「役職定年廃止」により幸せになる人、不幸になる人 #専門家のまとめ
「55歳過ぎたら、役職から外れてもらう」
この言葉を聞いただけで、不安を覚える人は多いだろう。役職定年制度は1980年代、定年延長に伴って導入されはじめた。しかし、この制度は企業にとっても働く人にとっても足かせとなりつつある。実際に、この制度を持つ企業は約15年で23.8%から16.7%まで減少した。
では「役職定年廃止」はシニア世代にとって朗報なのだろうか。実はそうとも限らない。この制度変更によって幸せになる人と不幸になる人が生まれる可能性がある。参考となる記事をまとめてみた。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
テクノロジーの進化(とくに生成AI)により、10年も経てばホワイトカラーが激減、消滅すると言われる時代だ。そう考えると、シニア層にマネジメントや部下育成という機能が求められることは、10年どころか、もっと早い段階になくなると言っていい。
そう考えると「役職者」でい続けることのメリットは小さい。目先の報酬にこだわるよりも、長く働いて生涯年収を増やすほうが健康的だからだ。だからこそ「役職定年」の制度があることで「役職定年になるまでの5年間で、次のキャリアを見つけよう」と考えるキッカケが手に入る。しかし「役職定年廃止」としてしまえば、そのキッカケを失う人が一定数出てくるだろう。
「役職定年廃止」によって幸せになる人は、そもそも役職者としての機能を十分に果たせている人だ。この人がいないと組織がまとまらないというのなら、替えがきかない存在として重宝される。もしくは自ら役職を降りて、現場で大いに活躍できる人も幸せになれる。しかし役職者としても、現場でも、能力が足りない人は、不幸になる可能性が高い。過去の「功労者」としての肩書だけでは存在意義がないからだ。