありましたが、父と妹が支えてくれました。妹のガブリエラが世界チャンピオンになったばかりなので、今度は僕が同じことをする番です。
この試合に勝って統一チャンピオンになって、そこから更に勝ち続けたい。上を目指していきたいと思っています。もちろん、適切な準備をすることは非常に重要です。でも、僕がチューのようなタイプとの戦いに向けてトレーニングをしていたことが、本当に有利だとは思わない。リングに上がったら何かが起こるということです」
2冠戦となったこのファイトは、盛り上がるだろう。だが、筆者はフンドラ戦に向けて準備しながら、今回、試合が無くなったウクライナ人、セルヒイ・ボハチュクが気になる。彼はWBC2位。フンドラよりもランクが上だったのに、袖にされたのだ…。