海自哨戒機が危険な低空飛行? 動画を見た複数の海外の識者は「普通の飛行」
2018年12月20日に起きた韓国海軍レーダー照射事件について韓国側は真っ向から反論し、逆に日本の海上自衛隊P-1哨戒機が危険な低空飛行を行ったと主張しています。そこで哨戒機の低空監視飛行は危険と言えるような飛行だったのか、当事者の日韓を除いた海外の第三国の識者の見解を参考にしてみたいと思います。
ポール・ジアラ(Paul Giarra) 元アメリカ国防総省日本部長にして元アメリカ海軍P-3C哨戒機パイロット、アメリカ人
ジアラ氏は元アメリカ海軍のP-3C哨戒機パイロットでした。そして他の元アメリカ海軍哨戒機パイロット達からも異論は出ていないので、レーダー照射事件での海上自衛隊のP-1哨戒機の飛行は、アメリカ海軍の基準に照らし合わせても問題無かったということになるのでしょう。
アレッシオ・パタラーノ(Alessio Patalano) ロンドン大学キングス・カレッジで安全保障を研究する准教授、イタリア人
パタラーノ准教授は2018年12月28日に日本防衛省が動画を公開して直ぐにTwitterで見解をツイートされています。パイロットではないですが自らの搭乗経験を踏まえた上で、レーダー照射事件でのP-1哨戒機は問題の無い通常の監視飛行をしていたと解説されています。
コリン高(Collin Koh) 南洋理工大学のS・ラジャラトナム国際研究院で海洋安全保障を研究する教授、中国系シンガポール人
コリン高教授は2019年1月4日に韓国国防部が反論動画を公開して直ぐにTwitterで見解をツイートされており、韓国側の動画で約5秒間写っていたP-1哨戒機の飛行は安全な高度だったという評価です。
なお余談ですがコリン高教授の本名は高瑞连(高瑞連、Koh Swee Lean、コウ・スゥリェン。発音は広東語)で、コリン(Collin)は英名ニックネームです。普段は英名+姓で"Collin Koh"と名乗られています。当記事の筆者はTwitterで間違った漢字名を紹介してしまいました、誠に申し訳ありません。
日本が主張するレーダー照射問題に端を発した韓国が主張する低空飛行問題について、当事者である日韓以外の第三国からの見解で日本側を支持する識者は以上の3人が確認される一方で、韓国側を支持する第三国の識者は私の知る限りは1人も居ません。
アメリカの外交専門誌「ナショナルインタレスト」に元韓国海軍大佐の尹碩俊(윤석준、ユン・ソクジュン)氏が韓国側に立った見解の記事を寄稿していますが(執筆名の"Sukjoon Yoon"は名を姓より先に配置)、これは韓国海軍関係者の主張と見做されるので第三者としての見解にはならないでしょう。
ただしこれらは現時点で判明している限りですので、この事件での見解を表明した第三国の識者が新たに見つかれば追記していきたいと思います。(※追記:2年経過した時点でも新たな意見表明は見当たらず)
なお韓国側が新たに主張する「2019年1月23日に韓国駆逐艦テ・ジョヨンに対して日本P-3C哨戒機が危険な低空飛行した」という事案については、韓国側は動画を公開せずに海面が写ってもいないアングルでのP-3C哨戒機の写真を公開したので、周囲の状況から高度を推定できないので評価ができません。