小野伸二のFC琉球移籍はコンサドーレの一時代の終焉を意味する
小野伸二のFC琉球への完全移籍が正式に発表された。
小野伸二は2014年夏に札幌に加入。丸5年の在籍期間でリーグ戦62試合に出場、2ゴールをあげている(今シーズンは怪我の影響もあって、出場はカップ戦2試合に留まっている)。
怪我がちのコンディションもあってフルで稼働する期間は長くなかったが、要所要所で得点に絡むプレースタイルはさすがだった。
昨季の清水戦で魅せたダイレクトパスの連続で決めた得点も、小野伸二投入直後に彼のファーストタッチが攻撃のスイッチとなったビューティフルゴールだった。
赤黒のユニフォーム姿を拝めるのが今週末で最後となるのは、いち札幌サポーターとしてただただ悲しい限りだ。
レジェンドから学ぶ強化方針の終焉
直近10年間におけるコンサドーレの強化方針は、日本代表歴のあるベテラン選手を獲得して、アカデミー出身の若手選手に対してプレーのみならず、サッカーに向き合う姿勢などメンタル面での教育も施すのが基本的スタイルだったと言えよう。
具体例を挙げると、2010~12年に在籍した中山雅史、2015~18年に在籍した稲本潤一、そして今回移籍が発表された小野伸二。日々のトレーニングに対する彼らの姿勢をじかに見て、札幌の若手は成長してきた。
これらビッグネームの中でも小野伸二は丸5年間札幌に在籍し、彼のキャリアの中でも札幌が最も長く所属したクラブとなった。
この強化方針でチーム力の底上げを地道に図ってきた結果、コンサドーレは2016年にJ2優勝を果たし、その後J1に定着する地力をつけてきた。
特にここ2シーズンは、独特な戦術に定評のあるミハイロ・ペトロヴィッチ氏が監督となり、新たな攻撃的サッカースタイルにチャレンジしてきた。昨季はクラブ史上最高のJ1カテゴリー4位、今季も21節終了時点で、8位と上位を狙える位置につけている。
そういう意味では、日本サッカー界の象徴となるベテラン選手がコンサドーレからいなくなるのは、ひとつの時代が終焉したと解釈することができるだろう。
コンサドーレは若手中心の新時代へ
ペトロヴィッチ監督招聘後、コンサドーレは世代交替を図っている。
選手全体の平均年齢はJ1の18クラブの中で最年少だ。小野伸二の移籍で更にこの値が下がることになる。
小野伸二はFC琉球へ移籍するにあたり、以下のようにコメントしている。
日本のレジェンドたちが、札幌で与えられた彼らの役目を終えて、次の舞台へと旅立っていく――。
そしてたくさんのものを学んだ札幌の若い選手たちが、彼らに頼ることなく、J1の舞台で羽ばたく新しい時代が到来する。
奇しくも小野伸二の札幌ラスト試合は、古巣の浦和戦となった(8月10日土曜14時キックオフ)。スポニチの報道によると、セレモニーも企画されている模様だ。
小野伸二ファンは是非、札幌ドームに来場するか、DAZNの中継を見てほしい。