「日本人アイドル追放は韓国に害を及ぼす」との声も。日本不買運動は韓国芸能界にも及ぶのか
日本政府が韓国向けの半導体材料の輸出規制を強化することに対し、韓国ではその反発として日本企業の製品に対する「不買運動」がSNSを中心に広がっている。
さらには韓国で活動中の日本出身K-POPアイドルに対する「退出運動」まで起きていて、ネット上では議論が沸騰している状況だ。
昨今、韓国芸能界で活躍する日本の芸能人が増えており、女優の藤井美菜やK-POPアイドルとして活動するRUIなど、韓国芸能界で活動する日本人タレントも多い。最近は高橋朱里や竹内美宥など、AKB48グループ出身のアイドルたちが韓国に進出している。
(参考記事:“清純のアイコン”に“次世代セクシーアイドル”も。韓国で活躍する日本芸能界の美女たち)
そんな中で「退出運動」の対象として真っ先に名前が挙がったのは、ガールズグループTWICEとIZ*ONEの日本人メンバーたちだ。
TWICEにはサナ、モモ、ミナが、IZ*ONEにはAKB48グループ出身の宮脇咲良、本田仁美、矢吹奈子が所属しているが、中でもとりわけ高い知名度を誇るTWICEサナへの風当たりが強い印象を受ける。
サナは4月30日にTWICE公式インスタグラムに書き込んだ「平成ありがとう、令和よろしく」の投稿が炎上したこともあってか、今回の退出運動においても日本出身アイドルの代表格として名前が取り上げられている。
日本人という理由だけで彼女たちに「日本に帰れ」という悪意のあるコメントが寄せられる状況を見ると、何ともいたたまれない気持ちになる。
「日本出身アイドルを消費するのは、日常に滲み込んだ日本文化を何の警戒もせず受け入れるのと同然だ」というのが退出運動を支持するネット住民たちの主張のようだが、ひとつ強調したいのはそうした意見はごく一部であり、「日本不買運動」と「日本出身アイドルの退出運動」に対する韓国内の反応にハッキリと温度差が現れていることだ。
例えば正しい未来党のハ・テギョン国会議員は、自身のFacebookにこう書き込んでいる。
「(韓国の)味方になってくれる可能性のある親韓派の日本出身タレントを敵に回して、どうするつもりか?(日本出身芸能人の退出運動は)韓国のためではなく、韓国に害を及ぼす運動だ」
韓国紙『韓国日報』のコ・ジェハク論説委員も、7月8日付でWEBに掲載されたコラムで「何の関係もない日本出身芸能人たちを、安倍政治の人柱にしてはいけない」と主張している。
日本の輸出規制に対して「心は熱く、頭は冷静に対応しなければならない」と呼びかけている記事も多く、とあるK-POP関係者は「K-POPに青春を捧げ、頑張って活動する日本出身アイドルたちをボイコットすることは、日本不買運動とは違う」とも訴えた。
SNSやブログ、ネットコミュニティなどを見ても「政治と芸能界は関係ない」「日本企業の不買運動をするのは個人の勝手だが、日本出身アイドルの退出を求めるのは行き過ぎた」といった冷静な態度を促す声が多数見受けられる。
今はエンターテインメントビジネスにおいても密接な関係にある日本と韓国だ。目には見えないかもしれないが、文化交流が生み出し育んできた“確かな絆”が、政治に左右されてしまうのは残念でならない。日韓の溝がこれ以上深くならないことを願うばかりだ。
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