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トナカイさんへ伝える話(183)松本人志さん、訴えを取り下げ

小川たまかライター

 「事実無根なので闘いまーす」と言った闘いを自分から放棄したわけなので、実質敗訴でしょっていう受け止めが多いのかと思ったら、そうでもないというか、そうではないことにしたそうな人たちの勢いが思ったよりすごい……。

 訴訟の終結はもちろん、もし今後松本人志さんがテレビに復帰したとしても、それは「松本人志さんが事実無根だったから」を意味するわけではないのですが、SNS上を見ていると、「訴訟取り下げ=事実無根」「テレビに復帰=松本さんの勝ち」とつなげたい人が多そうで、その雰囲気が着々と作られているように見えてビビります。

 「強制性を示す物的証拠がない」というのは、「確実に立証できるだけの証拠が足りない」という意味以上のものではありません。それなのに、物的証拠がない=松本さんの勝ち、かのように見えてる人がいるようで、世の中というのは怖いなあと思います。

 物的証拠があればとっくに刑事事件になってます。性暴力の多くは物的証拠がないことがほとんどなので警察に相談しても捜査されず、あるいは立件できず、ゆえに文春に駆け込まざるを得ない人が多いという話です。まるで今になって初めて判明したかのように「物的証拠がない」を見出しにとっている報道が複数あって、うわあ……と思います。

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ライター

ライター/主に性暴力の取材・執筆をしているフェミニストです/1980年東京都品川区生まれ/Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット大賞をいただきました⭐︎ 著書『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)、『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)/共著『災害と性暴力』(日本看護協会出版会)『わたしは黙らない 性暴力をなくす30の視点』(合同出版)/2024年5月発売の『エトセトラ VOL.11 特集:ジェンダーと刑法のささやかな七年』(エトセトラブックス)で特集編集を務める

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