猫にドッグフードをあげてはいけない?意外と知られていない真相とは
コロナ禍でペットが人気ですね。
ネットでも「お尻フリフリのコーギーが可愛いすぎる」など犬や猫の動画や写真であふれています。犬と猫を一緒に飼っている人も多くいます。
猫は偏食であれもこれも嫌い、今日は食べたくない気分ということがあります。そして昨日までおいしそうに食べていたフードに見向きもしないこともあります。このことは以前、「昨日めっちゃ食べてたのに…」なぜ猫は急に好きなフードを食べなくなるのかという記事に書きました。そんな猫が子犬のフードを食べたという相談がありました。猫がドッグフードを食べても大丈夫なのか?について考えていきましょう。
猫がドッグフードを食べても大丈夫?
好き嫌いが多いシニアの猫が、犬を飼い始めたら子犬用のフードを食べたので、これって大丈夫ですか?と飼い主に質問されました。
猫は、犬に比べてフードに関して味や歯触りなど嗜好性が偏っていることが多いです。それが飼い主の悩みのタネになることがあります。人の食べ物ではないので、猫がドッグフードを食べても問題ないと思ったのでしょう。
答えは、猫にドッグフードをあげるのはダメです。
なぜ猫がドッグフードを食べるとダメなのか?
なぜ猫がドッグフードを食べると問題なのかを見ていきましょう。以下のような問題があります。
タンパク質の問題
猫は真性肉食動物です。もともと猫は自分でネズミや小鳥などの小動物の狩りをしていた動物です。歯の構造も植物をすりつぶす臼歯があまり発達していません。猫は肉食なので、腸も犬に比べて短いです。
それに、猫は犬に比べて1kgあたりのタンパク質の必要量が3倍いります。
そのため、猫がドッグフードを食べると満腹にはなるのだけれど、タンパク質が不足になるのです。普通のドッグフードより子犬用のフードの方はタンパク質が多いのですが、それでも猫にとってはタンパク質が不足になるのです。
必須アミノ酸の問題
必須アミノ酸(Essential amino acid、EAA)とは、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、その動物の体内で合成できず食べ物として摂取しなければならないアミノ酸のことです。
気をつけてほしいのは、動物によって必須アミノ酸が違うということです。まずは、人から見ていきましょう。以下の9個が人の必須アミノ酸です。
(人の必須アミノ酸)
・バリン
・イソロイシン
・ロイシン
・メチオニン
・リジン(リシン)
・フェニルアラニン
・トリプトファン
・スレオニン(トレオニン)
・ヒスチジン
(犬の必須アミノ酸)
犬の必須アミノ酸は、人の必須アミノ酸にアルギニンが加わります。
・人の必須アミノ酸
・アルギニン
(猫の必須アミノ酸)
猫の必須アミノ酸は、人の必須アミノ酸にアルギニンとタウリンが加わります。
・人の必須アミノ酸
・アルギニン
・タウリン
つまり猫がドッグフードを食べていると猫の必須アミノ酸であるタウリン不足になります。猫がタウリン不足になると以下の疾患になりやすくなります。
□目
□心臓
そのため、猫がドッグフードを食べるとよくないのです。
シニアの猫は、慢性腎不全などになって処方食を食べていることが多いです。このような場合は、相談されたように、子犬のフードは成犬のものよりタンパク質が多いので、もの珍しくて猫が食べたりすることもあるので、注意してくださいね。
犬がキャットフードを食べてもいいの?
反対に犬がキャットフードを食べることもダメです。必須アミノ酸は問題がないのですが、キャットフードは、ドックフードに比べてタンパク質が多すぎて、犬は膵炎などにかかりやすくなるのです。
猫と犬を飼っているとき
猫と犬を一緒に飼っているときは、キャットフードは、犬の届かない少し高いところに置きましょう。そして、ドッグフードは置きっぱなしをしないようにしましょうね。犬は猫に比べて、ちょこちょこ食べる子は少ないので、フードをあげて食べ残しがあれば、すぐに片付けましょう。
猫がドッグフードを食べてはいけない、そして犬もキャットフードを食べてはいけないことをちゃんと理解して、正しい飼い方をしましょう。間違って食べてしまう事故のないように、気を配ってあげてくださいね。