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羽生結弦が“本番”で舞う会場が完成もイメージ悪化が収まらない平昌五輪

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
フィギュアスケートGPファイナルで史上初の4連覇を達成した羽生結弦(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

フィギュアスケートGPファイナルで史上初の4連覇を達成した羽生結弦。羽生の実力は韓国でも評価されており、韓国メディアも「フィギュア羽生、GPファイナル史上初の4回連続優勝達成」「日本フィギュアの“看板”羽生、今シーズンのショート最高記録更新」「日本フィギュアの羽生、世界フィギュア史に名を残すGPファイナル4連覇達成」などと報じた。

韓国でも羽生の人気は高い。

韓国では美男子のことを“コッミナム(花美男)”と呼ぶが、羽生は「日本フィギュア界のコッミナム」とされており、オフィシャルサイトと見間違うほど高クオリティのファンサイトもある。

韓国のフィギュアファンたちの間で使われる別名「ウセンキョルヒョン」で検索しても、さまざまな反応を見ることができる。

韓国でフィギュアスケートと言えば、いまだに女王キム・ヨナの人気と影響力が絶大だが、そのキム・ヨナとの比較も絶えず、キム・ヨナのライバルだった浅田真央と引き合いに出されながらさまざまな議論の的になる。

(参考記事:キム・ヨナ、浅田真央、羽生結弦のコントラストな三角関係)

日本フィギュア界の顔である羽生は平昌五輪でのメダル獲得が期待されているわけだが、彼が1年2カ月後に立つであろうその会場がこのたびお披露目となった。

平昌五輪でフィギュアとショートトラック競技が行われる江原道「江陵アイスアリーナ」が12月14日に開館したのだ。

江陵アイスアリーナは地下2階、地上4階、総面積3万2399平方メートルで、観覧席1万2000席。30メートル×60メートルのアイスリンクが2つある。『聨合ニュース』は「最先端・エコ技術を集約して建設した」と表現している。

12月16日からは同会場で2016-2017国際スケート競技連盟(ISU)ワールドカップ・ショートトラック第4戦が行われる。平昌五輪の“テストマッチ”でもある重要な大会だ。

というのも、韓国では平昌五輪に対するイメージが非常によくない。一連の政治スキャンダルが飛び火しており、「平昌五輪は“崔順実一味の遊び場”」などという皮肉が出るほどなのだ。そのため、テストマッチでイメージを挽回するしかない現状がある。

とはいえ平昌五輪にちなんだドタバタ劇は、今に始まったことではない。

思い浮かぶのは、公式マスコットに関する騒動だ。一度は虎と熊のキャラクターに決まっていたが、朴槿恵大統領の「マスコットを珍島犬(チンドッケ:韓国原産の犬種)に変更せよ」という一言で、デザインを一からやり直すことに。

そんな朴大統領の指示は、国際オリンピック委員会(IOC)の猛反対を受けてしまい、韓国政府とIOCの綱引きは6カ月間も続いたという。

IOCが反対した理由は「犬食文化がある韓国のイメージと合わない」だった。国際社会では未だに韓国の犬食文化に厳しい意見が飛んでいるだけに、当然だったかもしれない。

(参考記事:イギリス人9万人が請願サイトに署名!! 非難を浴び続ける韓国の“犬食文化”

最近も、IOCのトーマス・バッハ会長が平昌五輪の大会組織委員会の関係者と会い、「韓国で起きているスキャンダルのせいで平昌五輪のマーケティング活動に問題や支障が起きていないか」と心配していることも明らかになっている。

そしてこのたびの朴槿恵大統領の弾劾である。開催まで1年2カ月となった現時点で、大統領が弾劾となることは、平昌五輪にとっては好ましいものではないだろう。

(参考記事:朴槿恵大統領の弾劾は平昌五輪にどのような悪影響を与えるのか

ここに来てさらなる困難に見舞われている平昌五輪。それでも開催時期をずらすことはできない。オリンピックを目標にしている選手たちは羽生をはじめ、世界中にいるのだ。

まずは「江陵アイスアリーナ」でのテストマッチが成功することを願わずにはいられない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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