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背景付きの絵ってどう描くの?【普段は見せない大ラフも公開…!】

かとう・さくらイラストレーター

新年明けましておめでとうございます。

イラストレーターのかとう・さくらです。

旧年中も私の記事を沢山見ていただき、ありがとうございました。

今年も「今日からあなたも絵描きさん」をテーマに、楽しく絵を描くアイデアやコツをお伝えしていこうと思います。

昨年までよりもさらに分かりやすく、試してみたくなる記事にすることを目指していきます。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、本日のお題は「背景付きの絵の描き方」です。

(いつもより文字数多めのじっくり解説記事なので、お時間のある時にゆっくり見ていただければと思います)

好きなキャラクターのイラストだったり、家族やペットの似顔絵だったり、人物(動物)を描く機会って多いですよね。

特にこの時期は、年賀状や寒中見舞い用に絵を描いたり、今年の目標として絵や絵日記を始める方も多いのではないでしょうか。

そんな時に気になるのが「背景ってどうやって描くの?

私もイラストを描き始めたばかりの頃に思っていました。

キャラクターは模写したり、オリジナルで作ったりしてなんとか描けるとして…背景はどうしたらいいんだろう?

子供の頃の写生大会みたいに風景を描くのとはやっぱり違うよね??

もちろん色々な描き方、考え方があると思うのですが、今回はその中の一つの方法をご紹介します。

実際に私が年賀絵を描いた方法です。

普段は誰にも見せないラフのラフも公開しちゃいますね…!

描き方

(1)大ラフ

どんな絵を描こうかな?

頭の中にぼんやりあるものを思いつくままに、どんどん書き出してみます。

文字で描いたり、絵で描いたり、人によって違うかと思いますが、私の場合は最初にキーワードを文字で書いてから、それに合わせて絵を描くことが多いです。

ラフのさらに前段階なので、きれいに描かなくても自分が分かれば大丈夫。

手近な紙にボールペンで描くこともあれば、今回のようにiPadで描くこともあります。

描いていくうちに新しいアイデアが生まれることもあるので、とにかく色々描いてみる工程です。

今回は、左上のキーワードから3パターンの大ラフを描きました。

並べて見ると、1番はちょっと平凡かな?

3番は別のシチュエーションで再利用したいので、頭の片隅にストックしておきましょう。

2番で進めることにします。

(2)ラフ

選んだ大ラフを元に、どこに何を描くか決めていく作業です。

(ちょっと見にくいですが、黒が前段階の大ラフ、赤が今段階のラフです)

いまいちイメージが浮かびにくい時は、手持ちの雑誌やピンタレストなどの画像サイトをパラパラ見て、イメージを膨らませたりもします。

普段からSNSで見つけてお気に入りに保存しておいた画像を見返すこともあります。

そうして出てきたイメージに合わせて、女の子を後ろ姿から正面向きに変えてみました。

さらに帽子が三角帽子からニットキャップになったり、抱えているのが焚き木からヘビになったりとちょこちょこ変更しています。

右奥のお家は、カントリーハウスのような可愛い感じにしてみました。

雪景色と言えば雪だるまかな?とお家の前に置いてみて。

画像サイトでカントリーハウスを見てみると、木の柵があるお家が多く見られたので、柵も足しました。

ここでのポイントは「近景、中景、遠景に分けて考える」こと。

今回なら、女の子は手前左に大きく配置したので近景(1番画面の手前にある景色)。

柵は女の子より後ろの方にあるので中景。

雪だるまやお家もまとめて中景としましょう。

近景と中景の間にある程度の距離があることを示したいので、小道で繋いで…

あとは遠景が欲しいので、お家の後ろに雑木林があることにして遠景としました。

この3つの景の考え方が、背景付きの絵を描くのに1番大事だと私は思っています。

逆に言えば、これさえ決まれば背景付きの絵も怖くない!と言うことですね。

(3)下書き

ラフを元に、細かい部分を決めて線にしていきます。

(濃い黒の線が今段階の下書きです)

今回はきっちりと線画を描かない主線なしスタイルで描いていくので、細かく決めておきたい部分だけ下書きしました。

柵や雑木林は、なんとなくで描いていこうかなと。

右下にうっすら残っているのは、ヘビの顔の練習ですね。

この段階では必要に応じて資料を調べつつ描くので、角度違いで何パターンか描いて練習してみることもあります。

(資料をそのまま書き写す時は、資料の著作権によくご注意くださいね。

著作権が心配な時は、資料を見て何パターンか練習して大体の感じを掴んだら、オリジナルで描くのがオススメです…が、それができるようになるには慣れも必要かと思います…私もいまだにうまくいかないこともありますし…練習あるのみ!ですね)

今回は練習したヘビの頭に、自分の好きな恐竜の口元を少し混ぜてみました。

お家は、雪景色と合わせるなら積雪に耐えられる屋根や吹雪に負けない壁が必要だと思い、レンガ調のカントリーハウスから木組みのロッジ風に変更しました。

きっと薪ストーブがあるでしょうから薪を積んでおく場所が欲しいですし、外から帰ったら家に入る前に雪を払ったりもしたいでしょう。

玄関前に大きな屋根付きのピロティを作りましょう。

大きな屋根が分かりやすいように、おうちの向きも正面から斜めに変えました。

(4)カラーラフ

大まかに色を置いてみる作業です。

全体の色味、どこを濃くするか、ポイントとなる色は何色にするか…など、色に関するラフを作ります。

何パターンかやってみて一つを選ぶこともあれば、最初から一発で決まることもあります。

近景、中景、遠景でそれぞれまとまりが出るように意識しながら色を決めています。

(実は一度カラーラフが完成してからおうちの形を変更したので、ここではまだカントリーハウスのままですね。

色味は変えないので、このまま次の工程に進みました)

(5)(ペン入れ→)着彩

(線画を描く場合は着彩の前にペン入れ作業がありますが、今回は主線なしで描くのでいきなり着彩に入りました)

今回は、白黒写真のような完成形をイメージしているので、モノクロ着彩です。

まずは近景から塗りました。

アナログ水彩なら遠景から塗ることが多いのですが、これはiPadで描いているので「レイヤー機能」が使えます。

※レイヤー機能とは?

紙の上に透明のフィルムを何枚も重ねた状態で絵が描けるのが、デジタル描画の大きな特徴。

レイヤーとは、この透明のフィルムのことを言います。

それぞれのレイヤーに別の絵の部分を描いて重ねることで、一枚の絵にすることができます。

レイヤーの使用枚数は人によって様々で、私も以前はパーツ毎にレイヤー分けして、一枚の絵に100枚近いレイヤーを重ねて描いていましたが、最近は同じレイヤーに延々と描き込んでいくスタイルが好きです。

今回は主に5枚のレイヤーで描き進めています。

(下書き、カラーラフ、遠景、中景、近景)

3つの景の描く順番は絶対ではありませんが、私は主役がいる部分から描いていくことが多いです。

(主役の色味や濃さを決めた上で、周りを決めたいので)

先ほど作ったカラーラフを参照しつつ、塗っていきます。

中景を塗りました。

柵の真ん中部分は、女の子で隠れるので最初に引いた線そのままです。

他の部分もこの部分のような簡単な線を引いたものにどんどん描き足して、柵にしています。

立体感や質感が足されて、ビリーバビリティ(本当にありそうな感覚)が上がってくるこの工程がとても好きです。

最後が遠景です。

中景〜近景の地面も合わせて塗りました。

これもおうちで隠れる木(右奥の大きな針葉樹の下部)などは、最初の線のままです。

隠れる部分は何も描かなくても良いのですが、簡単な線だけでも描いておいた方が見える部分が破綻なく繋がるので私は見えない部分も軽く描く方ですね。

(6)完成

近景、中景、遠景の3枚のレイヤーを統合しました。

これでイラストとしてはほぼ完成です。

あとは、使う媒体(今回は年賀状)に合わせて色味を調整したり、文字を入れたりなどの調整をします。

全体的にセピアカラーに寄せた上で、女の子の帽子や服に赤を、ヘビや近景の低木に緑を、遠景の雑木林と雪だるまに青をうっすら被せてみました。

完成です!

いかがでしたか?

背景付きの絵が全く描けなかった頃の自分が知りたかったことを記事にしてみました。

どなたかの参考になれば嬉しく思います。

長文記事を読んでいただき、ありがとうございました。

ではまた、別の記事でお会いしましょう。

イラストレーター

うさぎと猫と恐竜が好きなイラストレーター。三重県出身、管理栄養士、二児の母。「かわいくて、ほっとする。やさしい世界」をコンセプトに絵を描いています。

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