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「役職定年廃止」により幸せになる人、不幸になる人 #専門家のまとめ

横山信弘経営コラムニスト
(写真:イメージマート)

「55歳過ぎたら、役職から外れてもらう」

この言葉を聞いただけで、不安を覚える人は多いだろう。役職定年制度は1980年代、定年延長に伴って導入されはじめた。しかし、この制度は企業にとっても働く人にとっても足かせとなりつつある。実際に、この制度を持つ企業は約15年で23.8%から16.7%まで減少した。

では「役職定年廃止」はシニア世代にとって朗報なのだろうか。実はそうとも限らない。この制度変更によって幸せになる人と不幸になる人が生まれる可能性がある。参考となる記事をまとめてみた。

ココがポイント

役職定年制がなくなると準備がゼロのままシニア転職に突入して不幸になるケースも危惧している。
出典:ビジネス+IT 2024/12/17(火)

役職定年の廃止で、管理職の年収水準は現制度から約10%引き上げられる見通しだ。
出典:日本経済新聞社 2024/11/19(火)

金融業界では人手不足が顕在化しており、豊富な知識や経験を持つシニア人材を活用する狙いがある。
出典:読売新聞オンライン 2024/3/29(金)

健康だが貧乏な高齢社員は、企業や国が期待・要望する通り、若い頃と同じように猛烈に働くべきでしょう。
出典:東洋経済オンライン 2024/6/13(木)

エキスパートの補足・見解

テクノロジーの進化(とくに生成AI)により、10年も経てばホワイトカラーが激減、消滅すると言われる時代だ。そう考えると、シニア層にマネジメントや部下育成という機能が求められることは、10年どころか、もっと早い段階になくなると言っていい。

そう考えると「役職者」でい続けることのメリットは小さい。目先の報酬にこだわるよりも、長く働いて生涯年収を増やすほうが健康的だからだ。だからこそ「役職定年」の制度があることで「役職定年になるまでの5年間で、次のキャリアを見つけよう」と考えるキッカケが手に入る。しかし「役職定年廃止」としてしまえば、そのキッカケを失う人が一定数出てくるだろう。

「役職定年廃止」によって幸せになる人は、そもそも役職者としての機能を十分に果たせている人だ。この人がいないと組織がまとまらないというのなら、替えがきかない存在として重宝される。もしくは自ら役職を降りて、現場で大いに活躍できる人も幸せになれる。しかし役職者としても、現場でも、能力が足りない人は、不幸になる可能性が高い。過去の「功労者」としての肩書だけでは存在意義がないからだ。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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