「被害者が責められる世の中変えたい」「ゆるく連帯を」 ウィメンズマーチに #metoo #wetoo
昨日、3月8日は国際女性デー。この日が制定されたのは1975年だが、ここ数年、SNSや報道でも話題にされることが特に増えてきたように感じる。東京・渋谷で国際女性デーに合わせて行われた「ウィメンズ・マーチ東京」には、昨年の2倍以上となる750人が参加した(主催者発表)。
■「ゆるく連帯できる」
マーチは19時に表参道の国連大学前を出発。時折激しくなる雨の中、通称プッシーハットと呼ばれるピンクのニット帽をかぶり、「#metoo」「#wetoo」の文字が入った傘を持った参加者らが声を上げた。年齢層は幅広く、外国人の参加者や海外メディアの取材も目立った。
初めて参加したという20代の女性はマーチについて「ゆるく連帯できるのがいいと思う。社会問題を考えるにあたって、お祭りはいい入口」。#metoo や #wetoo にも関心があるという。
■「被害者が責められる世の中を変えたい」
「Women’s Rights are Human Rights!」のプレートを掲げていたのは30~50代のシングルマザー3人。
「祖母の時代から女性が差別されてきた。今もシングルマザーへの偏見はある」
「(ジャーナリストの)伊藤詩織さんを応援したい。自分も被害に遭ったとき、特に年長の人から『誘うような格好をしていたからだろう』と言われた。でも私が着ていたのは、量販店で売られている普通の服。それなら売った量販店も悪いことになるの?と。加害者ではなく被害者が責められる世の中を変えたい」
■「ここでも特別扱い?」
大学でジェンダーを学んでいたという20代前半の大学生と社会人2人は、社会への違和感が参加理由。彼女たちに声をかけたのはマーチの開始から間もない頃だったが、すでに複数のメディアから取材を受けたという。
「参加者の中で自分たちが若いから声をかけられたのかなと思った。ここでもやっぱり“若い”ということで特別扱いされるのかなって」と複雑な表情を見せた。
■「加害者が隠れたまま、おかしい」
伊藤詩織さんを応援する内容のプレートを持って参加した40代の女性は、「メディアは被害者の告発や、被害者のことばかりを報じて消費している。加害者が隠れたままなのはおかしい」。
昨年の性犯罪刑法改正や、#metoo運動の高まりを受けてか、性暴力に関してコメントする人が多い印象を受けた。また、「19時からのスタートだと、小さな子どもを持つ親は参加しづらい。時間設定は難しいと思うが、昼の開催もあれば」という声もあった。
■「声に出そう」
参加者の表情が明るく、約1時間のマーチの後も、参加者同士で声を掛け合っていたのが印象的だった。私も取材していてとても楽しかった。
主催者が用意したコールは、「私のモヤモヤ声に出そう!」「私のしんどさ声に出そう!」「保育園落ちてマジでつらい!」「セクハラ、パワハラ マジでヤバい!」。主催者の1人、對馬果莉さんは、「自分の声を出すことの大切さを一番伝えたい。雨にも負けずなマーチだった」。
普段、私が「性暴力に関する取材をしている」と言うと、「性暴力や性犯罪に遭ったことはない」「考えたことがない」という女性もいる。しかし、そんな女性の話をよく聞いてみると「痴漢ぐらいなら遭ったことがある」と言われることがある。
このマーチを取材する前に参加したイベントでも、そんなことを言われた。
痴漢は性犯罪であり性暴力だ。痴漢“ぐらい”じゃない。だから私は「自分が性犯罪の被害者だと気付いていない人が多い」と説明することがある。
おかしいかもしれないと気付くこと、そして声を上げること、声を上げた人を一人にしないこと。
3月8日に、またそんなことを考えた。